2016年10月28日

喜びが川となり悲しみは虹を呼ぶ なだらかな名前さえ知らない坂だけど

雨の木曜日。39歳の誕生日。

急ぎの仕事もないし、出たくないミーティングもあるし、なんだかんだと理由をつけて仕事を休んだ。

パジャマのまま窓の外の雨の街を眺めながら、今日は何をしようか考える。

平日に会社を休んでも 、皆仕事で会う人もいないしなぁ。

ひとり家で何もせずにいるのももったいない気がして来て、シンフォニーホールでサンフランシスコ交響楽団が朝からリハーサルを公開しているというので覗いてみたり、サボり気味だったジムに行って軽く筋トレした後に、日本街にあるスパにあるサウナと風呂で汗を流したりして過ごす。

スチームサウナの熱気でぼーっとしながら、「気がつけば、まあよくここまで来たもんだ…」とこの人生を振り返ってみる(大げさ!)

誕生日と言えば、子供の頃はケーキやプレゼント、20代は流行りのお洒落な高級レストランでお祝いしてもらったりと誕生日を楽しみにしていた。30代前半に至ってはシングルで誕生日当日をひとりで過ごすのが怖くて、仲の良い友だちに「お願い!今月末誕生日だからひとりにしないで!お願いよお!」 などと、めんどくさいオカマやっていたこともあったわ

35を過ぎた頃からは、そんなのもうどうでもよくなって、オカマ仲間とは「誕生日なんて努力も何もしなくてもやってくる日でしょ?祝う必要なんて無いんじゃない?」などと強がった発言をしたりする。

それでも誕生日には、イカのスルメを日本から送ってくれる両親や、メールやLINEでメッセージをくれる兄弟・友だち、庭で採れたゴーヤを持って来てくれる上司、そして気を使って平日の忙しい中、皆を呼んで温かいおでんと手作りのケーキでお祝いしてくれる数少ないこの街の仲間がいる。

誕生日も終わり夜、日付けが変わる前にベッドに横になりながらそんなことを思ってたら、有り難くて何だか泣けてきたわよ。(涙腺弱くなったのも、また歳とった証拠だわ)

誕生日とは、人生ここまで見守ってくれた家族と親しくしてくれた人々に感謝する日なのだ、と40になる前に気付けて良かったと思う訳で。

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先輩、40歳で亡くなります!」と、大学の後輩が自分の手相をみながらぶっ飛んだ発言をしてくれたのがきっかけではじまったこのブログ。

40歳まであと1年。どうなることやら。

健康に平穏にこのゆるやかな坂を登っていけますように!






















2016年10月24日

弟の夫

東京に戻る度に、お邪魔しているカフェがある。

青山の根津美術館の近くの通りを一つ入ったところにある静かなところで、慣れない東京の喧騒に疲れたら、いつもここでお茶とお菓子を頂きながら休ませてもらっている(ばーさんかいな)。

図書館のように本やCDがおいてあって、試読・視聴もできるところも好きだ。

夏に東京に帰った時に、そのカフェでおすすめされて購入した中島ノブユキ氏のCDをかけながら、今日は何の予定もない週末を過ごしている。

朝からジムに行くつもりが、だらだらと過ごしているうちに、「天気もあんまり良くないし」などと理由にならない理由をつけて、サボっちゃおうという気になってくる(こんなんだから、いつまでたっても痩せられないじゃない)。

読書の秋だし何か本でも読もうかと、アマゾンでよく読む作家の本をいくつか物色していると、田亀源五郎大先生の漫画「弟の夫」の新刊が出てるじゃないの!

条件反射でクリック購入して、ipadにダウンロードしたあたしです…。

田亀源五郎氏といえば、オカマ仲間の間では"大先生"と呼ばれ(勝手に)、「ゲイ・エロティック・アーティスト」として世界的にも有名であるが、その"大先生"が初めてゲイ雑誌ではなく、一般の月刊誌に連載しているのが、この「弟の夫」なのであった! (C)来宮良子

『小学生の娘・夏菜と父子2人で暮らす弥一と彼の弟(涼二)の結婚相手であったカナダ人男性・マイクが織りなすホームドラマ。』 (Wikipediaより)

特にエロティックなシーンもなく(時々マイクのチラリズムでてきますがな)、夏菜と弥一とマイクの日々のやりとりを通して、カミングアウトだったり、同性婚だったり、日本でのゲイのありかたをやさしく説いている。

第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、ってのも、すごいよなぁ。(自分が日本でオカマ雑誌買って読んでた頃の田亀先生っていったら、もうほんとにすんごい"エロティック"だったのよ!)

