2018年8月31日

ベルサイユのばらを求めて (3)

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これまでのお話

ベルサイユのばらを求めて (1) - 旅立ち

ベルサイユのばらを求めて (2) - モンサンミッシェル

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趣味は何?と聞かれたならば、若い頃は「海外旅行!」などと胸を張って答えていた自分だが、今となっては、旅行に出れるのも年に1、2回。

しかも"地球の歩き方”に頼りっぱなしなのだがら、情けない。

そんな"地球の歩き方"`によると、モンサンミッシェルから、南へ数時間車で行ったところに、ロワール渓谷と呼ばれるワインの産地があるという。

そして、そんな"地球の歩き方"によると、そのロワール渓谷には古城が点在し、なんと古城に宿泊もできるという。

古城というと、なんとも言えぬロマンを抱くのは、ドラクエ世代の性か、あるいは未だ200年ちょいの歴史しかないアメリカという古城の存在しない国に住んでいる故なのか。

中世ヨーロッパの古城に囲まれながら、フランスワインをたらふく飲めるのならば、アル中中年としては、行くしかないじゃないの。

今回の宿は、この城よ! ドラクエIIIかよっ!
(これも"地球の歩き方”に載ってた....)

時差ぼけで早く目覚めたら、城内にあるぶどう畑を歩く。
誰もいない静けさの贅沢さよ。

はやく、大きくな~れ。
あんたきっと美味しいいい男(ワイン)に育つわね。


宿となったマルセイの城から30分弱のところにある、これまた城のワイナリー。
城内でワインテイスティングだよ!ほろ酔いでドラクエ気分。


一方こちらは6世代続いている家族経営のほのぼのしたワイナリー。
うみゃいワインが10ユーロ以下という庶民にもうれしい値段設定。


古い洞窟内に作られたワイナリーも。
流暢な英語を話すハンサムな好青年にサーブしてもらったわ。


ロワール渓谷は、ワインだけではなく、由緒ある城があちこちにあり、渓谷の主要なエリア全体がユネスコの世界遺産に認定されているという。

ワインテイスティングでほろ酔いになったら、TBS「世界遺産」のテーマ曲(Sony提供時代の古いやつ)が脳内で勝手に流れ出してきて、世界遺産、中世ヨーロッパの古城見物となった訳。



フランソワ1世をはじめとする王たちが滞在したというシャンボール城。
内部の中央にある螺旋階段は、ダヴィンチが設計したものらしいわ!


数多くあるロワールの城の中でも、特に自分が好きだったのが、
こちらのシュノンソー城。
女だらけでドラマだらけの城だったらしいわ!!


川辺のアンボワース城を眺めながら、ロワールワインで乾杯。


古城めぐりも、3、4つとこなしていくと、どんなにそれが美しくとも、飽きてくるのは、花より団子、団子より酒の中年の性。

宿に戻って現地のロワール料理でも頂こうか。

わが宿(城)に戻るべく、美しいぶどう畑の道を走る。

ちょいとおされをして、宿の城内にある裏庭でアウトドアディナー。
まずはシャンパンで乾杯(ムフ♡)。

地元の素材を使っているというロワール料理。
野菜がうまい!(ムフフ♡)


ディナーもデザートに差し掛かるころには、空は夕暮れ。
サンフランシスコでみる夕焼けとも、東京でみる夕焼けとも、
ちょっと色合いが違うみたいだ。


ニューヨークやサンフランシスコ、東京やパリのホテルよりも、よっぽど手頃な値段で、こんな夢みたいな憧れの中世の気分を味わえるのだから、やっぱり旅はいいわぁ、としみじみ思う。

日々の現実のストレスを忘れるには、非現実を体験できる旅が、一番の方法なのかもしれない。

だから、40を過ぎた今も、趣味は何?と聞かれたらやっぱり「海外旅行!」と答えるんだろう。



ほんの一時、仕事や人間関係のストレスを忘れて、そんなことをぼんやり思いながら、フランスの柔らかい夕暮れ時の空を眺めていた。



続く







2018年8月23日

ベルサイユのばらを求めて (2)

