2016年12月31日

悠久の時の流れを

大晦日。

今年は仲間四人とナイル川を船で下りながら過ごしている。

2016年は、長引く咳や10円ハゲなどでジタバタしたものの比較的穏やかに過ごせたと思う。

古代エジプトの雄大な遺跡を一つずつ訪れていると、日々の細かい出来事や悩みなどどうでもよくなってくるもので。

2017年も、家族、友達、自分自身が健康に平穏に過ごして行けますように。



穏やかに流れるナイル川を眺めながら、
2017年もこうやって穏やかに過ごせることを祈る中年乙女であった (C) 来宮良子


2016年12月26日

微笑がえし

月曜の朝の地下鉄。

まわりを見渡すと、週末明けで憂鬱な顔をした乗客でいっぱいだ。

窓に映った自分の顔を見ると、そこにはブスな中年オカマの自分。

目元のしわや顔のたるみはさておき、こんなに自分の口角って下がっていたっけ!?と思わず目を逸らす。

この時期は毎年毎日残業で、週末はホリデーパーティ続きだから、肉体的にも精神的にも疲れが溜まるのはしょうがないと理由をつけるにしても、こんな不幸顔をしていたら、以前オカマのY子に「あんた、そんな口角下げた顔をしていたら、いいオトコも幸運の神様も寄ってこないわよ!」などと言ったのにも、示しがつかない。

こんなんじゃ、きらきらした40歳健康優良男子にになるには、程遠い!

今年の初めに癌を患った元同僚で同年代の女子に、携帯から「もう仕事つかれた~ 週末も休めないし~ もう無理!」とチャットで弱音メッセージを送ると、彼女から即座に「あんた、毎日疲れた疲れたって言ってるけど、疲れてても、元気がなくても、笑わなきゃだめ! 笑えば脳も細胞もだまされて、元気になるんだから!」と、いつものぎゃーぎゃした調子で、まくし立ててきた。

だまされたと思ってと、地下鉄の窓に向かって80年代アイドルぶって口角を上げてみたら、引きつり顔の売れない中年アイドルみたいになったが、なんとなく元気がでてくる気もする。

突然、まわりの乗客も、にやにやしはじめた。

ど、どゆこと?と明菜のカバーアルバムをガンガンにかけていたイヤホンをはずしてみると、女の車掌さんが車内放送でなんだか面白いことを言っているらしい。

どうせ、あたいの英語力じゃ理解できないような、アメリカンジョークでも言ってるんだわ、とスルーを決め込んでいたら、会社のある終点の駅に近づいてきた頃、その車掌さんがまた車内放送で何やら言い出した。

「誰だって月曜は憂鬱よね。でも、会社についたら隣のきらいな同僚にも笑顔を向けてみて! きっといいことあるから!」

いつもは憂鬱な顔をした乗客でいっぱいの地下鉄の車内が、駅につく頃にはみんななんだかほっこり笑顔になった。

電車を降りて、車掌室に向かって Thank you!と無理やり口角を上げて声をかけてみたら、サンタクロースの帽子を被ったアフリカ系アメリカ人のおばちゃん車掌さんが顔を出して、Have a wonderful day! と笑顔で送り出してくれた。

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その昔、「東京ラブストーリー」というドラマが流行って、今でも時々Y子と夜の飲み屋で"リカ vs さとみ"論議をしたり、DVDで一人で観たりしている古いオカマの自分。

最終回だったか、鈴木保奈美が演じる赤名リカが、織田裕二が演じるカンチに向かって、別離を予感してか、転校ばかりだった自身の子供時代を思い出して、「あの子と最後に会ったとき私笑顔だったかなって。二度と会えないかもしれないから、なるべく笑顔でいなきゃって、思うんだ」と呟くシーンがあった(あたいも、よー覚えてるわ!)。

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この年になると、仕事のストレスや人間関係、ぱっとしない体調で、家族にも友達にも同僚にも、そうそういつでもニコニコもしていられないけれど、先の地下鉄の車掌さんのように、なるべく口角を上げて、笑顔で居たいと思う。

そういえば、母も昔よく「笑う角に福来る!」と言っていた。

2017年は赤名リカ目指して、毎日笑顔を目標に行くわよ!
(仲間には、中年オカマがきもちわるい、とか言われそうだけど!)

2016年12月15日

優しい雨の向こう側には 雨上がりの空が必ずあるのに

ここ数週間、週末は土曜も日曜もホリデーパーティが続いている。

日本で言うところの忘年会兼クリスマスパーティといったところか。

仕事場でもサンフランシスコの従業員全体で、どこから費用が出てるのか知らぬが、毎年盛大に行われる。今年はゴールデンゲートパークの美術館を貸し切り、男は黒服蝶ネクタイ、女はイブニングドレスでお祭り騒ぎだ。

同じ日にサンフランシスコのゲイ水泳チームのパーティがあったり、仲の良い友達のホームパーティが重なったりして、老体に鞭をうってタクシーではしごして顔を出す。

会社の半分仕事めいたパーティは兎も角、友達のパーティに誘ってもらえることは、仲間がどんどん日本へ帰っていき、また仕事が忙しくて疎遠になったりして、友達と呼べる人が少なくなっていく中で、本当に有難いこと。

とは言え、年末の残業続きで週末も働かなきゃいけない中で、パーティもあるとこの歳になるとやっぱりキツイ。

昔ビジネススクールのクラスでもやらされたマイヤーズ・ブリックスの性格診断を、この間若手の同僚にどのタイプかと聞かれて久々にやってみたら、やはり内向的なISFJタイプと診断されるくらいの自分である。

若い頃は、内向的でも会社の先輩や友達に誘われれば、着飾ってパーティに出るのを楽しんでいたが、やっぱり家に篭ってゲームや読書をしていたい根暗のオカマだから、もうこの歳で無理して女優になれない! 

来週の上司の家のホームパーティ、仕事もあるからパスしちゃってもいいかしらん。

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ここのところ、ずっと雨で寒い日が続いているサンフランシスコ。

東京に住む友達から、LINEで「明菜大復活よ! ディナーショーはじまったらしいわ!」と朝から興奮したメッセージが届く。

どちらかというとやっぱり聖子より明菜派の自分(やっぱり根暗のオカマ)。

「明菜もがんばってるから、うちらもがんばろ!」と返事を返す。


2016年12月11日

Stand by me

自分が10歳だったクリスマスの日の朝。目が覚めると枕元には、赤い包み紙に包まれた小さなプレゼント。

包み紙を開けると、それは真っ白い箱に入った、数ヶ月指折り数えて待っていた、新しいファミコンのゲームソフトだった。

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それから、30年後。

ここ数週間は、夜中前に仕事から帰り、疲れた身体でビール片手にテレビの前に座り、夜中の2時、3時までゲームに熱中している。

大学を出て社会人になってからは、テレビゲームも卒業したつもりでいたのだが、ネットで見かけたこのゲームの動画に一目ぼれし(?)、次の日には自分への早めのクリスマスプレゼントってことにして、ゲーム機と揃えて購入したあたしよ!

仕事疲れの上にゲームで寝不足で、現実世界では目の下にクマをつくってブスになりながらも、ゲームの世界では、若い男子4人が奪われたクリスタルを取り返すべく、自然あふれる美しい世界を旅する物語に、年甲斐もなくのめり込んでる中年オカマ。


イタリアのような街並みを歩いたり、遠くに見える海の景色を楽しみながら山道を歩いたりしてると、
あっという間に数時間経っちゃう。


30年前の冬休みの間中、母に小言を言われながらも朝から晩まで熱中していた、「ファイナルファンタジー」は、8ビットの画像に電子音だったが、今熱中しているこの「ファイナルファンタジーXV」は、本物の世界を自分で旅しているようなリアルな景色とオーケストラの音楽だ。

自分も着実に年をとったが、ゲームも着実に進化してるわけだわ、と感慨深い。

そして、あの頃ゲームを早くやりたいがために学校の後わくわくしながら足早に家に帰った自分と、残業の後、会社から足早に家に帰る今の自分が重なり、なんだか懐かしくもある。

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ゲームの世界もいいけど、現実世界も旅せねば、ということで、色々考えていた年末の旅行も決まりつつある。

今回の旅は、中年男子4人が失われた若さと青春を取り返すべく、古代エジプトの遺跡を旅する物語だ!(なんのこっちゃ)

年末年始は、初のアフリカ大陸&初のイスラム圏で、馴染みのオカマ仲間と世界不思議発見・ミステリーハンターやってくるど!

2016年12月8日

背の高いサンタクロース 私の家に来る

東京でサラリーマンをしていた頃のクリスマスは、祝日じゃなくて通常業務だったこともあってか、それほど気持ち的に盛り上がらずに過ごしていた。

仕事を早めに切り上げる同僚や先輩を横目に、同じく当日予定なしの同僚女子と「年末進行で忙しいんだから、クリスマスなんて関係なしでしょ!クリスチャンでもあるまいしさあ!」などと強がりな発言をしたり(ブス)。

だけど、アメリカに来てからは、周りのアメリカ人達の「ホリデー」気分に乗せられてか、自分も毎年11月も終わると自然とクリスマス気分になってくる。

ここ数日、通勤電車の携帯から流れる曲は「恋人がサンタクロース (C) 聖子」や「クリスマス・イブ」 だし、仕事から帰ったあとのへたっぴピアノも「チャーリーブラウンのクリスマス」という始末だ(どんだけ、乗せられてんのよ)。

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日曜日、ジムの帰り道を歩きながら、街の家々の窓からの覗くクリスマスツリーたちを見ていると、自分の家にもやっぱりツリーが欲しくなってくる(欲しがり屋のオカマ)。

どうせ買うならと、去年もお世話になった「The Guardsmen Organization」という恵まれない子供達のための慈善活動をしている団体が、サンフランシスコの大きなイベント会場を貸し切って行っている生のツリーの販売イベントにやってきた。

中に入ると、小さな子供サイズのかわいらしいツリーから、これを置ける家ってどんな家よ?ってくらいの巨大ツリーまで、数え切れないほどのツリーが立ち並んでいる。会場の空気は森の中にいるように澄んでいて気持ちいいだよ~。

多くの企業がこのイベントのスポンサーになっているらしく、企業から寄付されたワインや食べ物が会場に来たお客さんに無料で配られてたりもしている。

ワインを片手に、若いボランティアのお兄さん達が鍛えた腕にツリーを抱えて働いているのを横目で見ながら(ムフ)、自分の家のサイズに合ったツリーを探して歩いていると、会場の奥に小ぶりだがバランスのよい健康的なツリー君を発見! 

