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9月, 2016の投稿を表示しています

人は大人になるたび 弱くなるよね

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ここ1ヶ月程、ひどい咳が続いている。 痰のからむ咳で、仕事中もごほごほやってると、体の内側が圧迫されるせいか頭も腰も痛くなってくる。 上司には「繁忙期終わるまでは倒れないでよ」と念を押され、若手スタッフには「お願いだから、うつさないでね。家帰りなよ!」と冗談口調で(でも顔は本気で)言われる始末。 同じく体調を崩している同年代の日本人の同僚とは、「仕事より健康が大事だよ~。早めに仕事ドロンしちゃお~」とお互い労りあっている。 あまりにも治る気配がないので、念の為、 One Medical の先生に診てもらうことにした。 一昔前はちょっと病院にかかるのにも、予約するのが大変だった。前に皮膚科にかかった時は1ヶ月以上待ちと言われ、「1ヶ月も待ってたら悪化するっつーの!この国の医療はどうなってんのよ!高い保険払ってんのよぉ!」と病院の事情も知らず、大人げなくオカマ丸出しで憤慨したものだが、今はこのOne Medicalのウェブサイトで当日受診可能な医師や看護師を探して、簡単に予約できるから本当にありがたい。(しかも先生の顔写真付だから、いいオトコの先生を指定しちゃう自分。ムフ) 昼休みに、仕事場の近くにあるOne Medicalの診療所に向かい、中国系の若手の先生(いいオトコ!)にあちこち診てもらったが、肺も何も異常なしと言われ、とりあえず咳止めの薬と気管支拡張剤を処方された。 後で薬局に薬とりにいったら、薬代合計80ドルって言われ、思わず「嘘でしょ?これ保険でカバーされてんのよね???」とレジで叫んだ自分。ほんとに医療が高くつく国だわ・・・。 ------------------------------------------- 若い頃はちょっと風邪を引いても、病院なぞ行かずとも1日2日で回復していたのに、今じゃ、1ヶ月経ってもなかなか治らない。80ドル払った薬を飲んでも、改善した感じもなし。 体の体調が悪いのが長引くと、心の元気にも響いてくる。「あ~、こりゃ体調悪いから、気分も落ちて来てんだわ」と頭では分かっているんだけどね。 心が弱まると、何をしても元気が出ないから、誰かにこぼしたくなる。子供だった頃はそれが親であったけど、今はむやみに心配もかけたくないから言わないでおく。 思わず、オカマ友達に「体調悪くて、心が元気でな

仰げば尊し

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会社帰りのジムで走る時は、大抵周りのいいオトコ達をちらちらとチェックするか、携帯のyoutubeで日本のお笑い動画を眺めているのだが、ここ数週間は、ついこの間まで日本でやっていた「 仰げば尊し 」というドラマにはまっていた自分。 自分の地元でも有名な横浜の高校の、吹奏楽部と実在した先生をモデルにしたドラマで、その「美崎高校」の弱小吹奏楽部が、「樋熊先生」の指導の元、コンクールの全国大会を目指すという典型的な青春モノだ。 -------------------------------------- 自分も中高は吹奏楽部で、全く強豪ではなかったけれど、夏のコンクールを目指し、毎日朝はマラソン、放課後は遅くまで楽器の練習、という日々を過ごしていた。 今振り返れば、土日も夏休みもなく、まあよく毎日練習に出ていたもんだわ、と思う。(顧問の先生も、よく自分の時間を犠牲にして、つきっきりで子供相手に指導してくれたよなあ) ドラマも最終回が近くなり、美崎高校の吹奏楽部が地区大会での演奏を終え、結果発表で「金賞」の賞状を受け取り、仲間みんなで抱きあって喜び涙しているシーンを観たとき、自分も20年以上前に地区大会の結果発表の舞台に立ち、同じように「金賞」の結果を受けとった時のことを思い出して、ジムで走りながらも思わず涙腺がゆるむ。 ドラマでの美崎高校は、その後関東大会まで駒をすすめるのだが、自分の弱小吹奏楽部は、弱小のまま神奈川県大会止まりで敗退。その後は皆、受験なりなんなりで、あっという間に卒業となり、気がつけば卒業からもう20年じゃないのよ...! -------------------------------------- 今時、こんな青春ドラマ、うけるのかしらん?と鼻で笑いながら観はじめた自分だったけど、ドラマを観ながら、皆、子供なりにそれぞれ悩みを抱えて、仲間と泣いたり笑ったりしながら過ごした当時の自分達の”青春時代”を、一瞬だけでも思い出せて思わずほっこりした訳で。 今でも日本に帰る度に、若くして逝ってしまった当時の仲間のお墓参りがてら、皆で集まって、最後はいつも思い出話になる。 「早朝マラソンのとき、あんた文句たれて、あとで先輩に呼び出しくらってたよね。」 「うわ~あの先輩、ほんと嫌いだっ