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これまでのお話

ベルサイユのばらを求めて (1) - 旅立ち

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「死ぬまでに一度は訪れたい場所って、どこ?」

オカマ仲間と飲んでいると、時々そんな話題になる。

「アイスランドの温泉で、裸のオトコ達に囲まれながら、オーロラ見たいわねぇ」

「あたしは、ドイツのロマンチック街道で、ドイツ製"ソーセージ"、むさぼり食いたいわよ」

などと(下品な)夢を見るオカマもいれば、

「四国で八十八箇所巡礼、してみたいわ」

と真面目に答えるオカマもいる。

自分といえば、数年前までは即座に、

「エジプトのピラミッド!」

と答えていたのだが、それも去年の正月についに叶えられ、最近では両手で足りる程度の"死ぬまでに訪れたい場所”リストとなっていた。

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時差ぼけも抜けないまま早朝のパリを出発し、車はフランスの北西に向かって走っている。

その目的地は、長年自分の"死ぬまでに訪れたい場所”の一つであった、「モンサンミッシェル」である。

画像は拝借しました。

以前は、「天空の城ラピュタのモデルとなったって言われてる島なんだっけ?」くらいのイメージしかなかったモンサンミッシェルなのだが、行くと決めてから調べてみると、

大天使ミカエルのお告げで作られた礼拝堂はカトリックの巡礼地となり、百年戦争期には要塞としての役目を果たし、今ではユネスコの世界遺産にも登録されている (C)ウィキペディア

という何だかすごい場所だと知ることとなったのである。

車は途中、ジャンヌダルクの最期の地として知られる古都ルーアンを経由しつつ、パリから合計4時間程高速道路走ると、ついにそのモンサンミッシェルが見えてきた!

しかし・・・・、

あいにくの・・・、

雨・・・。

自分の(勝手な)予定では、上の画像のような夕焼けの空に美しく輝く島が見えてくるはずだったはずなのだがね。

それでも、遠くにその島が見えてくると、いい歳して逸る心で写真撮りまくりの中年観光ばばあ丸出しのあたしよ。

すごいぞ! ラピュタは本当にあったんだ!
(雨ですがね)

車を島外の専用駐車場に止め、そこから無料のシャトルバスで橋を渡り島に入る。


ラピュタにもモンサンミッシェルにも雨は降るわよねぇ、
と自分に言い聞かせつつ。

潮の満ち具合によっては、島全体が水に囲まれ完全な孤島となる、ということだったので、なるべく潮が高くなる日をネットで調べて選んで来たのだけど、雨でそれどころじゃなかったわ。

島内にある宿をとっておいたので、日が沈むのを待ちつつ、観光客の減った静かな島内でとりあえず「モンサンミッシェルビール」を飲んだり、お土産屋で買っておいたポストカードに親へのメッセージを書いたりして過ごす(島内の郵便局から投函できるらしいわ)。

雨が止むまで
モンサンミッシェルのビールで乾杯だよ。

雨が止まないので、ホテルの部屋のテラスで、
パリのスーパーマーケットで買っておいたワインを開けて乾杯だよ。
あたしゃ、モンサンミッシェルに酒を飲みに来たのか。

「修道院を前に、酒ばっか飲んでてもバチがあたるわよね」

と空が暗くなってきた頃に島の外に出て歩く。

ふと振り返ると、ライトに静かに照らされる島の美しさよ!

観光ツアーで来たほうが楽だったかもしれぬが、
夜景をみたくて、島内泊まりにしたのである。

最高のショーだとは思わんかね? (C)ラピュタ

そして、翌朝。

朝一番で島の頂上にある修道院を訪れて、無事にここに来れたことに感謝する。

静かな修道院で、
「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター気取りの自分。

島内の宿の部屋から外を眺めていると、空がだんだん明るくなってきた!