他のお客に取られる前に、と近くにいたボランティアのお兄さんの一人(いいオトコ…)に急いで声をかける。

「お兄さん、このツリーどう思う? 他のツリーと見比べてもやっぱりこの子が一番いいわ!」とほとんど独り言めいた会話をした後に、会計と配送手続きをしてもらって購入完了だ。

他のツリーを売る店よりいくらか値段が高いかもしれないけれど、ちょっとでも世の中の子供のためになるなら、いいでねーの!(かわいいお兄さんとも話せたし。ムフ)

会場の外では、お兄さんたちがツリーの荷造り。
環境を考慮してクリスマスツリー専用に育てられたものを販売しているという。


狭い我が家のリビングルームの窓際に運ばれたツリーにたっぷり水をやると、家中がツリーの美しい香りでいっぱいになり空気が澄んでいくのが分かる。

子供の頃は、自分の背にも満たないような小さいプラスチックのクリスマスツリーに妹と飾りつけをして、クリスマスの日の朝を楽しみにしていた。

あの頃は、ほんとにサンタクロースがいるもんだと信じていた。「ほんとはサンタクロースいないでしょ!」などと言ったものなら「信じない子にはプレゼントも何も来ないよ!」と半分脅迫めいたことを子供にいううちの母ちゃん。

当時、クリスマスの日の朝に、枕元にサンタクロースに頼んでいたゲーム機があった時の、あのワクワク感はすごかったなぁ。

アメリカに来てから、その当時のワクワクをまた少し思い出して、こうやってホリデーの空気の乗せられるのを楽しんでいるのかもしれない。

いい年して、クリスマスツリーではしゃぐオカマ。
(サンフランシスコでは使用後のツリーはリサイクルされます)



The Guardsmen Christmas Tree Lot
2 Marina Blvd, San Francisco, CA 94123

今年は11月26日から12月17日までの開催だそうだ。


2016年11月28日

ひとりきりの長い夜 いつかきっと終わるでしょう

11月も半ばを過ぎると、急に空気が冷たくなってきた。

街のあちこちでは、早々クリスマスソングが流れ、クリスマスツリーが売られている。

「毎年、10月のハロウィンが終わると、サンクスギビング、クリスマスで、あっという間に年越しよね~」
「ほんと年々、1年終わるのが早くなるわ・・・」

残業帰りにいつもの飲み屋で酒片手にY子としみじみする。

「あんた今年のサンクスギビングはどうするの」
「どうしよう、あたし今年もひとりだわ」

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サンクスギビングもクリスマスも、店もレストランもジムも休業になり、人々は、皆家族の元へ帰ったり旅行へ出かけたりするので、街はひっそりと静かになる。

何年前だったか、「家族はいないし、周りは家族・恋人と旅行だし、そもそも日本人だから別にサンクスギビングなんて祝わなくてもいいわ!」などと強気で予定を立てずにいたら、一人で寂しい1日を過ごすはめになった自分である。

そのサンクスギビングの朝に途方に暮れて、グーグルで『サンクスギビング 一人 過ごし方』などと思わず検索したのも、今じゃ仲間内で笑い話にしてるけど、その時ばかりは本当に「ゲイ・孤独死」が頭をよぎったわ!

ここ数年はサンフランシスコ郊外に住むN君の家族が、サンクスギビングディナーに誘ってくれるので、グーグルで切ない検索をする必要もない。有難いことだ。

暖炉に火をつけ、家族で七面鳥料理を囲み、それぞれの近況報告をしながら家族でわいわいやる。パサパサしていていつもならあまり好んで食べない七面鳥だけど、この日だけは美味しく感じるのは何故かしらん。

食事の後は、家族みんなでワイン片手にジグソーパズル。普段ならパズルなんてやらないのにね。

いずれ日本の家族が居なくなる日がくるし、友達も結婚したり子供ができたりすると、自分はゲイとして一人で一生やってかなきゃいけないかもしれない、という覚悟は自分がゲイだと認識した頃からしてきたけれど、こういう暖かさに触れると、やっぱり家族はいいわぁ、としみじみ思う訳で。



サンクスギビングが終わったとたんに、クリスマスツリーの準備。
アメリカ人、こういうのほんと好きね。



2016年11月21日

スーツケース いっぱいにつめこんだ 希望という名の 重い荷物を

朝、シャワーを浴びようと思ったら、シャンプーが残りわずかなことに気づいた。

夏の休暇で行ったスペインのシッチェスでたまたま見つけた店で、ガタイの良いオヤジ店員さんのオススメで購入したもので、このシャンプーの爽やかな香りを嗅ぐ度に、スペインの陽気な空気(とオトコたち)を思い出す(ムフ)。

そろそろ冬の休暇の予定も立てなきゃなあ、と思いながらも、ヨーロッパも行ったばかりだし日本も法事で帰ったばかりだしと、なかなか行き先を決められずにいる。

学生の頃のような欲張った旅程はもはや厳しいが、まだ動けるうちにペルーのマチュピチュやエジプトのギザのピラミッド群を訪れたいわぁ、などとシャワーを浴びながらひととき夢見る中年オカマ。

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シャワーを浴びワイシャツを着た後、鏡の前で髪の毛を整える。

髪を短くしていた頃は1分もかからなかったのだが、10円ハゲ隠しのために床屋に行けずにいる今は、だいぶ伸びてしまい時間がかかっている。

「それくらいの髪の長さなら、向井理みたいにナチュラルにきめればいいんじゃない?」などと無責任なアドバイスをする女友達を信じ、向井理ってどんな髪型だったっけ?と朝から彼の画像をネットで検索。そしてそれを見ながら、髪を整えて出勤する自分…。

「ワオ!その髪型どうしたの!?」
会社に着くと、さっそく若手スタッフの男がニヤニヤしながらちょっかいを出してきた。

まさか、とトイレに駆け込んで鏡を覗き込むと、そこには向井理などどこにもおらず、切ない目をした彦摩呂が映っている・・・。

元同僚に報告すると「40手前の中年オカマが向井理目指すのが、そもそも無理!」ともっともなことを言われ、向井理作戦は呆気なく終わりを迎えたのであった…。

「あんまり気になるなら、病院行って塗り薬処方してもらいなよ。けっこう効いたわよ」と同じく10円ハゲ経験者のK枝が言う。

確かに「10円ハゲなんて放っときゃなおるわよ!」などと口では言いながら、向井理作戦などと血迷ったことをしてるくらいなら、とっとと病院行って塗り薬もらってくるべきだわよね。

早速、前回見てもらったハゲ専門のオカマ先生を予約し、会社の昼休みに会いに行ったら「ハニー!塗り薬よりこっちが効くわよ~!」と引き出しから出されたのは、注射針!

「注射は苦手なので…!!!」となどと躊躇するも、オカマ先生完全スルーで、頭に注射を何本も打たれ、頭から血を流しながら涙目で会社に戻った中年オカマ…。切ない!



2016年11月14日

Moonlight

トランプが次期大統領に選ばれてからの数日は、この街のあちこちで反トランプ派の抗議デモが続いていて、街全体もまるで大事な人を失って喪に服しているような重い空気だった。

サンフランシスコ郊外を走る電車内で、中東の言葉で会話をしていた乗客に対して、トランプ次期大統領の名の元に"テロリストは国に帰れ"などと酷い言葉を投げかけた女性のビデオも投稿されていたのを観た。

カリフォルニアの中でも最もリベラルといわれるこの街でさえも、こういうことが起こっていると思うと、「街で赤い服を着てる人を見るだけでも、心がざわつく」と言っていた友達の気持ちも分かる。

アップル社のCEOが社員全員のEメールで、励ましのメッセージを送ったとニュースでやっていたが、自分の働く会社のトップからも同様に、トランプの名前こそ出さないものの、「人種、出身、宗教、性別などに拘らないすべての社員を守る」とメールが届いた。

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それでも、やらなきゃいけない仕事はあるし、腹も減るし、10円ハゲも治らないし!

気分転換も必要だわよね、ということでこの土曜日は早起きしてフェリービルディングのファーマーズマーケットにやってきた。

暖かい気候の中で、普段の生活を取り戻した人々の中にまぎれて、色鮮やかな野菜や花達を眺めながら歩く。

最後は、いつも味噌や塩こうじでお世話になっているお店でお弁当を買って、海を眺めながら身体に優しい昼食をとったら、なんとなく元気が出てきたわ!

秋晴れの空の下で、太陽に当たりながら、外の空気を吸って食うと
何でもおいしいのは、なーぜ。


このまま家に帰るのももったいないと、近くにある映画館で「来年のオスカー有力」と言われている(?)ゲイ映画「Moonlight(ムーンライト)」を見に行った。

ゲイ映画というと、大抵誰かが亡くなったりと悲劇的な盛り上がりで締めくくられるものが多いが、この映画はフロリダのマイアミを舞台にアフリカ系アメリカ人の少年が成人になる間に、彼の中のゲイであることを認識していく過程を淡々と描いた、ヨーロッパの映画のような静かな作品だった。

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日曜の夕暮れ時。

今夜は久しぶりに家のベランダでビール片手に、テレビも携帯もオフにしてぼーっとしている。

日がだんだん暮れてくると、ひときわ大きく月が見えてきた。

そういえば、ニュースで69年ぶりだかに月が地球に接近していると言ってたっけ。(なんか毎年こんなニュース聞いているような気もするんだけど、気のせい?)

大統領が誰になろうが、月は回るし、どんな環境に居ようが、時は流れていくのよね。

今世紀で最も月が近づくのは2052年だという。

36年後のスーパームーン。観れるかすら?!


