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12月, 2019の投稿を表示しています

ささやかすぎる日々の中に かけがえない喜びがある

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今年の年末年始は、特に旅の予定もなく、サンフランシスコで過ごすこととなった。 24日に仕事を納めた後は、 家の大掃除をしたり、日本町の紀伊国屋で買ってきた「きのう何食べた?」の最新刊を、実家から送られてきた薄焼きの塩せんべいをかじりながら読んだり、竹内まりややらユーミンを流しながら、友人たちが年末の旅行写真をインスタグラムなどにのせているのを見たりして、家で静かに過ごしている。 といいながら、結局仕事をしたりもしているのだがね・・・。 我が家の今年のクリスマスツリーも、 Guardsmen のチャリティーで購入。 少々高いが、恵まれない子供たちの未来のためだ。 --------------------------- 先週末は、どこにも行かずサンフランシスコ残留組であるアメリカ人ゲイ友達のE子と、同業者女子友達のM子を誘って、サンフランシスコバレエ団のくるみ割り人形を観てきたわ。 チャイコフスキーの音楽にのせて、雪の舞い散る舞台を踊るバレリーナたち、そして、タイトな衣装に鍛え上げられた身体を惜しげもなくみせつける男たちの美しさよ(みんないいケツしてんのよ)! その日のプログラムの ロシアの踊り や 金平糖の精 は、日本人ダンサーの配役だったのだが、ふたりとも素晴らしくて、あたしも来世はバレリーナになりたい!とか、中年オカマが一瞬本気で思ったわよね・・・。 劇場の外は、雪! (偽物) -------------------------- 大晦日も特に予定のない自分である。 蕎麦でも茹でて、紅白でもみながら静かに過ごそうか、とぼんやり考えている。 ブラジルのリオでジャネイロのビーチで正月を迎えたのが、つい最近かと思うくらい、今年はすべてが急ぎ足で、急かされるように過ごしていた。 2020年というと、なんだかサイエンスフィクションの世界のような気がしてくるが、来年も変わらず平穏に平和に暮らせますように。 そして、家族、友達、これを読んでくれている方々、自分自身が、心身共に健康でいられる年になりますように。

浅い眠りにさすらいながら

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目が覚めて、窓の外を見るとまだ空は暗い。 時計を見ると、まだ夜中の3時45分を指している。 結局そのまま深い眠りに戻れないまま、朝を迎える。 そんな眠りの浅い日々がここのところ続いている。 仕事のストレスか、結婚式準備のストレスか、あるいはその両方か…。 年上の友人に相談したならば、 「あ、それね。歳のせいよ!」 と一蹴されたわ。 元々寝付きも寝起きも良い方だが、毎日こんな睡眠不足が続くと、仕事にも支障が出そうだし、美容にも良くない。 ネットで調べると、浅い眠りには太陽光に当たったり、風呂に入るのが効果的とある。 日本に住んでいた頃ならば、寝る前にゆっくり家の湯船につかるか、あるいはスーパー銭湯でお湯とサウナで(いいオトコたちを眺めながら)癒されるか、はたまた足を伸ばして箱根や伊豆の温泉でも行って、心身共にリフレッシュしたいところである。 「日本にいたなら、温泉にでも行きたいんだけどね」 とN君に漏らしたところ、 「それじゃ週末日帰りで温泉行こう!」 と返事が帰ってきた。 -------------------------------------- サンフランシスコから北へ車で1時間半ほど行ったところに、カリストガという温泉水の出ることで知られる小さな町がある。 温泉と言うと、うっかり日本のものと思ってしまう自分であるが、ここカリフォルニアにも温泉に入れる町がいくつかあるにであった。 とは言え、日本のもくもく湯気のあがる薄暗い温泉のイメージと違って、皆プールのようなところに水着で入るところが多い。 今回行ったカリストガの温泉もそんな場所である。 カリストガは泥風呂でも有名だが、今回は泥を体に塗るコースを頼んでみた。 学校のプールかいな? 個室に入り、エッセンシャルオイルなどを混ぜた泥を3種類の中から1つ選び、身体中にそれを塗りたくったならば、タイルのベッドに横になる。 迷わずストレスを減らすというラベンダーの入った泥を選ぶ自分 真っ裸で泥まみれになって横たわる中年オカマという、奇妙な状態となったが、静かな空間でラベンダーの香りを感じていると、一時ストレスな事柄も忘れてうとうとしてきた。 泥風呂の後は、温泉水を張った湯船に入って身体を温める。