晴れた!空が!好きです! (C) 南野陽子

昨日の雨とはうってかわって、青空となったモンサンミッシェルを背に、雨が降る日もあれば、いつかはやってくる晴れの日があることを、自分の人生に重ねつつ(乙女!)、生きている間に、あとどれくらい”死ぬまでに訪れたい場所”に訪れることができるのか、考えていた…。



続く!









2018年8月12日

ベルサイユのばらを求めて (1)

アメリカ大陸を超えてフランスへ向かうエールフランスの機内で、ipadに仕込んでおいた地球の歩き方を開き、今回の旅程のおさらいをしている。

まずパリで数日過ごして、時差に身体を慣れさせたあと、

パリを離れて、長年行ってみたいと思っていたモンサンミッシェルを訪れて、

ワインで有名だという中西部のロワール地方で古城に囲まれながらワインをたらふく飲み、

港町が並ぶ北部のノルマンディ地方で海を眺めながら魚介を食い、

またパリに戻ってくる、というのが大まかな流れだ。

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そんな旅の予定に心を躍らせながら、

「今回は、"パリの街に住むスマートでおされな男"を目指してして行くわ!」

と、機内で空想に耽っていた自分であったのだが、

シャルルドゴール空港に降り立った途端に、蒸し暑いフランスの夏の気候の洗礼を受け、パリ市内につく頃には、汗だくのむさくるしい中年男になり果てていた。

「こ、こんなんじゃ、せっかくのフランスで、おされな男も気取れないし、オスカル様を見つけることもできないじゃないの!(なんのこっちゃ)」

気を取り直して、宿でシャワーを浴び、お気に入りのピンクのボタンダウンシャツとショートパンツに着替えて、素足にローファーを履いたならば、気持ちはもう、"パリのマレー地区に住む、さわやかな青年”である(脳内イメージはこれな)。

そんな気分で、宿を飛び出して外を歩けば、そこは20年前と変わらず歴史ある美しい街が広がっている。

数ブロック歩き、エッフェル塔が遠くに見えてくると、年甲斐もなく気持ちが浮き立ってきたわ!

「初日だし、ちょっとくらいはしゃいだっていいわよね?」

と携帯のカメラを取り出し、エッフェル塔の写真をとったり、塔を背景に自撮りをしたりしていたら、突然空の雲行きが怪しくなってきた。

「え、夏のパリって毎日晴れなんじゃないの!?」

と思ったのもつかの間、突然どしゃぶりの雨と雷が。

「え!? ちょっと、もうやだ~~~~!!!!!」

急いで雨宿りのできる場所を探して、近所のカフェに駆け込んだが、既にお気に入りのシャツも、石田純一ぶってた素足のローファーもびしょ濡れである。

とりあえず雨が止むまでと、慣れない言葉でグラスワインを頼み、ふとカフェの窓ガラスに映った自分をみると、

そこには

"パリの街に住むスマートでおされな男"でも、

"パリのマレー地区に住むさわやかな青年”でもない、

雨に濡れてむさくるしそうにしている、

彦摩呂氏が映っていた…。



続く!

夕日のインクで書いた、出さないままのポストカード (C)南野陽子
のような、パリの美しさよ。




2018年7月26日

薔薇は気高く咲いて、薔薇は美しく散る

オカマ仲間の間では、大して盛り上がっていなかったワールドカップだが、個人的には、日本チームの頑張りにも、他国のチームの引き締まった身体のいい男達にも、大いに元気づけられたわ。

さて、次の大きなスポーツイベントは4年に一度、2020年の東京オリンピックだが、その前にもう一つ4年に一度のイベントが、今年の8月にあるという・・・。

その名も.....

GAY GAMES(ゲイ・ゲームズ)....!!! 

本家オリンピックと同じように4年に一度、世界の一都市にLGBTや彼らをサポートする人々が集まり、GAY GAMESの名の元に、各種運動競技が行われるというのだ。

そして、今回の会場となる都市が.....

フランス!

花の都!!

パリ!!!

行きたい!!!

(ちなみに前回2014年は米国オハイオ州クリーブランド(しょぼい…失礼)。次回2022年は香港とのこと(香港も行きたい!))