ずっと空を眺めていると、月の動くスピードもかなり早いことに気づく。


AEDAN Fermented
Ferry Building, 1 Ferry Building, San Francisco, CA 94111

歳を取るごとにこういう身体に優しい食事の大切さを実感する訳で。市内のスーパーマーケットでも味噌・塩こうじは購入できるのがありがたい。


Embarcadero Center Cinema
Embarcadero Center, 1 Embarcadero Center, San Francisco, CA 94111

劇場によっては、椅子を180度近く倒せるので、ワイン片手に家で寝っころがってるような気分で観賞できるのがうれしい。



2016年11月11日

誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ②

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前回までのおはなし
誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ①

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いつもならば、平日仕事から帰ると、夜飯を食ったあとはソファーでまったりと本を読んだり、へたっぴなピアノを練習したり、ネットフリックスでドラマやドキュメンタリーをみたりして過ごすのだが、トランプショックが醒めない今夜は、そんな気分にもなれず仕事用の机に座りネット上で世間の反応や意見を読み漁っていた。

選挙日当日は、多くのメディアが出口調査の結果、ヒラリーが当選確実と報道していた。


なので自分もうっかり先走って、帰り道のスーパーマーケットでスパークリングワイン買ったりしてたわけで(結局開けることもなく、まだ冷蔵庫の奥で眠ってるわよ・・・どうしよ、これ)。


結果は、ヒラリーでなくトランプ。ヒラリーが当確と報道していたメディアは、「口ではヒラリーに投票したと言いながら、実際はトランプに投票した、隠れトランプ派が多くいた」と分析している。


ネットで今回の選挙に関するニュース記事や動画を見ながらも、同じく気持ちを落ち着けられずにいる、同業者OLのM子と電話で意見交換だ。


2人で「とんでもない行動や発言をするトランプも脅威だけど、それ以上にそのトランプを平気な顔して支持するアメリカ人がこれだけいるっていうのがすごく恐いわ。」と話していたが、どうにもこうにもトランプ派のアメリカ人を理解できないでいた。


「民主党オバマ政権下での現状を不満に思っている人たちは、同じ民主党でバリバリ政治畑のクリントン選んでも変化がないと思ったら、ぶっとんだ人種差別主義者のトランプに投票した人が多かったのかもしれないね」


確かに、好景気とされるこの街に住んでいると、現状でそこそこ満足した生活ができているから、オバマ政権を引き継ぐヒラリーで現状維持でいいじゃないの、と思っている人も多いかもしれない。


一方で数年前に財政破綻したデトロイトのある激戦州のミシガン等の中部の人やオハイオの人たち等は、現状維持のままじゃ生活もままならないと、藁をもすがる思いで新しい変化に期待して、政治畑にどっぷりつかってないトランプに投票する人がでてくるのも理解できる。


そう考えると、彼の幼稚ともとれる行動や人種差別的発言は容認できないから「あたしゃ、トランプ派よ!」などとは口を避けても言えないがに、でも自分の生活をかけて、こっそりトランプに投票した「隠れトランプ派」がいたことにもつながってくるか。


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今日も自分のフェイスブックのウォールは、トランプ勝利の名のもとに侮蔑発言を受けたアフリカ系アメリカ人のグーグル社員の話や、イスラム教徒の娘が母親に来年からは髪を隠すスカーフをして街を歩くのが怖いと泣いた話、トランプ勝利が決まった夜に中西部にあるゲイバーの外壁にゲイを排除しろと落書きされた話などなど、悲しい話で一杯だ。

選挙活動中、何を話しても嘘臭く聞こえるなどと陰口をたたかれていたヒラリーだけど、敗戦が決まった後のスピーチで、目を濡らしながら「American Dreamは、誰もが持つことができるもの。すべての人種、すべての宗教、すべての性、移民、LGBT、身体が不自由な人たち、すべての人たちのもの」と話していたときは、やっぱり自分個人としてはヒラリーに決まって欲しかったと思ったわけで。









2016年11月10日

誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく

アメリカ大統領選挙当日の朝。

いつもと変わらず、ここ数年の景気向上で人口が急増したこの街の朝の通勤電車は、東京の山手線のように満員で、ぎゅうぎゅう押されながら乗り込んだ。

いつもと違うのは、みな胸に服の上から"I Voted"のシールを貼り付けていること。

みな投票したことを誇りにしシールも貼るし、フェイスブックでは朝から皆の" I voted"のステータス表示が賑わっている。


昼の3時(東海岸時間で夕方6時)を過ぎると、各テレビ局や新聞社のウェブサイトが一斉に開票速報を流しだした。

"赤の"共和党が強い東部、中西部の州の開票からはじまるので(選挙の仕組みはこちら)、はじめのうちは共和党のトランプが優勢になるのは誰もが予期していた。なので、ニュースで共和党優勢と報道されても、まだ"青の”民主党が強い西部も接戦州もあるしと誰も驚かず騒がず、静かにいつもどおり仕事をこなしていた。

帰宅時間になりコンピュータを閉じる前にCNNのサイトで確認すると、接戦州と言われるフロリダとオハイオが"青の"民主党ヒラリー優位と出ていて、やっぱり予想通り今回はヒラリーで決まりだわね、等と安心して会社を出る。

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首都のDC、ニューヨーク、シカゴのあるイリノイ、シアトルのワシントン、ハワイ、そして自分の住むカリフォルニアと都市部は民主党が強く、自分の周りもヒラリー支持者しか見あたらない。

ヒラリーにも問題はあるかもしれないが、政治・軍事のバックグラウンドがなく、ましてや女性蔑視やマイノリティ侮蔑の発言を繰り返すトランプが、この国のましてや世界のリーダーになり得るはずがない、というのが皆の共通の意見だった。

グリーンカードがあっても市民権のない自分は投票権がないのだが、トランプだけにはマイノリティー(オカマでかつ非米国人)である自分の輝ける(?)40代を任せられないわ!とわずかながらの献金でヒラリーを応援していた。

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仕事の帰り道、今夜は次の4年(あるいは8年)をがんばってもらうヒラリーちゃんにお祝いしなきゃね、とスーパーマーケットによってスパークリングワインでも買おうとおもったら、ほとんど売り切れで残りあとわずか。皆考えることは一緒だわね~、などと納得して家路についた。

しかし家についてテレビをつけると、CNNのキャスターが青い顔をして何か叫んでいる。

ちょ、ちょっと何があったのよ!?とテレビ画面に見入ると、フロリダ、オハイオをはじめとする接戦州がすべてトランプ優位なんて出てるじゃないのよ!!!

一体何が起こってるのか、急いでフェイスブックやLINEで友達と確認すると、皆「何が起こってるのか理解できない」「もう見ていられない」「気持ち悪くなってきた」「カナダに引っ越す」「でもカナダの移民局のサイトにつながらない!」などと動揺と混乱で大変なことになっている。

仕事着のまま着替えもせずに呆然とするあたしに、CNNのキャスターは「まだ、わかりません!ヒラリー候補の逆転の可能性は十分にあります!」などと慰めてくれたけれど。

ほ、ほかのメディアはどう報じているの・・・とニューヨークタイムズのサイトを見てみると、「トランプ候補の勝率95%」とグラフで示していて、もうこの時ばかりは、いつも女優ぶって演じる自分も本気で床に崩れこんだわ。

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アメリカ大統領選挙の翌朝。

睡眠が浅かったのか身体がだるく、なかなかベッドから抜け出せずにいた。昨日のトランプショックが、非米国人である自分にも思っていた以上に衝撃だったのか。

日本に住んでいた頃は、アメリカ大統領選など日本に影響はあるとは言え、なんだかんだいっても他人事だったのにね。

皆、このショックを共有したいのか、朝っぱらから女友達やオカマ友達からメッセージが届いた。

「とんでもない行動や発言をするトランプも脅威だけど、それ以上にそのトランプを平気な顔して支持するアメリカ人がこれだけいるっていうのがすごく恐いわ。」
「さっきニュースで見たけど、オバマが築いてくれたLGBTの権利も、トランプなら宗教の名のもとに取り上げかねないわよ!」
「株価暴落で、うちらの401Kもやばくない?」
「うちの会社、労働ビザで日本人や中国人を採用してるけど、ビザが凍結したら人材不足になって仕事まわらなくなりそう・・・」
「トランプってディベートで何度も日本の軍事費負担要求を叫んでたから、日本にもすぐトランプショック及ぶわね」
「カリフォルニアはもうアメリカから独立すればいいのよ!十分経済力・自給力あるし!経済規模フランス抜いて世界6位だってよ」
「もうブラジル引っ越す!それか、独立国作るわ!(C)野沢の直ちゃん」

もう、みんなトランプショックで朝から疲労困憊で、何がなんだか訳わかんなくなっている。

いつもは満員の通勤電車も、今日は座れる程に空いていて、会社についても人はまばらで、数えるほどしか来ていない。

トランプショックで誰も家からでる気力がないのか。

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夜、これを書いている今も、外のカストロの通りでは人々が集まり、「自分達の権利は自分達で守るしかない」と誰かが拡声器を使って叫んでいるのが聞こえてくる。

"誰かと争うのではなく 自分をみつけたいだけ
誰かを憎むのではなく 想いを伝えたいだけ

Seven Days War 戦うよ
僕達の場所 誰にも譲れない

うつむかず生きるために"

この曲、好きで若い頃よくカラオケで歌ったよなぁ。(下手っぴでジャイアンとか言われてたけど)

まさかこのご時勢に、この歳になって、自分達の今ある権利を国によって脅かされることになるとは。

次の4年間は、自分達を守るための戦いだよ!
(大げさ???)

2016年10月28日

喜びが川となり悲しみは虹を呼ぶ なだらかな名前さえ知らない坂だけど

雨の木曜日。39歳の誕生日。

急ぎの仕事もないし、出たくないミーティングもあるし、なんだかんだと理由をつけて仕事を休んだ。

パジャマのまま窓の外の雨の街を眺めながら、今日は何をしようか考える。

平日に会社を休んでも 、皆仕事で会う人もいないしなぁ。

ひとり家で何もせずにいるのももったいない気がして来て、シンフォニーホールでサンフランシスコ交響楽団が朝からリハーサルを公開しているというので覗いてみたり、サボり気味だったジムに行って軽く筋トレした後に、日本街にあるスパにあるサウナと風呂で汗を流したりして過ごす。

スチームサウナの熱気でぼーっとしながら、「気がつけば、まあよくここまで来たもんだ…」とこの人生を振り返ってみる(大げさ!)