よしながふみ女史の漫画「きのう何食べた?」も、一般雑誌に掲載されている中年弁護士のシロさんとそのパートナーのケンジの物語だが、漫画でもなんでも、こうやってLGBTへの理解が日本でも進んでいるのならば、嬉しいし有難い限りだ。

(きのう何食べた?の最新刊も確か今週発売だわ!日本街の紀伊国屋さん行って来ます!)

2016年10月22日

It's a lonely road but I'm not alone そんな気分

「最近、女子会やってないね」
「みんなでオイスターとワインでブランチやりたい」
「久々にWater Bar、やっちゃおっか!」

というわけで、晴れた土曜日の昼下がりに、海沿いにあるレストランWater Barで、女子2人(M子、K子)、オカマ1人(あたい)の3人で、久々の女子会となった。

この街にも生牡蠣を1つ1ドルで食べられる店がいくつかあるが、このWater Barもそのうちの1つ。しかも海沿いでベイブリッジが目の前に見えるので、旅行で来た友人や仕事のクライアントに「シーフードの食べられる眺めのよい店ない?」と聞かれたら、とりあえずリストに入れる店の1つだ。

自分と同じ業界で働くM子ちゃんと、シンガポール帰りのデザイナーK子ちゃんと、山盛りの生牡蠣と白ワインで久しぶりの乾杯。

同年代の未婚の女子(とオカマ)が集まると、近況報告、仕事の話、そして男の話になるのは自然の摂理。

3人とももういい年だから、「子供をつくりたい?・育てたい?」の真面目な話にもなるし、3人とも親が日本だから「親との関係、親の老後」の心配の話にもなるし、3人とも結婚の予定もないのに、「結婚式あげるとしたら、ブライドメイド何人ほしい?」などと、もう話はとりとめもなく、あちこちに飛んでいく。

しかも、窓際の席からは、時折、上半身裸で海沿いの歩道を走るいいオトコたちが見えたりするから、話が中断して、みんな突然静かになったりする。


ネットで調べたところ、体調が万全じゃないときは、生牡蠣は控えるべし、とのこと。
女子2人が生牡蠣をもぐもぐしてる間、指をくわえてパン食ってたオカマ1人。



ベイブリッジは、夜のライティングもきれい。


若い頃は、友達同士でも、きれいぶったり、取り繕ったりしてたけど、3人それぞれに色々楽しいことも苦い経験もしてきたこの女子達とは、なんでも正直に全部話せるから、楽だ。 

前にもオカマのY子とお互い正直に色々言い過ぎて、いい年してケンカになりかけたが、正直に言い合えるからこそ、真面目な話もきれいじゃない話もお互いに出来るようになった、というところか。

船に乗って彼に会いにいくというK子をフェリービルディングで見送って、ほろ酔いで地下鉄に乗り、宇多田ヒカル氏の新しいアルバム「Fantôme」を聴きながら、家路につく。

It's a lonely road
But I'm not alone
そんな気分、だ。


Water Bar
399 The Embarcadero, San Francisco, CA 94105
http://www.waterbarsf.com/

$1オイスターは、毎日11時半から17時半までですよ。

2016年10月19日

LOOKING

久々の雨の週末。

サンフランシスコ港から船に乗り、隣町のアラメダに向かった。

K枝がこの日曜日に誕生日を迎えて、アラメダにある幾つかの造酒所を、皆で回りたいと言い出したのだ。

「こんな雨の中、あんたの誕生日じゃなかったら、絶対断ってたわよ!」等と、悪態をつきながらも、船から雨に濡れるサンフランシスコの港や、ベイブリッジを眺めるのも、たまには良いもので。

船を降りて、歩いて5分ほどすると、米国海軍の基地の跡地に着く。この旧基地内に、セント・ジョージハンガー1など、地元でも人気のウォッカやジンの造酒所があるのだ。

この貨物船はどこの国へ向かうのか、思いを馳せる乙女(オカマ)。

旧基地内には、兵士達が使っていたジムが、一般に開放されている。
(中で一体どんなトレーニングが行われているのかすら・・・)