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ふと、自分が20年前に最後に訪れたパリの街を思い出してみる。

まだ心も体も綺麗な(?)、20歳になるかならないかの乙女だった頃の自分である。

ユーロも導入されていなかった頃の大昔だから、もはやどこの安宿に泊まったかも、何を食べたかも、詳細は思い出せないが、街のどこを歩いても歴史を感じることができ、街のどこを歩いても美しい男達と出会える(遠目に見るだけだがね)、そんな素敵な街の感覚は今でもはっきり覚えている。

そういえば、会社の有給休暇がたまっている。

そういえば、ワールドカップでフランスが優勝したし。

そういえば、昨日飲み屋で飲んだワインもフランスワインだったはずよ。

そういえば、携帯のシャッフルで今週は2回も「ベルサイユのばら」の主題歌が流れたわ!(どんな携帯だよ?)

"Gay Gamesは兎も角として、これはフランスへ行けっていうサイン、あるいは運命じゃないのかしら!"?

と、半ば強引だが、気づいたらエールフランスの航空券を購入していた自分である...。

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40過ぎの中年オカマの、ちゃんとした予定も立てずに、今回もとりあえずipadに地球の歩き方をダウンロードして、ベルサイユのばら、オスカルを探し求める(なんのこっちゃ)20年ぶりのフランスの旅は、こうして始まるのであった・・・!


続く!!!

この週末は、わが会社の上司の家で、
サンフランシスコのLGBT水球・水泳チームの、
Gay Games壮行会でした。




2018年7月23日

出逢いはスローモーション (6)

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これまでのお話

出逢いはスローモーション (1)

出逢いはスローモーション (2)

出逢いはスローモーション (3)

出逢いはスローモーション (4)

出逢いはスローモーション (5)

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「一緒に住もうか!?」

いつも、ノリや勢いで物事を言うN君だが、

今回もその調子で、突然同棲を提案してきたのである。

確かに自分も、老犬わんこも亡くなり、今の家に住んでいると色々と思い出されて辛い気持ちだったので、引っ越しを考えていたところではあったのだが。

N君もN君で、ワシントンDCから引っ越してきて、仮住まいをしていたような状態だったので、そろそろ落ち着きたかったのかもしれない。

そうは言っても、一人の男と屋根一つ下、朝晩顔を合わせて生活するとは、大きな覚悟と決断が必要である。

いつもの友人達に相談すると、

「あんた、サンフランシスコの住宅事情わかってんでしょ。二人で住んだら、家賃が半分で済むじゃないの! 一緒に引っ越すべきよ!」

「でも、あたし根暗だし、独り身が長かったから、一人で静かに本読んだりゲームしたり(エロサイトチェックしたり・・?)して過ごす時間が絶対に必要なのよぉぉ!」

「一緒に住み始めて、お互いの嫌なところが目について、別れるってパターンもあるものねぇ」

「でもさ、あんた仕事忙しいとかいって、家にほとんどいないし、N君も、水球やら水泳やらで年がら年中家にいる人じゃないし、なんとかなるんじゃない?」

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こんなご時世だからなかなかいい物件も出てこないだろうし、

「とりあえずいい物件あるか調べてみて、それから決めよう」

ということになったのだが、

いつも、ノリや勢いで行動するN君だから、

こういう時も、そこらのウェブサイトで適当な物件を見つけ出してきて、ささっと見学の予約をして、あっという間に契約完了となってしまったのである。

自分の優柔不断な態度や発言も悪いのだが、

"こんな勢いで同棲決め込んじゃっていいのかしら・・・。"

と既に心は不安との闘いである。

家の賃貸契約以外にも、

- 家賃支払いのための共同名義の銀行口座を開いたり(結婚してなくても簡単に開けるのね!)