誕生日と言えば、子供の頃はケーキやプレゼント、20代は流行りのお洒落な高級レストランでお祝いしてもらったりと誕生日を楽しみにしていた。30代前半に至ってはシングルで誕生日当日をひとりで過ごすのが怖くて、仲の良い友だちに「お願い!今月末誕生日だからひとりにしないで!お願いよお!」 などと、めんどくさいオカマやっていたこともあったわ

35を過ぎた頃からは、そんなのもうどうでもよくなって、オカマ仲間とは「誕生日なんて努力も何もしなくてもやってくる日でしょ?祝う必要なんて無いんじゃない?」などと強がった発言をしたりする。

それでも誕生日には、イカのスルメを日本から送ってくれる両親や、メールやLINEでメッセージをくれる兄弟・友だち、庭で採れたゴーヤを持って来てくれる上司、そして気を使って平日の忙しい中、皆を呼んで温かいおでんと手作りのケーキでお祝いしてくれる数少ないこの街の仲間がいる。

誕生日も終わり夜、日付けが変わる前にベッドに横になりながらそんなことを思ってたら、有り難くて何だか泣けてきたわよ。(涙腺弱くなったのも、また歳とった証拠だわ)

誕生日とは、人生ここまで見守ってくれた家族と親しくしてくれた人々に感謝する日なのだ、と40になる前に気付けて良かったと思う訳で。

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先輩、40歳で亡くなります!」と、大学の後輩が自分の手相をみながらぶっ飛んだ発言をしてくれたのがきっかけではじまったこのブログ。

40歳まであと1年。どうなることやら。

健康に平穏にこのゆるやかな坂を登っていけますように!






















2016年10月24日

弟の夫

東京に戻る度に、お邪魔しているカフェがある。

青山の根津美術館の近くの通りを一つ入ったところにある静かなところで、慣れない東京の喧騒に疲れたら、いつもここでお茶とお菓子を頂きながら休ませてもらっている(ばーさんかいな)。

図書館のように本やCDがおいてあって、試読・視聴もできるところも好きだ。

夏に東京に帰った時に、そのカフェでおすすめされて購入した中島ノブユキ氏のCDをかけながら、今日は何の予定もない週末を過ごしている。

朝からジムに行くつもりが、だらだらと過ごしているうちに、「天気もあんまり良くないし」などと理由にならない理由をつけて、サボっちゃおうという気になってくる(こんなんだから、いつまでたっても痩せられないじゃない)。

読書の秋だし何か本でも読もうかと、アマゾンでよく読む作家の本をいくつか物色していると、田亀源五郎大先生の漫画「弟の夫」の新刊が出てるじゃないの!

条件反射でクリック購入して、ipadにダウンロードしたあたしです…。

田亀源五郎氏といえば、オカマ仲間の間では"大先生"と呼ばれ(勝手に)、「ゲイ・エロティック・アーティスト」として世界的にも有名であるが、その"大先生"が初めてゲイ雑誌ではなく、一般の月刊誌に連載しているのが、この「弟の夫」なのであった! (C)来宮良子

『小学生の娘・夏菜と父子2人で暮らす弥一と彼の弟(涼二)の結婚相手であったカナダ人男性・マイクが織りなすホームドラマ。』 (Wikipediaより)

特にエロティックなシーンもなく(時々マイクのチラリズムでてきますがな)、夏菜と弥一とマイクの日々のやりとりを通して、カミングアウトだったり、同性婚だったり、日本でのゲイのありかたをやさしく説いている。

第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、ってのも、すごいよなぁ。(自分が日本でオカマ雑誌買って読んでた頃の田亀先生っていったら、もうほんとにすんごい"エロティック"だったのよ!)

よしながふみ女史の漫画「きのう何食べた?」も、一般雑誌に掲載されている中年弁護士のシロさんとそのパートナーのケンジの物語だが、漫画でもなんでも、こうやってLGBTへの理解が日本でも進んでいるのならば、嬉しいし有難い限りだ。

(きのう何食べた?の最新刊も確か今週発売だわ!日本街の紀伊国屋さん行って来ます!)

2016年10月22日

It's a lonely road but I'm not alone そんな気分

「最近、女子会やってないね」
「みんなでオイスターとワインでブランチやりたい」
「久々にWater Bar、やっちゃおっか!」

というわけで、晴れた土曜日の昼下がりに、海沿いにあるレストランWater Barで、女子2人(M子、K子)、オカマ1人(あたい)の3人で、久々の女子会となった。

この街にも生牡蠣を1つ1ドルで食べられる店がいくつかあるが、このWater Barもそのうちの1つ。しかも海沿いでベイブリッジが目の前に見えるので、旅行で来た友人や仕事のクライアントに「シーフードの食べられる眺めのよい店ない?」と聞かれたら、とりあえずリストに入れる店の1つだ。

自分と同じ業界で働くM子ちゃんと、シンガポール帰りのデザイナーK子ちゃんと、山盛りの生牡蠣と白ワインで久しぶりの乾杯。

同年代の未婚の女子(とオカマ)が集まると、近況報告、仕事の話、そして男の話になるのは自然の摂理。

3人とももういい年だから、「子供をつくりたい?・育てたい?」の真面目な話にもなるし、3人とも親が日本だから「親との関係、親の老後」の心配の話にもなるし、3人とも結婚の予定もないのに、「結婚式あげるとしたら、ブライドメイド何人ほしい?」などと、もう話はとりとめもなく、あちこちに飛んでいく。

しかも、窓際の席からは、時折、上半身裸で海沿いの歩道を走るいいオトコたちが見えたりするから、話が中断して、みんな突然静かになったりする。


ネットで調べたところ、体調が万全じゃないときは、生牡蠣は控えるべし、とのこと。
女子2人が生牡蠣をもぐもぐしてる間、指をくわえてパン食ってたオカマ1人。



ベイブリッジは、夜のライティングもきれい。


若い頃は、友達同士でも、きれいぶったり、取り繕ったりしてたけど、3人それぞれに色々楽しいことも苦い経験もしてきたこの女子達とは、なんでも正直に全部話せるから、楽だ。 

前にもオカマのY子とお互い正直に色々言い過ぎて、いい年してケンカになりかけたが、正直に言い合えるからこそ、真面目な話もきれいじゃない話もお互いに出来るようになった、というところか。

船に乗って彼に会いにいくというK子をフェリービルディングで見送って、ほろ酔いで地下鉄に乗り、宇多田ヒカル氏の新しいアルバム「Fantôme」を聴きながら、家路につく。

It's a lonely road
But I'm not alone
そんな気分、だ。


Water Bar
399 The Embarcadero, San Francisco, CA 94105
http://www.waterbarsf.com/

$1オイスターは、毎日11時半から17時半までですよ。

2016年10月19日

LOOKING

久々の雨の週末。

サンフランシスコ港から船に乗り、隣町のアラメダに向かった。

K枝がこの日曜日に誕生日を迎えて、アラメダにある幾つかの造酒所を、皆で回りたいと言い出したのだ。

「こんな雨の中、あんたの誕生日じゃなかったら、絶対断ってたわよ!」等と、悪態をつきながらも、船から雨に濡れるサンフランシスコの港や、ベイブリッジを眺めるのも、たまには良いもので。

船を降りて、歩いて5分ほどすると、米国海軍の基地の跡地に着く。この旧基地内に、セント・ジョージハンガー1など、地元でも人気のウォッカやジンの造酒所があるのだ。

この貨物船はどこの国へ向かうのか、思いを馳せる乙女(オカマ)。

旧基地内には、兵士達が使っていたジムが、一般に開放されている。
(中で一体どんなトレーニングが行われているのかすら・・・)



晴れ間の空の遠くに見える、サンフランシスコの美しさよ。
ほろ酔いの日曜日。



酒好きと言いながら、ウォッカやジンの味の細かい違いなど全く分からない自分だが、遠くに見えるサンフランシスコの町を眺めながら、色々な種類の酒を少しずつ味見するのは楽しい。

K枝も、造酒所のハンサムなお兄さんの説明に頷きつつ、時には質問をしたりして、テイスティングを楽しんでいるようだ。(酒よりお兄さんに興味あったみたいだけど!!)

バースデーボーイのK枝に、どんな42歳の1年にしたいかと問うと、「健康でいられればいいかな~」と一言。まわりで聞いていた同年代のオカマ達も皆深く頷くのでした。

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数年前から2年間、HBOというテレビチャンネルで「LOOKING」という、サンフランシスコに住むゲイ3人を主人公にしたテレビドラマが放送されていた。

2シーズン目で、中途半端なまま打ち切りになってしまったのだが、つい先日、その完結編が"映画版"という名目でHBOやiTunes等で公開された。

ドラマでの話自体は、特に大きな盛り上がりもなく、淡々と3人のオカマのサンフランシスコでの生活や仕事、恋愛が語られてゆく。

オカマ仲間の間でも評価は分かれていたのだが、自分は、この普通で淡々とした物語が逆に自分達の生活を投影できたし、ドラマの中でのサンフランシスコやその郊外の風景を見るのも好きだったので、比較的楽しんでいた。

メインキャラクターのパトリックを演じるのは、「Glee」「Frozen」のジョナサン・グロフで、本人もゲイであることを公にしている。


Sutro Bathからのサンフランシスコ湾の眺め (C) HBO

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この街に来たばかりの20代の頃は、サンフランシスコなんて、東京やニューヨークと比べて、小さくて田舎臭くて、買い物も夜遊びももつまらないし、退屈な街だわ!等とぼやいていた。

けど、十年以上住んでみて、少しずつ年をとってくると、そのこじんまりしたところが逆に身体に心地よく、身体に馴染んでいることに気付く。

今でも、東京やニューヨークのキラキラした生活に憧れるけれど、この街も車を飛ばせばナパのワイナリーにもいけるし、こうやって船にのれば、軍隊旧基地でウォッカのテイスティングもできるし(酒の話ばっか!)。

物価が高くて、ひーひー言ってるけどね。




St. George Spirits
 2601 Monarch St, Alameda, CA 94501


2016年10月17日

29歳のクリスマス

今年の夏もベランダでバジルや長ネギを鉢で育てていたのだが、冷夏だったせいか、前回に比べてなかなか大きくなってくれなかった。ちゃんと育ってくれたのは、レモンの木くらいだ。

水遣りはちゃんと定期的に土の湿度を確認してやっていたのになぁ。愛情を注ぐのが足りなかったかしらん。

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休日出勤の朝、仕事に向かう前にカストロのカフェのテラスで、いつものオカマ仲間と周りのいい男達をながめながらコーヒーをすすっていると、M男が自分の顔をまじまじ見ながら言う。

「すんげぇ、疲れてるよ。顔。」
「やっぱり? 仕事忙しいからね。咳もでるし。若い時と同じ勢いで働いてると、疲れも取れないしキツイわ。」

横にいたY子も、オレンジジュースを飲みながら自分を見て言う。
「ほんと、白髪もすごい。......え、やだ、ちょっと、あんた! 左後ろ側に10円ハゲ!」
「えええ!!!嘘でしょ!? どこ!? ちょっと、携帯で写真撮ってみて!」

Y子に写真を撮ってもらうと、確かに、どっからどう見ても、毛が生えてない部分があるのが分かる。後ろ側だから、自分では全然気づかなかったわよ!