晴れ間の空の遠くに見える、サンフランシスコの美しさよ。
ほろ酔いの日曜日。



酒好きと言いながら、ウォッカやジンの味の細かい違いなど全く分からない自分だが、遠くに見えるサンフランシスコの町を眺めながら、色々な種類の酒を少しずつ味見するのは楽しい。

K枝も、造酒所のハンサムなお兄さんの説明に頷きつつ、時には質問をしたりして、テイスティングを楽しんでいるようだ。(酒よりお兄さんに興味あったみたいだけど!!)

バースデーボーイのK枝に、どんな42歳の1年にしたいかと問うと、「健康でいられればいいかな~」と一言。まわりで聞いていた同年代のオカマ達も皆深く頷くのでした。

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数年前から2年間、HBOというテレビチャンネルで「LOOKING」という、サンフランシスコに住むゲイ3人を主人公にしたテレビドラマが放送されていた。

2シーズン目で、中途半端なまま打ち切りになってしまったのだが、つい先日、その完結編が"映画版"という名目でHBOやiTunes等で公開された。

ドラマでの話自体は、特に大きな盛り上がりもなく、淡々と3人のオカマのサンフランシスコでの生活や仕事、恋愛が語られてゆく。

オカマ仲間の間でも評価は分かれていたのだが、自分は、この普通で淡々とした物語が逆に自分達の生活を投影できたし、ドラマの中でのサンフランシスコやその郊外の風景を見るのも好きだったので、比較的楽しんでいた。

メインキャラクターのパトリックを演じるのは、「Glee」「Frozen」のジョナサン・グロフで、本人もゲイであることを公にしている。


Sutro Bathからのサンフランシスコ湾の眺め (C) HBO

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この街に来たばかりの20代の頃は、サンフランシスコなんて、東京やニューヨークと比べて、小さくて田舎臭くて、買い物も夜遊びももつまらないし、退屈な街だわ!等とぼやいていた。

けど、十年以上住んでみて、少しずつ年をとってくると、そのこじんまりしたところが逆に身体に心地よく、身体に馴染んでいることに気付く。

今でも、東京やニューヨークのキラキラした生活に憧れるけれど、この街も車を飛ばせばナパのワイナリーにもいけるし、こうやって船にのれば、軍隊旧基地でウォッカのテイスティングもできるし(酒の話ばっか!)。

物価が高くて、ひーひー言ってるけどね。




St. George Spirits
 2601 Monarch St, Alameda, CA 94501


2016年10月17日

29歳のクリスマス

今年の夏もベランダでバジルや長ネギを鉢で育てていたのだが、冷夏だったせいか、前回に比べてなかなか大きくなってくれなかった。ちゃんと育ってくれたのは、レモンの木くらいだ。

水遣りはちゃんと定期的に土の湿度を確認してやっていたのになぁ。愛情を注ぐのが足りなかったかしらん。

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休日出勤の朝、仕事に向かう前にカストロのカフェのテラスで、いつものオカマ仲間と周りのいい男達をながめながらコーヒーをすすっていると、M男が自分の顔をまじまじ見ながら言う。

「すんげぇ、疲れてるよ。顔。」
「やっぱり? 仕事忙しいからね。咳もでるし。若い時と同じ勢いで働いてると、疲れも取れないしキツイわ。」

横にいたY子も、オレンジジュースを飲みながら自分を見て言う。
「ほんと、白髪もすごい。......え、やだ、ちょっと、あんた! 左後ろ側に10円ハゲ!」
「えええ!!!嘘でしょ!? どこ!? ちょっと、携帯で写真撮ってみて!」

Y子に写真を撮ってもらうと、確かに、どっからどう見ても、毛が生えてない部分があるのが分かる。後ろ側だから、自分では全然気づかなかったわよ!