- ダイニングテーブルやソファーを新たに購入したり(好みの相違で喧嘩になることもなかったわ・・・)

- キッチン周りのこまごましたものを揃えたり(たいして料理などしないのだが・・・)

と、ばたばた物事は進んでゆき、

引っ越し当日は、N君自ら巨大なレンタルトラックを借りてきて、

あたしはいつものM男やK枝に荷物を運ぶ手伝いを頼み込んで、

気が付けばあっという間に引っ越し完了、そして同棲の開始となったのである。

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「とりあえず、引っ越し祝いに蕎麦ゆでようか」

半分も片付いていないダイニングで、

新しいダイニングチェアーに腰かけ、

新しいダイニングテーブルで、

二人でざるなしの茹ですぎたざる蕎麦をすすりながら、

「これからも、宜しくお願いします。」

とお互い、頭を下げたのであった。




続く!!















2018年6月30日

この大空の虹になりたい 希望に届く虹になりたい  (2018)

「サンフランシスコの街を歩けば、オカマにぶつかる」

とはよく言ったものだが、

毎年6月になると、世界中からオカマ達がわらわらと集まってきて、

いつも以上に街中が"オカマの坩堝"となる。(なんだか恐ろしい響きだわ・・・)

そんなオカマだらけのサンフランシスコの中でも、特に右を向いても左を向いてもオカマだらけの「カストロ地区」は、ゲイのメッカと呼ばれていて、

物珍しさか怖いものみたさか、一般の観光バスが毎日のようにやってくる。

そんなカストロの通りを歩いてみると、

あちこちに"Harvey Milk"の名前や顔を見つけることができる。

彼は、40年前「カストロの市長」と呼ばれながら、サンフランシスコの市議に選ばれLGBTの権利に尽力し、

そしてその翌年、当時の市長とともに、彼は市庁舎で暗殺されたのだった。

それ以来、カストロの街は彼の意志を受け継ぎ、それを若い世代に伝えていく場所となっている。

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人々や企業がダウンタウンに集まり、LGBTの権利を謳う6月末の「サンフランシスコ プライド」がメインのイベントとなるが、

その1か月くらい前から、街中の通りに虹色の旗が立てられ、LGBTの映画祭AIDS LIFE CYCLEのようなチャリティ、その他各種イベントがあちこちで行われている。

近所に住む日本人ゲイ友達のK治やH太君は、プライドイベント当日のパレードに会社の同僚と参加して、虹色にデザインされた会社のロゴの入ったTシャツを着て、大通りを歩いたらしい!

自分も、パレードこそ参加しないものの、去年に続いて近所の友達を我が家に呼んで小さな「ピンクパーティ」を開いたり、映画祭でいくつか気になった映画を観に行ったりして、このプライド月間を楽しんだわ。

街中に虹色の旗がなびく!


プライド前夜の「ピンクサタデー」は我が家で友人達と
皆でピンク色の服を着て、ピンク色のスパークリングワインと
ピンク色と虹色のお菓子で乾杯だよ!


今年のLGBT映画祭には、日本から2作品が参加。
そのうちの一つが「彼らが本気で編むときは」。
在サンフランシスコ日本領事館がオフィシャルスポンサー。
(上映中に客席で声を上げて泣いてるオネエさんがいて、自分も泣いたわよね。)

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40歳の時に、立ち上がってゲイの権利の為に戦ったHarveyと、

40歳になっても、自分のことだけでいっぱいいっぱいの自分。

ただ、今こうやってゲイとして自由に胸を張って笑顔で生きていられるのは、彼をはじめとした"先輩”たちのお陰なのよねぇ、と

窓の遠くに見えるHarvey Milk Plazaの虹色の旗に、

皆で感謝するのだった。

カストロの街を歩いてみると、
Harvey Milkとゲイの歴史をあちこちで見つけることができる。







2018年6月15日

出逢いはスローモーション (5)

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これまでのお話

出逢いはスローモーション (1)

出逢いはスローモーション (2)

出逢いはスローモーション (3)

出逢いはスローモーション (4)

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中年オカマの自分も40年間近く生きてきて、何人かの人(片手で数えられるくらいよ・・・)とお付き合いしてきたけど。