えーん! 薄毛、高血圧、咳に続いて、今度は10円ハゲなの!?
こんなんじゃ、職場で演じてる寡黙でクールなイメージが台無しだわよ!!(嘘嘘)

もっと大きくなったらどうしよう、などと心配しながら、手でハゲ部分を気にしながら、会社に向かう電車で、前に同じく円形脱毛症を患ったK枝に、携帯からメッセージを送ると、「気にしなければすぐなおるよ! 気になるようだったら塗り薬も売ってるし。病院行けば注射で治療も出来るから。」と、経験者ならではの的確な心強い返答がすぐに返ってきて、少し安心する。

持つべきものは同年代の友達だ~よね。。。

翌日、病院で、ずっと続く咳をもう1度診てもらうついでに円形脱毛症の相談もしてみると、担当を呼んでくれるという。

暫くして、ハゲ専門(?)の背の高いオカマのお兄さん看護師が部屋に現れたかと思えば、ささっと自分の頭皮をチェックしはじめ、「あー、大丈夫、大丈夫。もう生え始めてきてるわ! そのうち治るから大丈夫!」とウインクして去っていった。

どんなにいい男にウインクされても、今はそれどころじゃないのよ~!

職場に戻り、仕事が忙しいといいながらも、医療オタクの元同僚にもチャットで報告。

「あんた、長引く咳も、10円ハゲも、仕事のストレスで免疫系やられてるんじゃないの?」
「確かに残業続きで体力的にはつらいけど、慣れた仕事ではあるから、精神的なストレスは大して感じてないと思っていたんだけどねぇ」
「あんた、そんな疲れた顔して、頭に"ミステリーサークル"作ってたら、宇宙人(オトコ)も寄ってこないわよ! ぎゃっは!」
「ぎゃっは、じゃねーわ! えーん、もうこの仕事辞めたい!」

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今日も、後ろの毛を気にしながら残業をこなし、なんとか家路に着く。

スーパーで買った安ものの赤ワインを開けてソファーに座り、毎年この時期になると観たくなる「29歳のクリスマス」を観ることにする。

このテレビドラマも、誕生日前に10円ハゲができたOLが主人公だった。

20年以上前のドラマだが、まあ飽きもせずに何度も観てる自分。
中村トオルもいい男だよなぁ。


ベランダの野菜も髪の毛も、
愛情そそいで(ストレス減らして)あげないとダメだーね。



2016年10月9日

空に憧れて 空をかけてゆく

明日までに終わらせなければいけない書類を必死にチェックしていると、突然オフィスのビルが振動するくらいの音が轟いた。

若手のスタッフと一緒に窓に近づいて外を見ると、綺麗に並んだ4機の青い飛行隊が、隣のビルの真横を、きれいに列をなして通り過ぎていった。

今年もフリート・ウィークの季節がやってきたのだ。

毎年10月のこの時期になると、週末の航空ショーの練習のため、飛行隊がゴーゴー音を立てて空は騒がしくなし、海軍の制服を着た兵士達が歩いているのを街のあちこちで見かけられる。

軍服を纏い、訓練で鍛えられた身体と国を守るという誇りと自信にあふれた顔をした男たちでいっぱいになるこの一週間は、サンクスギビングやクリスマスよりも、密かに楽しみにしている自分である(ムフ)。

朝起きて外を見たら、飛行練習やってる。
この影響で、通常の旅客機も運行に遅れが出てるらしい。

オカマ友達や女友達とは、
「スーツとか制服着てるオトコって、いいよね~」
「それだけで、見た目、2倍はアップするわよ!」
「でも、彼らの私服姿みると、割とがっかりする事多いけどね」
などと、いつも好き勝手な事をよく言っているけども。

仕事で帰りが遅くなった夜、ひとりタクシーの窓からダウンタンの通りを眺めていると、夜遊び帰りの制服の若い兵士達が、騒ぎながら群れをなして歩いている。

紺色の制服と白い制服の違いは何なんだろ、などとぼんやり考えながら、彼らの姿に釘付けの自分。運転手さん!お願い車止めてっ!などと、女優めいて心の中で呟いても、彼らの広い背中はだんだんと小さくなっていくだけ。

そういえば、亡くなった祖父も海軍だった。

今、自分がこうやって、ここで平和に暮らしていられるのも、彼らのお陰だ。

家に着いたら、セックスアンドザシティの海軍兵士達が出てくるエピソードを観ながら
さっきの兵士たちを思い出して、一人酒だよ。


オカマのK枝からは「フリートウィークといえばこの曲よね」と、
ぶっとんだ格好のシェールの名曲の動画が携帯に送られて来たわよ。


2016年9月30日

人は大人になるたび 弱くなるよね

ここ1ヶ月程、ひどい咳が続いている。

痰のからむ咳で、仕事中もごほごほやってると、体の内側が圧迫されるせいか頭も腰も痛くなってくる。

上司には「繁忙期終わるまでは倒れないでよ」と念を押され、若手スタッフには「お願いだから、うつさないでね。家帰りなよ!」と冗談口調で(でも顔は本気で)言われる始末。

同じく体調を崩している同年代の日本人の同僚とは、「仕事より健康が大事だよ~。早めに仕事ドロンしちゃお~」とお互い労りあっている。

あまりにも治る気配がないので、念の為、One Medicalの先生に診てもらうことにした。

一昔前はちょっと病院にかかるのにも、予約するのが大変だった。前に皮膚科にかかった時は1ヶ月以上待ちと言われ、「1ヶ月も待ってたら悪化するっつーの!この国の医療はどうなってんのよ!高い保険払ってんのよぉ!」と病院の事情も知らず、大人げなくオカマ丸出しで憤慨したものだが、今はこのOne Medicalのウェブサイトで当日受診可能な医師や看護師を探して、簡単に予約できるから本当にありがたい。(しかも先生の顔写真付だから、いいオトコの先生を指定しちゃう自分。ムフ)

昼休みに、仕事場の近くにあるOne Medicalの診療所に向かい、中国系の若手の先生(いいオトコ!)にあちこち診てもらったが、肺も何も異常なしと言われ、とりあえず咳止めの薬と気管支拡張剤を処方された。

後で薬局に薬とりにいったら、薬代合計80ドルって言われ、思わず「嘘でしょ?これ保険でカバーされてんのよね???」とレジで叫んだ自分。ほんとに医療が高くつく国だわ・・・。

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若い頃はちょっと風邪を引いても、病院なぞ行かずとも1日2日で回復していたのに、今じゃ、1ヶ月経ってもなかなか治らない。80ドル払った薬を飲んでも、改善した感じもなし。

体の体調が悪いのが長引くと、心の元気にも響いてくる。「あ~、こりゃ体調悪いから、気分も落ちて来てんだわ」と頭では分かっているんだけどね。

心が弱まると、何をしても元気が出ないから、誰かにこぼしたくなる。子供だった頃はそれが親であったけど、今はむやみに心配もかけたくないから言わないでおく。

思わず、オカマ友達に「体調悪くて、心が元気でない~。元気頂戴!」と携帯で弱音を吐くと、「あんた。あたしは体調良くても、いつも心が元気ないわよ! そっちこそ元気頂戴!」と返される始末だ。

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仕事の合間にネットで調べてみると、咳にはレンコンが効くという。

そういえば、会社の近くにあるよく行く日本のお惣菜の店にレンコンとゴボウのサラダがあったのを思い出す。この店は、そこらにあるアメリカナイズされたチキンテリヤキやテンプラを出す典型的なアメリカの日本食と違って、身体に優しい味付けのお惣菜の店で、ランチでも残業の日の夜メシでもよくお世話になっている。
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でも、こんな時は、母親の根菜たっぷりの味噌汁、食いたくなるよな~。

さて、弱音吐いてないで、Delicaのレンコンサラダ食って、早く元気にならねば。


体調は悪くても、哀しい程お天気


Delica
1 Ferry Building #45, San Francisco, CA 94111
野菜カレーや豆スープもある。油もの食いたい時は、コロッケやミニトンカツもうれしい。

2016年9月28日

仰げば尊し

会社帰りのジムで走る時は、大抵周りのいいオトコ達をちらちらとチェックするか、携帯のyoutubeで日本のお笑い動画を眺めているのだが、ここ数週間は、ついこの間まで日本でやっていた「仰げば尊し」というドラマにはまっていた自分。

自分の地元でも有名な横浜の高校の、吹奏楽部と実在した先生をモデルにしたドラマで、その「美崎高校」の弱小吹奏楽部が、「樋熊先生」の指導の元、コンクールの全国大会を目指すという典型的な青春モノだ。

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自分も中高は吹奏楽部で、全く強豪ではなかったけれど、夏のコンクールを目指し、毎日朝はマラソン、放課後は遅くまで楽器の練習、という日々を過ごしていた。

今振り返れば、土日も夏休みもなく、まあよく毎日練習に出ていたもんだわ、と思う。(顧問の先生も、よく自分の時間を犠牲にして、つきっきりで子供相手に指導してくれたよなあ)

ドラマも最終回が近くなり、美崎高校の吹奏楽部が地区大会での演奏を終え、結果発表で「金賞」の賞状を受け取り、仲間みんなで抱きあって喜び涙しているシーンを観たとき、自分も20年以上前に地区大会の結果発表の舞台に立ち、同じように「金賞」の結果を受けとった時のことを思い出して、ジムで走りながらも思わず涙腺がゆるむ。

ドラマでの美崎高校は、その後関東大会まで駒をすすめるのだが、自分の弱小吹奏楽部は、弱小のまま神奈川県大会止まりで敗退。その後は皆、受験なりなんなりで、あっという間に卒業となり、気がつけば卒業からもう20年じゃないのよ...!