木漏れ日がライスシャワーのように (7)

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==================================================== これまでのお話 木漏れ日がライスシャワーのように (1) 木漏れ日がライスシャワーのように (2)  - 家族の心模様 I 木漏れ日がライスシャワーのように (3)  - 家族の心模様 II 木漏れ日がライスシャワーのように (4)  - 家族の心模様 III 木漏れ日がライスシャワーのように (5)  - 場所選びの巻 木漏れ日がライスシャワーのように (6)  - 若草の招待状の巻 ==================================================== 自分が東京で大学生をやっていた頃だから、もう20年近く前だろうか。 当時はフェイスブックやインスタグラム、ましてや携帯での出会い系のアプリなどなかったものだから、多くのゲイは、個人でホームページを作り、そこからネット上で出会いを求めたものである。 自分も大学に入り、入学祝いにと親から自分専用のパソコン(Windows 95!)を買ってもらってからは、学業よりも個人ホームページのアップデートに時間を費やしていた。 日々のどうでもよいことを綴った日記や写真、旅行記、小説(!?)など、今思い出したら恥ずかしい黒歴史である。 ただ、そんな黒歴史の中でも、 "やっぱり、あの頃、ホームページやっててよかったわぁ” と思えるのは、そんな繋がりから出会った友人たちがいることかもしれない。 それから20年たった今でも、自分が日本に帰る度に、新宿二丁目にある居酒屋にあつまり、当時の思い出話やそれぞれの今の人生について語り合える仲間である。 先日、彼らにLINEのグループチャットで、自分の結婚を報告したならば ー当時皆、テレビ東京の”ファッション通信 (C)大内順子"を楽しみに見ていた世代であるからー こんな会話で盛り上がる。 「それで、ウェディングドレスは、どんなオートクチュールのを着るのかしら?」 「やっぱり、氷川きよし様みたいに、派手にやってほしいわよね」 「大映ドラマばりに、堀ちえみと松村雄基の愛憎劇をやってちょうだい。あたしが伊藤かずえやるから。」 と、皆言いたい放題である。

Gay Chorus Deep South

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土曜日の夜。 オカマ7人が集まって街はずれの火鍋の店で、鍋を囲んできゃっきゃ騒ぎながら、肉やら魚介を頬張っていた。 そんな中、 「なんか趣味が欲しいわ。なんか習い事はじめたいわよね。」 と誰かが問うと、 「格闘技とかはじめたい。だって、モテそうじゃない?」 「前、お酒飲みながらタイ料理を習うってクラスを受けたけど、酔っぱらって何も覚えてないわ・・・」 「習い事というか、仕事に役立つ講座は大学でとってたわ? 趣味ではないけど。」 など、様々な答えが返ってくる。 自分も、へたっぴピアノは懲りずに細々やっているが、胸を張って趣味と言えるような趣味ではない。 週末といえば、ジムにいって掃除洗濯をして、酒をひっかけていたら、あっという間に日曜の夜になってんじゃないのよ~。 ----------------------------- 日曜日の朝。 自宅からジムに向かう途中、カストロの映画館の前を通ると、 "Gay Chorus Deep South" となんだか興味深い映画をやっているじゃないの。 どうせ、特に予定もないし、と早速携帯で午後の部のチケットを購入した自分である。 数年前から、米国南部を中心とした一部の州が、宗教上の理由を元にLGBTQの人々の権利を迫害することを一部認めるような動きをしていた。 そんな動きに対して、サンフランシスコのゲイコーラスの300人が、そんな南部の州を旅しながら各地でコンサートを開いた、 ロードムービーのようなドキュメンタリー である。 実の父親に自分がゲイであるということを認められず、それでもその父親の前でゲイのコーラスの一人として舞台に立つ団員。 レズビアンであることを家族や学校の友達に公にできずに、自分の居場所を見つけられない南部の若き少女達。 自分のアイデンティティを探し続ける、トランスジェンダーの団員。 そして、自分がゲイであることを公にしたことで、仕事も家族も失ってしまった、コーラスの音楽監督。 "なぜ、いつまで、彼ら(我ら)はそんな悲しみや悩みを背負って生きていかなければ、ならないのだろう" 日曜の午後、男性合唱の美しい歌声に乗せて、そんな彼らの人生が語られるこのドキュメンタリーを、思