一定の時間を一緒に過ごすと、お互いに相手がどこで育って、どうやって今まで生きてきたのか、少しずつ知ることになる。

青森の田舎町で育った男(ひと)や、オハイオで消防士の父に育てられたという男。

フロリダの医者一家に生まれ、勉強して医者になってここへ越してきたって男も居たわね…。

だけど、どの男とどれだけ長く付き合っても、その相手の家族と会ったことは一度もなかったのである。

それでなくても、会食やパーティが胃が痛くなる程、苦手な自分だ。

まだ自分の親にもカミングアウトしていないのに、ほんの数か月しか付き合っていない男の家族に会いに行くなんて、

女中役だった薬師丸ひろ子がいきなり三田佳子と舞台でW主演するようなものである(なんのこっちゃ)。

「どうしよう。今付き合ってる男の家族の集まりに呼ばれたんだけど。行きたくない!」

といつものオカマ仲間をいつもの飲み屋に呼び出して相談してみると、

「あんた、男と付き合ってるって聞いてないけど!」

と叱られながらも、

「あんたが乗り気じゃないなら、断ればいいじゃない。男のためにストレス感じるなんて、本末転倒よ?」

とすでに旦那がいて、妻業を幾度もこなしているM男は言う。

その一方で、

「でもさ、家族に会わせたいって言ってくれるってことは、彼も本気ってことでしょ。ゲイの世界で相手の家族に会えるなんて今でも滅多にないことなんだから、ありがたいと思って、会ってくるべきよ!」

と数多くの男たちと幾度の出逢いを経験して来たK枝は言う。

さて、どうしたものか。

あたしに、できるかしら・・・。(C) 薬師丸ひろ子

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「この家系はみんなハゲになる家系なんだけど、Nはまだハゲないでいるみたい?」

「でも、ちょっとおでこのあたりが、危ないんじゃない?」

「やっぱり家系には逆らえないか。わっはっ。」

晴れた日曜の昼下がり。

N君の実家の裏庭のテラスにあるテーブルを囲み、N君の両親と親戚のおじさんとおばさん、N君の従妹とその彼氏(いい男!)と一緒に、白ワインのグラスを片手に、緊張しながら彼らのやりとりを聞いている自分である。

否、聞いているふりをして、N君の家族や育った家を観察している自分である。

N君のお母さんは、以前地元の中学校で先生をしていた、肝っ玉母ちゃん的雰囲気。

一方、N君のお父さんは無口であまり笑顔も見せない強面の弁護士だ。

家のあちこちには、一人っ子のN君の子供時代から大学時代くらいまでの写真が飾られている。

「シカゴの小劇場でゲイのカップルを題材にした芝居を見てきたけど、主役はいい男だったわ。」

「あら~、あたしもみたかったわね。」

とゲイにも寛容な態度を示してくれるのは、N君の母とN君の父親の姉(平野レミ似のN君のおばさん)だ。

そんなやり取りを聞いて、少なくとも「ゲイの息子のゲイの交際相手」ということで、責められたり、嫌な目にあうことはなさそうで、ほっとする自分。

「あなた、ピアノ弾くんだって? 奥の居間にピアノあるから、あとで弾いてみせてよ」

「クリスマスの会には、あたしと一緒に連弾しましょ!」

はじめは、ただ静かに薄ら笑いをする得たいの知れないアジア人男を演じるのみの自分だったが、

彼らの大らかな親しみやすい雰囲気のお陰か、ワインのアルコールのお陰か、三田佳子が「女優!女優!女優!」と発破をかけてくれたお陰か(?)、少しずつ彼の家族になじめてきたようだ。