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今時、こんな青春ドラマ、うけるのかしらん?と鼻で笑いながら観はじめた自分だったけど、ドラマを観ながら、皆、子供なりにそれぞれ悩みを抱えて、仲間と泣いたり笑ったりしながら過ごした当時の自分達の”青春時代”を、一瞬だけでも思い出せて思わずほっこりした訳で。

今でも日本に帰る度に、若くして逝ってしまった当時の仲間のお墓参りがてら、皆で集まって、最後はいつも思い出話になる。

「早朝マラソンのとき、あんた文句たれて、あとで先輩に呼び出しくらってたよね。」
「うわ~あの先輩、ほんと嫌いだった。今どこで何してんのかな。ってか、あんたなんて、演奏前にホルン踏んづけてへこまして大泣きしたじゃん。」
「ねぇ、ピアノが上手なオーボエのHちゃんのこと、男子みんな好きだったよね~。あの子、この間結婚したらしいよ」
「S夫って、合宿中のロングトーンの練習のとき、トロンボーン構えたまんまで鼻水たらしながら、居眠りぶっこいて先生に後ろから頭はたらかれてたじゃん。今じゃ女の子2人のお父さんだって」

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中学生の時からお互いを知り、今もこうやって会うと変わらずにあの頃の"青春時代”を懐かしあえる古い仲間がいるのが本当に有難い。この年になって今から、あの時代を分かち合ったような仲間を作るのはもう難しいから。

年をとると、懐古主義になりがちだが、それがうっかりすると"青春時代"があったことも忘れかけている今の自分の心を支えてくれているのなら、懐古主義も悪くないじゃない、と思える訳で。

当時は女子みんなスカート長かったよね。  (C) TBS


懐かしい景色  (C) TBS




2016年9月21日

薔薇のように咲いて 桜のように散って

日本人の同僚と社内チャットで、仕事の合間に話すことといったら、大抵ヤフーニュースでみた日本の芸能ネタなのだが、最近はもっぱら小林麻央さんのブログのことだ。

身近にも、癌で戦っている人や、克服して元気になった人がいる。あちこち身体の衰えを感じるようになった年齢の自分も、麻央さんの癌との戦いは他人事ではない。

日々更新されるブログの内容に、心配しながらも見守ることしか出来ない我々だけど、彼女の文章に逆に励まされたりしている。

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父から日本も大分朝晩は涼しくなったとメールが入った。サンフランシスコも大分秋らしくなってきている。

そんな中、この週末は朝から真夏のような暑さになった。ショートパンツにタンクトップでいられるような、こんな気温になるのは年に数えるほどしかないサンフランシスコの街。

そりゃ、このチャンスを逃すまいと、オカマ仲間みんなで丘の上にある公園でピクニックになる訳で。

Dolores Gay Beachと呼ばれるくらい、オカマだらけ

地元の美味しい生ハムやら、日本から送られてきたイカのくん製やら、近所のケンタッキーで買ったバケツ入りのチキンやらを、みんなで持ち寄って(組み合わせめちゃくちゃだけど・・・)、スパークリングワインで乾杯!

強いカリフォルニアの日差しの下、80年代のJポップを流しながら、横目で裸のオトコ達を眺めながら、きゃっきゃと仲間とはしゃぐ日曜日の午後。

気がつけば、涼しい秋の風が吹き始めている。

「あ~、あたし今すごい幸せかも~!」
いつものY子が酔っ払って独り言のように言う。

うっかりすると、"これが足りない"とか、"あれが欲しい"、と無いものばかりに目がいって、不幸ぶりがちな自分達だけど、限りある人生の中で、今こうやっていられること、こうやって一緒にいられる人達がいることを、有難いと感謝して生きなきゃいけないのよね。

なんて酒片手に熱く語ってみたら、
「ねぇ、あんた、最近見た目も大分年取ったけど、話も大分説教くさくなってきたわよ」
などと突っ込まれる自分。

ほんと年とったのね。

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週末明けは急に冷え込んで、秋というより冬のような寒さ。

空気が秋めいてくると、携帯のプレイリストに南野陽子の「秋からもそばにいて」やら小泉今日子の「木枯らしに抱かれて」やら、やたら秋っぽい曲を並べて聴くのが好き。

今日はそこに松田聖子の新しい曲「薔薇のように咲いて 桜のように散って」を加えて通勤だよ。

ルリラ~ ルルリラ~
限りある瞬間を抱きしめる~




Mission Dolores Park
19th Street & Dolores Street, San Francisco, CA 94114

改善工事のあとはトイレもきれいになって、ますますお気に入りの公園です。

2016年9月16日

妥協しない 焦らない 淋しさに負けない

「もうあたし、一生一人で生きていくかもしんない…」

真夜中前のあまりひと気のないカストロのバーの裏手にあるテラスで、秋の夜空の下、酒を片手にオカマのY子が女優めいた口調で言う。

Y子とは、お互い仕事が遅くなると、こうやって仕事帰りに「このまま真っ直ぐ家に帰って寝るだけってのもねぇ」と、一杯飲んで帰る仲なのだが、大抵Y子の恋愛話に終始する。


「一人で生きていくとかいって、そんな覚悟全然ないくせに! んで今回は何があったの」

話を聞くと、最近付き合い始めた年上の男から、連絡が来たり来なかったりと、宙ぶらりんのもやもや状態だという。

若い頃だったら、「そんなめんどくさい男なんか捨てて、次の男探せばいいじゃん!」と、強気で言えたけれど、この年になると次にいつ良い出会いがあるかも分からないから、早々簡単に捨てられないし、諦められないのは分かる。

この年になっても、たまに仲間みんなでオトコ達が集まるバーで「この中でどのオトコが見た目一番イケる?」などと、いい年して下らないことで、きゃっきゃとはしゃいだりするけど、実際の相手探しとなると、もはや見た目よりも、どれだけ「将来長く一緒にいられそうな人」かのほうが重要になってくる。

若い時に夢見た、白馬の王子様も大金持ちの石油王も、もう長いことオカマをやっていると、そんないいオトコが現れないことは、もう経験でわかっているのよね。

それよりも、学生時代の仲間も、会社の同僚も、まわりは皆もう結婚して、子供がいて、家庭を築いている中で、オカマの自分達もいつかは、病床で死ぬときに横に自分を看取ってくれるような人がほしいよね~、と仕事で疲れた身体に酔っ払った頭で、将来を憂う。

「やだ。あそこにいる若い白人の男、さっきからあたしの方ちらちら見てるわ」
「ねえ、あんた、さっき『もう、一生一人で生きていく』って言ってなかった?」
「え~やっぱり一人はいや~」
「大丈夫よ。あんたかわいいんだから。いつか絶対いい男が現れるよ」
「え~、かわいさは、あんたにはかなわないわ」

平日の夜中に40手前のおっさん(オカマ)2人、何やってんだか。






2016年9月12日

自由に浜辺を 歩けるそんな日が いつかは

朝、自宅前から乗ったバスを降り、美味しそうなベーグルや挽きたてのコーヒーの匂いをかぎながら、地下鉄の駅へ向かう道を歩くと、古い映画館の前を通る。

ゲイの集まる街の中心にある映画館だけあって、上映される映画も最新作ではなく、何十年も前の名画だったり、オカマが好きそうなB級映画だったりするのだが、先週やっていたのは、ディズニーの「リトル・マーメイド」!

しかも"Sing-a-long"と呼ばれる、スクリーンに劇中歌の歌詞が出てきて、登場人物になりきって歌ってよい、という女優ぶりたがるオカマ達にもってこいの企画。

早速、いつものオカマ仲間にグループメールを送ってみる。

「週末、リトルマーメイド、カストロシアターでやってるみたいだけど、どうよ?」
すると即、K枝から返事が入る。
「えー、私、観た事ないし歌えないからパス・・・」

確かに、自分もディズニー映画にあまり興味がなく、今まで観たことがあるのは、「アナと雪の女王」くらいで、このリトル・マーメイドも観たことがない。(ジブリ映画なら全作欠かさず観てるけど!)。

観にいっても、歌えないじゃないのよっ。

それをアメリカ人オカマのE子に言うと、「あんた、ゲイでリトルマーメイド観てないなんて、モグリだよ!」と叱られる始末。

そこまで言うならと、家で安物ワインのボトルでもあけて、Amazonでレンタルして観ることに。

1989年の作品ということで少々絵づらは古いが、人魚のアリエルが地上の普通の人間が住む世界を夢見て歌う「Part of Your World」が始まったら、酒が入ってたせいか、思わず大泣きする自分。

観終わった後、ゲイに人気があるのも分かる気がしたのは、アリエルが水面から出て日のあたるところで生活するのを夢みて、いつしかその夢を達成し、ついでに素敵ないいオトコまで捕まえちゃうところに、自分達を投影したいからなのかもしれぬ。(夢見すぎ?)

そういえば、アナと雪の女の「Let It Go」も、ゲイが大好きなのは、「もうあたしたち、ありのまま(のオカマ)でいいのよ!」とディズニーが認めたのよと、ドラアグクイーンのおネエさんが言ってたのも思い出した。

そりゃ、ゲイの政治家の彼が、アリエルぶって、こういうことをしたくなるのも分かる!

