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夜明けの来ない夜は無いさ あなたがポツリ言う

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2017年、元旦。 「起きて!もうすぐ日の出の時間だよ!」 隣で寝ていたはずのK子は既に起きていて、ユニクロの防寒ジャケットを羽織って外にでる準備をしている。 眠い目をこすり、隣の部屋で寝ていたほかのふたりも起こして、寝癖のまま4人で急いで船の甲板に出た。 ひんやりとした冷たい空気の中、ナイル川を下る船は古都ルクソールに向かって静かに航海を続けている。 川の向こう側に見えるエジプトの空が少しずつ明るくなってくると、皆写真を撮る手を止めて、昇りはじめた太陽に向かって、この1年も皆元気に笑顔で暮らせるようにと手を合わせた。 古代エジプト人は夜明けを生みだす太陽を神として崇めていたと言う。 それから4000年。 現代を生きる我々も、こうやって今、太陽に向かって手を合わせている。そして、昨日何があろうとも、必ず訪れてくれる夜明けに感謝している。 -------------------------- 周りの空気が太陽の光で少しずつ暖かくなってきた頃、誰かが携帯で松田聖子の「瑠璃色の地球」を流しだした。 夜明けの来ない夜はないさ~♪ 正月早々、皆で鼻歌で聖子の合唱となるのは、オカマが4人も集まれば当たり前のこと(なの??)。 ------------------------- 明けまして、おめでとうございます。 今年もよい1年になりますように!

悠久の時の流れを

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大晦日。 今年は仲間四人とナイル川を船で下りながら過ごしている。 2016年は、長引く咳や10円ハゲなどでジタバタしたものの比較的穏やかに過ごせたと思う。 古代エジプトの雄大な遺跡を一つずつ訪れていると、日々の細かい出来事や悩みなどどうでもよくなってくるもので。 2017年も、家族、友達、自分自身が健康に平穏に過ごして行けますように。 穏やかに流れるナイル川を眺めながら、 2017年もこうやって穏やかに過ごせることを祈る中年乙女であった (C) 来宮良子

微笑がえし

月曜の朝の地下鉄。 まわりを見渡すと、週末明けで憂鬱な顔をした乗客でいっぱいだ。 窓に映った自分の顔を見ると、そこにはブスな中年オカマの自分。 目元のしわや顔のたるみはさておき、こんなに自分の口角って下がっていたっけ!?と思わず目を逸らす。 この時期は毎年毎日残業で、週末はホリデーパーティ続きだから、肉体的にも精神的にも疲れが溜まるのはしょうがないと理由をつけるにしても、こんな不幸顔をしていたら、以前オカマのY子に「あんた、そんな口角下げた顔をしていたら、いいオトコも幸運の神様も寄ってこないわよ!」などと言ったのにも、示しがつかない。 こんなんじゃ、きらきらした40歳健康優良男子にになるには、程遠い! 今年の初めに癌を患った元同僚で同年代の女子に、携帯から「もう仕事つかれた~ 週末も休めないし~ もう無理!」とチャットで弱音メッセージを送ると、彼女から即座に「あんた、毎日疲れた疲れたって言ってるけど、疲れてても、元気がなくても、笑わなきゃだめ! 笑えば脳も細胞もだまされて、元気になるんだから!」と、いつものぎゃーぎゃした調子で、まくし立ててきた。 だまされたと思ってと、地下鉄の窓に向かって80年代アイドルぶって口角を上げてみたら、引きつり顔の売れない中年アイドルみたいになったが、なんとなく元気がでてくる気もする。 突然、まわりの乗客も、にやにやしはじめた。 ど、どゆこと?と明菜のカバーアルバムをガンガンにかけていたイヤホンをはずしてみると、女の車掌さんが車内放送でなんだか面白いことを言っているらしい。 どうせ、あたいの英語力じゃ理解できないような、アメリカンジョークでも言ってるんだわ、とスルーを決め込んでいたら、会社のある終点の駅に近づいてきた頃、その車掌さんがまた車内放送で何やら言い出した。 「誰だって月曜は憂鬱よね。でも、会社についたら隣のきらいな同僚にも笑顔を向けてみて! きっといいことあるから!」 いつもは憂鬱な顔をした乗客でいっぱいの地下鉄の車内が、駅につく頃にはみんななんだかほっこり笑顔になった。 電車を降りて、車掌室に向かって Thank you!と無理やり口角を上げて声をかけてみたら、サンタクロースの帽子を被ったアフリカ系アメリカ人のおばちゃん車掌さんが顔を出して、Have a wonderful d

優しい雨の向こう側には 雨上がりの空が必ずあるのに

ここ数週間、週末は土曜も日曜もホリデーパーティが続いている。 日本で言うところの忘年会兼クリスマスパーティといったところか。 仕事場でもサンフランシスコの従業員全体で、どこから費用が出てるのか知らぬが、毎年盛大に行われる。今年はゴールデンゲートパークの美術館を貸し切り、男は黒服蝶ネクタイ、女はイブニングドレスでお祭り騒ぎだ。 同じ日にサンフランシスコのゲイ水泳チームのパーティがあったり、仲の良い友達のホームパーティが重なったりして、老体に鞭をうってタクシーではしごして顔を出す。 会社の半分仕事めいたパーティは兎も角、友達のパーティに誘ってもらえることは、仲間がどんどん日本へ帰っていき、また仕事が忙しくて疎遠になったりして、友達と呼べる人が少なくなっていく中で、本当に有難いこと。 とは言え、年末の残業続きで週末も働かなきゃいけない中で、パーティもあるとこの歳になるとやっぱりキツイ。 昔ビジネススクールのクラスでもやらされたマイヤーズ・ブリックスの 性格診断 を、この間若手の同僚にどのタイプかと聞かれて久々にやってみたら、やはり内向的なISFJタイプと診断されるくらいの自分である。 若い頃は、内向的でも会社の先輩や友達に誘われれば、着飾ってパーティに出るのを楽しんでいたが、やっぱり家に篭ってゲームや読書をしていたい根暗のオカマだから、もうこの歳で無理して女優になれない!  来週の上司の家のホームパーティ、仕事もあるからパスしちゃってもいいかしらん。 ----------------------------- ここのところ、ずっと雨で寒い日が続いているサンフランシスコ。 東京に住む友達から、LINEで「明菜大復活よ! ディナーショーはじまったらしいわ!」と朝から興奮したメッセージが届く。 どちらかというとやっぱり聖子より明菜派の自分(やっぱり根暗のオカマ)。 「明菜もがんばってるから、うちらもがんばろ!」と返事を返す。