そして、テラスが夕焼け色に染まる頃、

N君の父が外のグリルで焼いたステーキと、N君の母が料理した野菜料理でディナーとなった。

食事中、突然平野レミ似のN君おばさんが、

「それで、二人はどこで出会ったの? 日本で? 水球チーム? 職場? どこどこ?」

とまくし立ててきたけれど、

正直に出会い系アプリとは言えず、

「あ、共通の友達を通じて、でしたっけ・・・(汗)」

と、小さな嘘をつく自分達。

どの国でも、平野レミ、恐るべし、である・・・。

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帰り道、

緊張やらなにやらで心身ともに疲れ切っていたけれど、

ふとK枝が言った言葉を改めて思い出していた。

ゲイの世界で、相手の家族に会って受け入れられるなんて、

滅多にない難しいことである。

生まれてこのかた、交際相手の家族に紹介してもらえるなどと、夢にも思っていなかったから、

これはK枝の言う通り、きっと、ありがたいことなのだろう。

思わず、愛読書(漫画)の「きのう何食べた?」の

ケンジが恋人のシロさんの実家にはじめて連れられて、シロさんの両親に会うエピソードを思い出していた、

乙女の自分であった・・・。

これ読んだときは、思わず泣いたわよね。(きのう何食べた? 第7巻より)
(C) よしながふみ



続く・・・!

























2018年5月29日

心の中を新しい風で満たしたいよ

「心の中を新しい風で満たしたいよ~」

と30年前に浅香唯がセーラー服姿で歌っていたが、

40を過ぎた中年オカマの自分も、ここ数週間ずっとそんな気分で心が沈んでいたのである。

なぜ元気が出ないのか自分に問うてみても、特に思い当たる節はない。

元同僚の健康オタクの女子に相談してみると、

"あ~、それはね。長く続いた繁忙期のストレスとプレッシャーによる、鬱予備軍だね"

と、即答で診断されたわ。

確かに寝ても起きても、平日も週末も仕事のことを考えていたから、

頭を休みモードに切り替えられずに、血圧はあがりっぱなしで、

口角は下がりっぱなしの生活だったのである。

そんなもんなのかしらん?と、インターネットで色々調べてみると、

日本のサラリーマンの多くが同じような状況の鬱予備軍だという。

"なるべく仕事のことを忘れて、他のことを考えるように自分を仕向けましょう"

と真っ当なアドバイスが書いてあるが、

他のことに仕向けようと、本を読んでも、ピアノを弾いても、ゲームをしても、映画や芝居を観に行っても、友達と飯やお茶をしていても、一時的には元気になるが、長くは続かない訳で。

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冬のような寒く薄暗い曇り空の月曜の朝。

家で仕事に行く準備をしつつ片手で、

「ねぇ、最近元気がでない。元気頂戴!」

と東京に住む同い年の中年オカマ、K子に無茶投げなLINEメッセージを送ったら、

「あたしも元気出ない! だからゴールデンウィークにLA行くわ。あんたも来れば?」

と即座に返事が来た。

"そうねぇ。ゴールデンウィーク中なら、日本のクライアントからの連絡もないだろうし、行っちゃってもいいかもね”

そんなこんなで、数週間後、LAに向かうユナイテッド便に乗っていた自分である。

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「ねぇ、あんたいつまであたしをLAXで待たせる訳?」

「あんたがブスになりすぎてて、あんただって気づかずに通りすぎちゃったの!」

とLAの空港に到着したとたん、これである。

空港まで車で迎えに来てくれたK子の運転する車に乗り、昭和のアイドルを流しながら、ずっとこんな調子で何十分もぎゃーぎゃーやってたら、お互い疲れて急に静かになる二人(中年オカマあるある)。

ふと、

「ディナーまでまだ時間あるけど、何しよっか」

とK子が問うてきたので、

「そうねぇ、おされな通りでいい男眺めながら買い物して、酒飲んで、そのあとは、夕焼けの海でも見に行きたいわね」

と今時観光客でもやらないようなブスな提案をしたら、

「あんた、発想がブス!」

と即座に返される。

それでも、

「それじゃ、アボットキニーの通りぶらついて、そのあとはベニスビーチでも行こうか」

とここに住んでるわけでもないのに、さすがは東京で雑誌編集をやってただだけあるから、さらっと的確な提案をしてくれるK子である。

暖かい南カリフォルニアの日差しの中、大学時代の思い出話やら、お互いの今の男事情やらを話しながら、おされな通りを歩く。

「あたしたち、40にもなって、何やってんだろね」

「話す内容もレベルも、20年前と全然変わってないじゃない」

太陽が沈み始めた頃、ビーチ沿いの飲み屋で海を見ながら、コロナビールを片手にそんなやりとりをしていたら、大分心が軽くなっていることに気づいた。

インスタ映えするかもっ、と一人はしゃいで携帯の画面に夢中になっているK子。

この子(40オカマですが)も、今でこそ元気にやっているけど、

昔いろいろあって仕事を休職していた時期もあったのだった。

誰だってストレスやら何やらを抱えながら、何とか生きていってんのよねぇ!