薔薇のように咲いて 桜のように散って

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日本人の同僚と社内チャットで、仕事の合間に話すことといったら、大抵ヤフーニュースでみた日本の芸能ネタなのだが、最近はもっぱら小林麻央さんのブログのことだ。 身近にも、癌で戦っている人や、克服して元気になった人がいる。あちこち身体の衰えを感じるようになった年齢の自分も、麻央さんの癌との戦いは他人事ではない。 日々更新されるブログの内容に、心配しながらも見守ることしか出来ない我々だけど、彼女の文章に逆に励まされたりしている。 ----------------------------------- 父から日本も大分朝晩は涼しくなったとメールが入った。サンフランシスコも大分秋らしくなってきている。 そんな中、この週末は朝から真夏のような暑さになった。ショートパンツにタンクトップでいられるような、こんな気温になるのは年に数えるほどしかないサンフランシスコの街。 そりゃ、このチャンスを逃すまいと、オカマ仲間みんなで丘の上にある公園でピクニックになる訳で。 Dolores Gay Beachと呼ばれるくらい、オカマだらけ 地元の美味しい生ハムやら、日本から送られてきたイカのくん製やら、近所のケンタッキーで買ったバケツ入りのチキンやらを、みんなで持ち寄って(組み合わせめちゃくちゃだけど・・・)、スパークリングワインで乾杯! 強いカリフォルニアの日差しの下、80年代のJポップを流しながら、横目で裸のオトコ達を眺めながら、きゃっきゃと仲間とはしゃぐ日曜日の午後。 気がつけば、涼しい秋の風が吹き始めている。 「あ~、あたし今すごい幸せかも~!」 いつものY子が酔っ払って独り言のように言う。 うっかりすると、"これが足りない"とか、"あれが欲しい"、と無いものばかりに目がいって、不幸ぶりがちな自分達だけど、限りある人生の中で、今こうやっていられること、こうやって一緒にいられる人達がいることを、有難いと感謝して生きなきゃいけないのよね。 なんて酒片手に熱く語ってみたら、 「ねぇ、あんた、最近見た目も大分年取ったけど、話も大分説教くさくなってきたわよ」 などと突っ込まれる自分。 ほんと年とったのね。 ------------

妥協しない 焦らない 淋しさに負けない

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「もうあたし、一生一人で生きていくかもしんない…」 真夜中前のあまりひと気のないカストロのバーの裏手にあるテラスで、秋の夜空の下、酒を片手にオカマのY子が女優めいた口調で言う。 Y子とは、お互い仕事が遅くなると、こうやって仕事帰りに「このまま真っ直ぐ家に帰って寝るだけってのもねぇ」と、一杯飲んで帰る仲なのだが、大抵Y子の恋愛話に終始する。 「一人で生きていくとかいって、そんな覚悟全然ないくせに! んで今回は何があったの」 話を聞くと、最近付き合い始めた年上の男から、連絡が来たり来なかったりと、宙ぶらりんのもやもや状態だという。 若い頃だったら、「そんなめんどくさい男なんか捨てて、次の男探せばいいじゃん!」と、強気で言えたけれど、この年になると次にいつ良い出会いがあるかも分からないから、早々簡単に捨てられないし、諦められないのは分かる。 この年になっても、たまに仲間みんなでオトコ達が集まるバーで「この中でどのオトコが見た目一番イケる?」などと、いい年して下らないことで、きゃっきゃとはしゃいだりするけど、実際の相手探しとなると、もはや見た目よりも、どれだけ「将来長く一緒にいられそうな人」かのほうが重要になってくる。 若い時に夢見た、白馬の王子様も大金持ちの石油王も、もう長いことオカマをやっていると、そんないいオトコが現れないことは、もう経験でわかっているのよね。 それよりも、学生時代の仲間も、会社の同僚も、まわりは皆もう結婚して、子供がいて、家庭を築いている中で、オカマの自分達もいつかは、病床で死ぬときに横に自分を看取ってくれるような人がほしいよね~、と仕事で疲れた身体に酔っ払った頭で、将来を憂う。 「やだ。あそこにいる若い白人の男、さっきからあたしの方ちらちら見てるわ」 「ねえ、あんた、さっき『もう、一生一人で生きていく』って言ってなかった?」 「え~やっぱり一人はいや~」 「大丈夫よ。あんたかわいいんだから。いつか絶対いい男が現れるよ」 「え~、かわいさは、あんたにはかなわないわ」 平日の夜中に40手前のおっさん(オカマ)2人、何やってんだか。