Stand by me

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自分が10歳だったクリスマスの日の朝。目が覚めると枕元には、赤い包み紙に包まれた小さなプレゼント。 包み紙を開けると、それは真っ白い箱に入った、数ヶ月指折り数えて待っていた、新しいファミコンのゲームソフトだった。 -------------------------------- それから、30年後。 ここ数週間は、夜中前に仕事から帰り、疲れた身体でビール片手にテレビの前に座り、夜中の2時、3時までゲームに熱中している。 大学を出て社会人になってからは、テレビゲームも卒業したつもりでいたのだが、ネットで見かけたこのゲームの動画に一目ぼれし(?)、次の日には自分への早めのクリスマスプレゼントってことにして、ゲーム機と揃えて購入したあたしよ! 仕事疲れの上にゲームで寝不足で、現実世界では目の下にクマをつくってブスになりながらも、ゲームの世界では、若い男子4人が奪われたクリスタルを取り返すべく、自然あふれる美しい世界を旅する物語に、年甲斐もなくのめり込んでる中年オカマ。 イタリアのような街並みを歩いたり、遠くに見える海の景色を楽しみながら山道を歩いたりしてると、 あっという間に数時間経っちゃう。 30年前の冬休みの間中、母に小言を言われながらも朝から晩まで熱中していた、「ファイナルファンタジー」は、8ビットの画像に電子音だったが、今熱中しているこの「ファイナルファンタジーXV」は、本物の世界を自分で旅しているようなリアルな景色とオーケストラの音楽だ。 自分も着実に年をとったが、ゲームも着実に進化してるわけだわ、と感慨深い。 そして、あの頃ゲームを早くやりたいがために学校の後わくわくしながら足早に家に帰った自分と、残業の後、会社から足早に家に帰る今の自分が重なり、なんだか懐かしくもある。 ------------------------------- ゲームの世界もいいけど、現実世界も旅せねば、ということで、色々考えていた年末の旅行も決まりつつある。 今回の旅は、中年男子4人が失われた若さと青春を取り返すべく、古代エジプトの遺跡を旅する物語だ!(なんのこっちゃ) 年末年始は、初のアフリカ大陸&初のイスラム圏で、馴染みのオカマ仲間と世界不思議発見・ミステリーハンターやってくるど!

背の高いサンタクロース 私の家に来る

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東京でサラリーマンをしていた頃のクリスマスは、祝日じゃなくて通常業務だったこともあってか、それほど気持ち的に盛り上がらずに過ごしていた。 仕事を早めに切り上げる同僚や先輩を横目に、同じく当日予定なしの同僚女子と「年末進行で忙しいんだから、クリスマスなんて関係なしでしょ!クリスチャンでもあるまいしさあ!」などと強がりな発言をしたり(ブス)。 だけど、アメリカに来てからは、周りのアメリカ人達の「ホリデー」気分に乗せられてか、自分も毎年11月も終わると自然とクリスマス気分になってくる。 ここ数日、通勤電車の携帯から流れる曲は「恋人がサンタクロース (C) 聖子」や「クリスマス・イブ」 だし、仕事から帰ったあとのへたっぴピアノも「チャーリーブラウンのクリスマス」という始末だ(どんだけ、乗せられてんのよ)。 -------------------------- 日曜日、ジムの帰り道を歩きながら、街の家々の窓からの覗くクリスマスツリーたちを見ていると、自分の家にもやっぱりツリーが欲しくなってくる(欲しがり屋のオカマ)。 どうせ買うならと、去年もお世話になった「 The Guardsmen Organization 」という恵まれない子供達のための慈善活動をしている団体が、サンフランシスコの大きなイベント会場を貸し切って行っている生のツリーの販売イベントにやってきた。 中に入ると、小さな子供サイズのかわいらしいツリーから、これを置ける家ってどんな家よ?ってくらいの巨大ツリーまで、数え切れないほどのツリーが立ち並んでいる。会場の空気は森の中にいるように澄んでいて気持ちいいだよ~。 多くの企業がこのイベントのスポンサーになっているらしく、企業から寄付されたワインや食べ物が会場に来たお客さんに無料で配られてたりもしている。 ワインを片手に、若いボランティアのお兄さん達が鍛えた腕にツリーを抱えて働いているのを横目で見ながら(ムフ)、自分の家のサイズに合ったツリーを探して歩いていると、会場の奥に小ぶりだがバランスのよい健康的なツリー君を発見!  他のお客に取られる前に、と近くにいたボランティアのお兄さんの一人(いいオトコ…)に急いで声をかける。 「お兄さん、このツリーどう思う? 他のツリーと見比べてもやっ