人魚になりきるBrian Sims氏(動画はこちら

自分も思わず、itunesで映画のサントラ(とついでに劇団四季の日本語版も)を購入。

電車の中で、携帯片手にリトルマーメイド聴いてる中年のおっさんがいたら、それあたしです・・・。


Castro Theatre 
429 Castro St, San Francisco, CA 94114

毎年冬になるとやる「サウンド・オブ・ミュージック」のSing a longも楽しいです。

2016年9月6日

日付が塗り替えてゆく 苦しいだけの昨日を 北ウイング

北ウイング。
霧の街が雲の下に待つのね。

休暇の旅行でも、仕事の出張でも、空港に立つと思わず口ずさみたくなるのが、中森明菜の「北ウイング」なのは、明菜好きなオカマの宿命か。

ネットで調べてみると、当時の成田の北ウイング発の「霧の街」行きは、日本航空のロンドン行きか、サンフランシスコ行きかと議論されているのも興味深い。

なんて話はさておき・・・。

ドジでのろまな亀じゃないわよ (C)堀ちえみ

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日本航空ロサンゼルス発成田行き便にて---

「お飲み物はいかがしましょうか。」
「それじゃあ、エビスビールをお願いします。」

東京に住んでいた頃は、エビスビールが好きでよく飲んでいた。でも、こっちに来てからは、滅多にお目にかかれないから、飛行機に乗ったときは貧乏根性で必ず頼む自分である。

「お客様、申し訳ございません! エビスビールは先程ちょうど切らしてしまいまして。よろしければこちらのよく冷えたプレミアムビールでよろしいでしょうか」

えーん?! でも、ないならしょうがないと、そのプレミアムビールとやらで諦める。

しかし数十分たった頃、先程のフライトアテンダントが早足でやってきた。片手にはエビスビールを持っている。

「お客様。先程は失礼致しました。1本だけ残っておりましたので、よろしければどうぞお召し上がり下さい」

自分がエビスビールを頼んだことを覚えてくれていて、わざわざエコノミー席に座る自分に丁寧に持ってきてくれた、そのサービスに嬉しい気持ちになる。

アメリカ系の航空会社だったら、こんな丁寧にやってくれねーだろな、と思わず悪態をつくあたし。

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日本航空成田発ロサンゼルス行き便にて---

もうすぐLAに着陸という時に、自分の2列程前の席で、ベトナム人のおじいちゃんおばあちゃんを前に、フライトアテンダントが一生懸命何かを伝えようとしている。

どうやら足の不自由なおじいちゃんおばあちゃんに、安全のために、着陸しても係りの人が来る前に立ち上がらないようにと、係りの人が迎えに来るから安心してと、伝えたいらしいのだが、英語も日本語も中国語も通じないようだ。

不安そうな顔を見合わせるるおじいちゃんおばあちゃん。

身振りでぶりでも伝わらないと、その膝をついて話していたフライトアテンダントは立ち上がり、自分の列にやってきた。

「Do you speak Vietnamese? Anyone speaks Vietnamese?」

乗客リストで調べたのか、ベトナム語が話せると思われる人ひとりひとりに丁寧にまわって、おじいちゃんおばあちゃんを何とか安心させられるように、通訳できる人を探しているようだ。

数分後、ベトナム語を話せる若い女性を客室からみつけたフライトアテンダントは、おじいちゃんおばあちゃんの元に来て、その若い女性の助けを借りてその意図を伝えられたようだ。

安心したベトナム人おじいちゃんおばあちゃんの嬉しそうな顔を見て、こっちも嬉しい気持ちになる。

そして、またも、アメリカ系の航空会社だったら、こんな丁寧にやってくれねーだろな、と思わず悪態をつくあたし。

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大学3年の頃。

堀ちえみの「スチュワーデス物語」や、山田邦子の「トップ・スチュワーデス物語」を夢みて(ほんとかいな)、就職活動での第一志望は日本航空の総合職客室系だった自分。

その夢は、何度かの面接の後、結局「不合格」通知であっさりと崩れ、長い間落ち込んでいた。もうJALなんかじゃ、ぜったい飛ばないと思っていた頃もあったかもしれない。

それでも今は、やっぱり日本航空が好きで、アメリカ系航空会社よりちょっと高くても、この航空会社を選びたいのは、こんなに素敵な日本人の優しい心を反映したサービスをしてくれるこの会社が好きだから。

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離陸直前、窓側の席に座り、外を見ていたら、地上勤務の人々が一斉にこちらを向かって頭を深々と下げている。

他の国の航空会社じゃみられない、出発して空へ経つまで、丁寧に見守ってくれている瞬間にやっぱりちょっと涙する(40歳手前のババア)のオカマである。


2016年8月29日

ありがとうって言ったら永遠にさよならになる

台風が3つも関東地方を直撃しているというのに、その日は朝から夏の青空だった。

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祖父の三回忌で、二泊三日の弾丸帰国。

職場の大ボスは「遥々日本まで行くのだから、もう少し休みを取ればいいのに」と言ってはくれるが、この繁忙期に仕事が遅れて、あとで痛い目にあうのは自分だ。

仏教の年忌の概念を知る人もいない職場で、皆が夜遅くまで残業してる中、この時期に休みを取るだけでも、ちと後ろめたい。

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霊園の祖父と祖母が眠る墓の前で、親戚一同が集まり、一人一人が祖父に挨拶をし、お坊さんの説教を聞く。

昨日の台風の大雨が信じられない程の日差しの強い気候で、黒いスーツは汗だくだ。

隣にいた甥っ子は「お坊さんの話、いらなくない?」と率直な感想をこぼす。こら〜!そんなこと言わないの!と甥っ子を諭しながらも内心頷くあたい(バチあたり!)。

無事に式を終え霊園近くの寿司屋で食事。

会の終わりに、お供えしてあった祖父の好物だった文明堂のどら焼きを親戚みんなで分けて、解散となった。

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翌日は朝から大雨。

成田に向かう前に念のためネットで運航状況をチェックすると、夕方発のアメリカ便のほとんどが欠航って!!!

速攻で日本航空に電話するも、回線がパンク状態で繋がらない!

やっと繋がり、サンフランシスコでもロサンゼルスでも、大阪経由でもなんでもいいから、アメリカに帰らせて頂戴〜!と頼み込むも、今日も明日ももう席はないという。

「昨日の突然の晴れ間といい、あんたの飛行機のキャンセルといい、おじいちゃんの仕業かもね」

母が朝ごはんを準備しながらポツリと言った。

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そういえばと、最期に祖父に会った日、別れ際に言われた言葉を思い出す。

「仕事大変だろうけど、健康が大事なんだから、休み休みやればいいんだよ」

ちょうど慣れない仕事が続いていた時で、心も身体も疲れきっていた時だったから、祖父のその言葉を聞いた帰りのバスで思わず女優泣きした自分(オカマ)。

だからその日の祖父が言った一語一句は覚えてないけれど、いつも厳しかった祖父から伝わってきた優しい気持ちは覚えている。

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アメリカに戻ってからの仕事の山を想像しただけでヤバイけど、この追加の日本での2日間の休暇は、祖父からのプレゼントだと思って、ゆっくりしましょうかね。

とりあえずNHKでやってるオリンピックの閉会式観るわ!!!





2016年8月19日

ぼくらはきっと幸せになるために生まれてきたんだって 思う日があってもいいんだよね

「えーん、もう学校行きたくないよ~」
「どしたの! またいじめられたか?」
「オカマっていわれた~」
「またか!」

幼稚園でも男子とボール遊びをするのではなく、女子とお医者さんごっこをし、小学校に入っても好きなテレビは「魔法の天使クリィミーマミ」。クリスマスプレゼントに頼んだのは、ダイナマンの変身セットではなく、シルバニアファミリーの木のおうち、だった。(ちなみに妹がダイナマンのセット頼んでたわ・・)

そりゃあ、学校でオカマあつかいされるだろうよ・・・。

学校でいじめられて、泣きながら帰ると、母は「そんなことでなくんでないの!今度いじめられたら、母ちゃんがいじめっ子のところ行ってきたるから!」と言う。

またいじめられるから絶対やめて~!と口では言いながらも、母のその言葉がどれだけ心強かったか。

結局一度も母はいじめっ子のところへ抗議に行くこともなかったけれど、そのうち仲のよい友達も出来て、いじめられることもなくなった。

今じゃ、あの頃を、こうやってネタにして笑っていられるし、懐かしいとさえも思える。

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一橋大の大学院生が、友達にゲイだとばらされ、苦悩の末、自殺したという。

ネットでそのニュースを見たとき、心が痛かった。

ニュースの文面からでは彼の友達がどういう経緯でそういう行為に出たのか分からないし、大学側に非があるかどうかも分からないけれど。

でも彼が心に深い傷を負って、立ち上がりたくても立ち上がれない程に苦しい思いをしていたことを思うと、涙が止まらなかった。

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何のご縁か、今サンフランシスコに住んでいる自分。
ゲイのメッカとも呼ばれるこの街。朝の通勤中も、たくさんお仲間(ゲイ)を見かける。

自分と同じようにスーツを着て会社勤めをするおっさん。
ぴっちぴちの派手なタンクトップを着て朝から海沿いを走っている若者。
専業主夫になってベビーカーを引いているパパさん。
駅のホームで、朝から大喧嘩してるレズビアンカップル。
学校をサボっているのか朝からカストロで酒をひっかけている学生たち・・・。

みなそれぞれに、ストレートの人となんら変わらず、楽しいことも、つらいことも一杯あるけれど、毎日を懸命に生きている。

もし自殺した彼が、まだ生きていてくれたら、この街を見せてあげたかった。
彼に、「学校も友達も捨てて、逃げてもいいんだよ! 世界にはゲイがこんなに自由に生きられる場所もあるんだよ!」と教えてあげたかった。

オーケストラでチェロを演奏していたという彼。
今は傷や苦しい思いから開放され、空の上で安らかにチェロを楽しんでいることを願うばかりだ。

街のコーヒー屋の床もオカマ色。



スワンの涙

平日の昼飯といえば、大抵オフィスのビル内にあるサラダやスープで済ませるか、せいぜい会社近くの日本の惣菜屋さんで弁当を買ったりする程度。

東京でサラリーマン(OL?)をしていた頃に比べたら、チョイスが少な過ぎる(しかもやたら高い!ランチに1500円とか2000円ってどんだけよ)。

なので、仕事が立て込んでいない時は、上司と中華街まで遠出して安い飲茶に行ったり、平日休みの友達と日本街まで繰り出したりするのだが、今日は街中にある前から行きたかったシーフードの店に行って来た!