自由に浜辺を 歩けるそんな日が いつかは

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朝、自宅前から乗ったバスを降り、美味しそうなベーグルや挽きたてのコーヒーの匂いをかぎながら、地下鉄の駅へ向かう道を歩くと、古い映画館の前を通る。 ゲイの集まる街の中心にある映画館だけあって、上映される映画も最新作ではなく、何十年も前の名画だったり、オカマが好きそうなB級映画だったりするのだが、先週やっていたのは、ディズニーの「リトル・マーメイド」! しかも"Sing-a-long"と呼ばれる、スクリーンに劇中歌の歌詞が出てきて、登場人物になりきって歌ってよい、という女優ぶりたがるオカマ達にもってこいの企画。 早速、いつものオカマ仲間にグループメールを送ってみる。 「週末、リトルマーメイド、カストロシアターでやってるみたいだけど、どうよ?」 すると即、K枝から返事が入る。 「えー、私、観た事ないし歌えないからパス・・・」 確かに、自分もディズニー映画にあまり興味がなく、今まで観たことがあるのは、「アナと雪の女王」くらいで、このリトル・マーメイドも観たことがない。(ジブリ映画なら全作欠かさず観てるけど!)。 観にいっても、歌えないじゃないのよっ。 それをアメリカ人オカマのE子に言うと、「あんた、ゲイでリトルマーメイド観てないなんて、モグリだよ!」と叱られる始末。 そこまで言うならと、家で安物ワインのボトルでもあけて、Amazonでレンタルして観ることに。 1989年の作品ということで少々絵づらは古いが、人魚のアリエルが地上の普通の人間が住む世界を夢見て歌う「Part of Your World」が始まったら、酒が入ってたせいか、思わず大泣きする自分。 観終わった後、ゲイに人気があるのも分かる気がしたのは、アリエルが水面から出て日のあたるところで生活するのを夢みて、いつしかその夢を達成し、ついでに素敵ないいオトコまで捕まえちゃうところに、自分達を投影したいからなのかもしれぬ。(夢見すぎ?) そういえば、アナと雪の女の「Let It Go」も、ゲイが大好きなのは、「もうあたしたち、ありのまま(のオカマ)でいいのよ!」とディズニーが認めたのよと、ドラアグクイーンのおネエさんが言ってたのも思い出した。 そりゃ、ゲイの政治家の彼が、アリエルぶって、こういうことをしたくなるのも分かる! 人魚になりきる

日付が塗り替えてゆく 苦しいだけの昨日を 北ウイング

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北ウイング。 霧の街が雲の下に待つのね。 休暇の旅行でも、仕事の出張でも、空港に立つと思わず口ずさみたくなるのが、中森明菜の「北ウイング」なのは、明菜好きなオカマの宿命か。 ネットで調べてみると、当時の成田の北ウイング発の「霧の街」行きは、日本航空のロンドン行きか、サンフランシスコ行きかと議論されているのも興味深い。 なんて話はさておき・・・。 ドジでのろまな亀じゃないわよ (C)堀ちえみ --------------------------------------- 日本航空ロサンゼルス発成田行き便にて--- 「お飲み物はいかがしましょうか。」 「それじゃあ、エビスビールをお願いします。」 東京に住んでいた頃は、エビスビールが好きでよく飲んでいた。でも、こっちに来てからは、滅多にお目にかかれないから、飛行機に乗ったときは貧乏根性で必ず頼む自分である。 「お客様、申し訳ございません! エビスビールは先程ちょうど切らしてしまいまして。よろしければこちらのよく冷えたプレミアムビールでよろしいでしょうか」 えーん?! でも、ないならしょうがないと、そのプレミアムビールとやらで諦める。 しかし数十分たった頃、先程のフライトアテンダントが早足でやってきた。片手にはエビスビールを持っている。 「お客様。先程は失礼致しました。1本だけ残っておりましたので、よろしければどうぞお召し上がり下さい」 自分がエビスビールを頼んだことを覚えてくれていて、わざわざエコノミー席に座る自分に丁寧に持ってきてくれた、そのサービスに嬉しい気持ちになる。 アメリカ系の航空会社だったら、こんな丁寧にやってくれねーだろな、と思わず悪態をつくあたし。 --------------------------------------- 日本航空成田発ロサンゼルス行き便にて--- もうすぐLAに着陸という時に、自分の2列程前の席で、ベトナム人のおじいちゃんおばあちゃんを前に、フライトアテンダントが一生懸命何かを伝えようとしている。 どうやら足の不自由なおじいちゃんおばあちゃんに、安全のために、着陸しても係りの人が来る前に立ち上がらないようにと、係りの人が迎えに来るから安心してと、伝えたいらしいのだが、英語も日本語も中国語も通じないようだ。