えーん! 薄毛、高血圧、咳に続いて、今度は10円ハゲなの!?
こんなんじゃ、職場で演じてる寡黙でクールなイメージが台無しだわよ!!(嘘嘘)

もっと大きくなったらどうしよう、などと心配しながら、手でハゲ部分を気にしながら、会社に向かう電車で、前に同じく円形脱毛症を患ったK枝に、携帯からメッセージを送ると、「気にしなければすぐなおるよ! 気になるようだったら塗り薬も売ってるし。病院行けば注射で治療も出来るから。」と、経験者ならではの的確な心強い返答がすぐに返ってきて、少し安心する。

持つべきものは同年代の友達だ~よね。。。

翌日、病院で、ずっと続く咳をもう1度診てもらうついでに円形脱毛症の相談もしてみると、担当を呼んでくれるという。

暫くして、ハゲ専門(?)の背の高いオカマのお兄さん看護師が部屋に現れたかと思えば、ささっと自分の頭皮をチェックしはじめ、「あー、大丈夫、大丈夫。もう生え始めてきてるわ! そのうち治るから大丈夫!」とウインクして去っていった。

どんなにいい男にウインクされても、今はそれどころじゃないのよ~!

職場に戻り、仕事が忙しいといいながらも、医療オタクの元同僚にもチャットで報告。

「あんた、長引く咳も、10円ハゲも、仕事のストレスで免疫系やられてるんじゃないの?」
「確かに残業続きで体力的にはつらいけど、慣れた仕事ではあるから、精神的なストレスは大して感じてないと思っていたんだけどねぇ」
「あんた、そんな疲れた顔して、頭に"ミステリーサークル"作ってたら、宇宙人(オトコ)も寄ってこないわよ! ぎゃっは!」
「ぎゃっは、じゃねーわ! えーん、もうこの仕事辞めたい!」

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今日も、後ろの毛を気にしながら残業をこなし、なんとか家路に着く。

スーパーで買った安ものの赤ワインを開けてソファーに座り、毎年この時期になると観たくなる「29歳のクリスマス」を観ることにする。

このテレビドラマも、誕生日前に10円ハゲができたOLが主人公だった。

20年以上前のドラマだが、まあ飽きもせずに何度も観てる自分。
中村トオルもいい男だよなぁ。


ベランダの野菜も髪の毛も、
愛情そそいで(ストレス減らして)あげないとダメだーね。



2016年10月9日

空に憧れて 空をかけてゆく

明日までに終わらせなければいけない書類を必死にチェックしていると、突然オフィスのビルが振動するくらいの音が轟いた。

若手のスタッフと一緒に窓に近づいて外を見ると、綺麗に並んだ4機の青い飛行隊が、隣のビルの真横を、きれいに列をなして通り過ぎていった。

今年もフリート・ウィークの季節がやってきたのだ。

毎年10月のこの時期になると、週末の航空ショーの練習のため、飛行隊がゴーゴー音を立てて空は騒がしくなし、海軍の制服を着た兵士達が歩いているのを街のあちこちで見かけられる。

軍服を纏い、訓練で鍛えられた身体と国を守るという誇りと自信にあふれた顔をした男たちでいっぱいになるこの一週間は、サンクスギビングやクリスマスよりも、密かに楽しみにしている自分である(ムフ)。

朝起きて外を見たら、飛行練習やってる。
この影響で、通常の旅客機も運行に遅れが出てるらしい。

オカマ友達や女友達とは、
「スーツとか制服着てるオトコって、いいよね~」
「それだけで、見た目、2倍はアップするわよ!」
「でも、彼らの私服姿みると、割とがっかりする事多いけどね」
などと、いつも好き勝手な事をよく言っているけども。

仕事で帰りが遅くなった夜、ひとりタクシーの窓からダウンタンの通りを眺めていると、夜遊び帰りの制服の若い兵士達が、騒ぎながら群れをなして歩いている。

紺色の制服と白い制服の違いは何なんだろ、などとぼんやり考えながら、彼らの姿に釘付けの自分。運転手さん!お願い車止めてっ!などと、女優めいて心の中で呟いても、彼らの広い背中はだんだんと小さくなっていくだけ。

そういえば、亡くなった祖父も海軍だった。

今、自分がこうやって、ここで平和に暮らしていられるのも、彼らのお陰だ。

家に着いたら、セックスアンドザシティの海軍兵士達が出てくるエピソードを観ながら
さっきの兵士たちを思い出して、一人酒だよ。


オカマのK枝からは「フリートウィークといえばこの曲よね」と、
ぶっとんだ格好のシェールの名曲の動画が携帯に送られて来たわよ。