Swan Oyster Depot
1517 Polk St, San Francisco, CA 94109

料理人のアンソニー・ボーディン氏曰く、「死ぬときはスワンのカウンターで死にたい」とか「サンフランシスコでスワンのシーフード知らないやつはモグリ」だそうだが(ほんとかいな)、十数年この街に住んでて一度も行ったことがなかった自分である。

週末に行くと2時間くらい待たされると聞いていたので敬遠していたのだが、さすがに平日の昼間11時に行くと(朝から全然仕事してないわよね)、並んでるのは数人だけ。



「R」がつく月じゃないからちょっと食虫毒が心配だが、、、食っちゃう。
色んな生牡蠣($1オイスター
)食ってきたけど、ここのはうんめ~!

シチリア風刺身。長靴いっぱい食いたいよ (C)ナウシカ
店のオヤジさん「兄ちゃんは刺身、箸で食うかい?」って。


カウンター席だけの小さな店だけど、1912年から同じ場所で続いているという。

生牡蠣に刺身、海老と蟹のサラダも食ったら、腹いっぱい。うみゃいもん食うと心も元気になるね。

また、心が折れそうな時は(仕事さぼって)来るわ!

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オリンピックは、引き続き早起きして観ている。

週末の朝はシンクロナイズドスイミングの予選だった。前回の競泳、水球、飛び込みも好きだが、シンクロも美しい選手の女優めいた演技と音楽と衣装を見るのが楽しい。

とは言っても、シンクロと言って思い出すのは、せいぜい、青春オーロラスピン「スワンの涙」 (C)宮沢りえ くらいしかなくて、シンクロの技術や採点方法のことは、よくわからないんだけどね。


銅メダルおめでとう!

日本の選手2人は、風神雷神をデザインした日本らしい衣装で力強い演技だったし、スペインの選手は、スペイン情緒溢れるアランフェス協奏曲にあわせて美しい演技を見せてくれた。(しかもスペイン選手、39歳!若い子達に負けない演技で、思わず声をあげて応援したわよね)

ところで、ギリシャのペアのこのガイコツ衣装は「?!」だったけど、どうなのよ?!

素敵すぎ!
















2016年8月10日

何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの

ここ数日、毎朝5時に起きる生活が続いている。

それはもちろん仕事のためでもなく、家のことのためでもない。
それは美しい男たちをテレビで見るため…!(むふふ)

オリンピックの季節。

朝だけじゃなく、仕事中も社内の若いスタッフに混ざって、スクリーンに釘付けになってる自分。

サッカーも、ラグビーも、体操もいいけれど、やっぱり気になるのが、水系競技。水泳、水球、飛び込み。水に濡れた鍛え上げられた男たちの体!たまらんがな!(むふふ)

単なるエロオカマだわよ。

男子200Mバタフライ決勝に臨む、
マイケル・フェルプス選手(アメリカ)
僅差でフェルプスに及ばなかった坂井聖人選手。
でも銀メダル獲得。おめでとう!

飛び込みのかわい子ちゃん、トム・デイリー選手(イギリス)。
オカマの間じゃ有名だわな。
彼のパートナーが、映画「ミルク」脚本の
ダスティン・ランス・ブラックって。20歳以上離れてるわよ?

水球ギリシャ戦は1点差で負けたけれど、いい試合だった。
保田賢也選手もいいけれど、ゴールキーパーの棚村克行選手が
クールでカッチョ!

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日本にいた頃、よくお世話になっていた大学の先輩も水球の選手だった。

彼はもう亡くなってしまったけど、よく車を運転しながらユーミンの「ノーサイド」をかけながら、練習の話をしてくれたのを思い出した。(「ノーサイド」はラグビーの歌だったけどね)

今も縁があって時々サンフランシスコの地元の水球チームの試合を観に行く。

元々それほどスポーツに興味があるわけでもないけれど(典型的なオカマ…)、この舞台に立つために、試合に勝つために、自分では想像もつかないような日々の努力をしてきたであろう彼らの、汗に濡れた身体と真剣な眼差しを見ているだけで、こっちも「あーもう疲れたわー」とかヤワなこと言ってないで、ちょっとは頑張ろうって気になる訳で。

明日も早起きして、水球日本対オーストラリア戦観るわよ!!










2016年8月8日

リラの咲くころバルセロナへ ④

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前回までのおはなし
リラの咲くころバルセロナへ ① - リスボン編

リラの咲くころバルセロナへ ② - リスボン - シントラ編

リラの咲くころバルセロナへ ③ - マドリッド - シッチェス編

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ついに、やってきた!

リラの咲くころバルセロナへ! (c) 光GENJI
燃えろバルセロナ! (c)日出郎

と、おっさん(っつーかオカマ)丸出しではしゃいでみたものの、よく考えたらバルセロナ3泊4日の旅、何の予定も立ててなかった・・・。

とりあえず、丘の上にあるホテルにチェックインし、地球の歩き方をぶっこんでおいたipad片手に、ホテルのプールで作戦会議だよ!

作戦会議という名の一人酒。水割りをください、男の数だけ。

建築に疎い自分だが、やはりサグラダファミリアは見ておきたい。どうせ、行き当たりばったりの旅。取りあえず、行きたいところに行けるとき行っちゃおう!ということで、早速ipadでサグラダファミリアのチケット予約を試みるが・・・。

ひゃだ!今日の分はすべて完売!明日の分も夕方遅くの分しか残ってないじゃないのよ!

ネットで調べると、早朝の方が人が少なくゆったり観れて、朝日に照らされたステンドグラスが綺麗に輝く、とある。

しょうがない。サグラダファミリアは3日目の朝までお預けで、取りあえず今日、明日は街の散策しましょかね。

ガウディ建築 バトリョ邸。この壁の色使いの美しさよ。

グエル公園。建築に素人の自分でも、ガウディ建築は目に面白い。
鼻歌は、時間の国のアリス(C)聖子 (またかいな)

グエル公園の迷路。
柱の間から、南野陽子か河合その子あたりが現れそうだわよ。



ゴシック地区 カテドラル。ヨーロッパに歴史あり。
ミステリーハンター気取り (またかいな)

10代、20代だった頃の旅といえば、とにかく有名な場所を全部まわる!とか、いいオトコ達が集まるエリアをはしご!とかやっていたけれど、天候によって膝の痛みを感じる年頃になった今は、興味がある場所だけを選んで、その背後にある歴史を感じながらゆっくり静かに回りたい、と思う。

携帯を片手にゆっくり回れば、興味を持ったところはその場で、ウィキペディアや地球の歩き方で調べて、その歴史なり背景なりを調べることができるのも有難い。

ほんと年とったわよ。

一瞬(ってか一食)ベトナムヌードルに浮気したりもしたけれど、
やっぱりスペイン飯のタパス、魚介・イカスミのパエリアはうみゃい!

ワシントンDCから友達が来ているというので、
オカマばっかり集まるという、彼の泊まっているホテルの屋上のバーで一杯。

せっかくスペインに来ていることだし、本場のフラメンコ観てみたいなあ、と調べてみると、世界遺産の「カタルーニャ音楽堂」でフラメンコ・ガラが今日まで行われているという。今日が最終日。こりゃ行かなきゃだわ!

何かあった時のために(って何だろ)、と荷物に詰めておいた、しわくちゃになったジャケットを羽織り、日も暮れるころ音楽堂へ!

カタルーニャ音楽堂の、ステンドグラスの美しさよ。
空が暗くなる前に入場するのがよろし。

低くも遠くまで響くスペイン男の声とギターに合わせて、踊る美しい女たち。
カーテンコールは撮影OKですな?

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バルセロナ3日目は、あいにくの曇り空。

年甲斐もなく、そわそわと早くに目覚め、寝癖のままホテルのジムで軽く筋トレして(あんだけこの10日間、飲み食いしてたら意味ねーけど)、シャワーを浴びて、サグラダファミリアへ出発だ。

地下鉄を降りると、サグラダファミリア駅のサインが。
”サクラダ”じゃないのよね。


写真だと「?」だけど、実物を空を背景に見上げると、すごい迫力なーのよ。


内部へ入る門には菖蒲や薔薇の美しい花を形取った門が出迎えてくれる。
音声ガイドによると、日本人彫刻家の外尾悦郎氏がメインの門を手がけているという

エレベーターで生誕のファサードの塔の上階へ。バルセロナの街を一望できる。
天気を心配してたけど、この曇り空も趣あってよしとしましょ。

帰りは階段で降りる。ここでもガウディ感。

中に入ると、七色に輝くステンドグラスが迎えてくれる。


塔の天辺には色とりどりの果実。
天井を見上げると森の木々に囲まれているようだ。


太陽光を浴びて輝くステンドグラス見てたら、あまりの神々しさに涙出てきたわよね。

反対側から外へ出ると「受難のファサード」に出る。
前面の「生誕のファサード」が生きるエネルギーに満ちているのに対し、こちらは「死」がテーマだ。


キリストの像の横に彫られた16の数字。
この数字を使って計算すると、キリストが亡くなった33歳になる。

生きる生命に満ちた色鮮やかな「生誕のファサード」を通り、死をテーマにした色の無い彫刻が形作る「受難のファサード」へ出てくると、朝あんだけはしゃいでいた気持ちが、今は静かに落ち着いていることに気づく。

そして、自分の人生を振り返り、自分は今、このサグラダファミリアのどこに位置しているのだろうかと、考える。

明らかに、色鮮やかだった「生誕のファサード」の時代は過ぎ去ったけれど、「受難のファサード」へ辿り着くまでは、もう少し時間が必要そうだ。

サグラダファミリアの完成は、ガウディ没後100年の2026年を予定しているという。丁度10年後。また来れるかな。

ホテルに戻り、今回の旅の最後のディナーの前に荷物を詰める。
明日の朝には出発だ。

最後にもう一度、美しいバルセロナの街を歩く。
ランブラス通りを抜けて、夕暮れ時のカタルーニャ広場へ。


翌朝、ホテルのかわいいコンシェルジュの男に見送られ、空港へ。
帰りの便からはリスボンの街が見えた。

ありがとう、ポルトガル。
ありがとう、スペイン。

美しい街並みと心優しい人々、そして美味しい食べ物たち!

また来ます!!