仰げば尊し

会社帰りのジムで走る時は、大抵周りのいいオトコ達をちらちらとチェックするか、携帯のyoutubeで日本のお笑い動画を眺めているのだが、ここ数週間は、ついこの間まで日本でやっていた「仰げば尊し」というドラマにはまっていた自分。

自分の地元でも有名な横浜の高校の、吹奏楽部と実在した先生をモデルにしたドラマで、その「美崎高校」の弱小吹奏楽部が、「樋熊先生」の指導の元、コンクールの全国大会を目指すという典型的な青春モノだ。

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自分も中高は吹奏楽部で、全く強豪ではなかったけれど、夏のコンクールを目指し、毎日朝はマラソン、放課後は遅くまで楽器の練習、という日々を過ごしていた。

今振り返れば、土日も夏休みもなく、まあよく毎日練習に出ていたもんだわ、と思う。(顧問の先生も、よく自分の時間を犠牲にして、つきっきりで子供相手に指導してくれたよなあ)

ドラマも最終回が近くなり、美崎高校の吹奏楽部が地区大会での演奏を終え、結果発表で「金賞」の賞状を受け取り、仲間みんなで抱きあって喜び涙しているシーンを観たとき、自分も20年以上前に地区大会の結果発表の舞台に立ち、同じように「金賞」の結果を受けとった時のことを思い出して、ジムで走りながらも思わず涙腺がゆるむ。

ドラマでの美崎高校は、その後関東大会まで駒をすすめるのだが、自分の弱小吹奏楽部は、弱小のまま神奈川県大会止まりで敗退。その後は皆、受験なりなんなりで、あっという間に卒業となり、気がつけば卒業からもう20年じゃないのよ...!

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今時、こんな青春ドラマ、うけるのかしらん?と鼻で笑いながら観はじめた自分だったけど、ドラマを観ながら、皆、子供なりにそれぞれ悩みを抱えて、仲間と泣いたり笑ったりしながら過ごした当時の自分達の”青春時代”を、一瞬だけでも思い出せて思わずほっこりした訳で。

今でも日本に帰る度に、若くして逝ってしまった当時の仲間のお墓参りがてら、皆で集まって、最後はいつも思い出話になる。

「早朝マラソンのとき、あんた文句たれて、あとで先輩に呼び出しくらってたよね。」
「うわ~あの先輩、ほんと嫌いだった。今どこで何してんのかな。ってか、あんたなんて、演奏前にホルン踏んづけてへこまして大泣きしたじゃん。」
「ねぇ、ピアノが上手なオーボエのHちゃんのこと、男子みんな好きだったよね~。あの子、この間結婚したらしいよ」
「S夫って、合宿中のロングトーンの練習のとき、トロンボーン構えたまんまで鼻水たらしながら、居眠りぶっこいて先生に後ろから頭はたらかれてたじゃん。今じゃ女の子2人のお父さんだって」

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中学生の時からお互いを知り、今もこうやって会うと変わらずにあの頃の"青春時代”を懐かしあえる古い仲間がいるのが本当に有難い。この年になって今から、あの時代を分かち合ったような仲間を作るのはもう難しいから。

年をとると、懐古主義になりがちだが、それがうっかりすると"青春時代"があったことも忘れかけている今の自分の心を支えてくれているのなら、懐古主義も悪くないじゃない、と思える訳で。

当時は女子みんなスカート長かったよね。  (C) TBS


懐かしい景色  (C) TBS




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