「K子。なんか、あんたのお陰で、あたし浅香唯になれた気がするわ」

「は? あんたが浅香唯なら、あたしは南野陽子か斉藤由貴よ?」

傍からみたら、ぶっとんだ中年のオカマが訳の分からぬことを言っているのだが、

20年もこんなやりとりを続けてきたから、

なんとなく、お互いが言いたいことも伝わっているのである。

ベニスビーチの夕焼け

滅多に飲まないコロナビールだが、
今日はそんな気分

激務で家にも帰れていないというLA在住のA子と一緒に
3人で飯 (K子撮影)

この子達もずっと仲良しでいられたらいいね








2018年5月13日

断食とデトックス

この数か月は、本当にしんどかった。

仕事の締め切りに追われ、平日は夜中過ぎまで、週末も土日とも出勤、と心身ともに40の老体には厳しい生活を続けていたのである。

(日本で働くサラリーマンが聞いたら、そんなのまだまだ甘い!と怒られそうですが・・・)

ここ数週間で仕事はやっと落ち着いてきたものの、まだ心も体も弱ったまま、なかなか回復しない。

若い頃は、繁忙期が明けて2、3日もゆっくりすればすぐ回復してたのに、やっぱり歳のせいかしらん。

特に胃腸は、ストレスで胃液がじゃぶじゃぶ出てる日が長く続いたせいか、特に弱っていて何を食べても何を飲んでも胃もたれである。

「胃腸が弱ると、免疫力も下がるし、肌にもよくないし、いいことなしだよ!」

とオカマ友達のM男も言われ、

これはなんとかしなきゃだわ、と色々調べてみると、

土曜日に断食を行い胃腸を休め、日曜に回復食で胃腸を整えるという「週末断食」というものが流行ってるらしい(ほんとかいな)。

しかも、美容にもダイエットにも効果あり。

しかも、野菜ジュースやお茶は飲んでもよいとのこと。

しかも、週末断食、といいつつ食べないのは実質1日だけ。

今週末は特に食事に出かける予定もないし、これならなんとか出来そうだわ?と中年オカマはじめての断食に挑戦することとなったのである。

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朝、ジムの帰りにスーパーマーケットで野菜ジュースを買い込み、

決断が揺らがないように、

"今週末は断食するわ、あたし!"

と皆にメッセージを送って宣言してから、

家でへたっぴピアノを弾いたり、読書をしたりして静かに過ごしていたら、

特に空腹が襲ってくることもない。

"この調子なら、簡単に1日食べずに終えられそうだわ?"

と、余裕ぶっこいていたのもつかの間、

昼過ぎに、野菜ジュースで腹を満たしたころから、キッチンにあるクッキーやらせんべいやらが気になりだしてきた。

"ちょっと、こんな簡単に挫折したら、情けないじゃないのよ”

さてどうしようと、雑念の多い家を飛び出して、向かうは"銭湯"である。

ケールとマンゴーの野菜ジュース。
不味い!もう一杯!

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日本街にあるKabuki Hotsprings & Spaは、

日本の銭湯のように大浴場と複数のサウナがあり、風呂の前後にプロのマッサージを受けることもできる施設である。

若い頃はよくオカマのY子と一緒に、ここの風呂につかりながら裸のオトコ達を眺めていたり、同業のM子ちゃんと資格試験の勉強の合間にマッサージを受けにきたりしていた。

今回は断食の空腹を忘れるために久々にやってきたが、ついでにマッサージとスチームサウナでデトックスもしちまおう!という魂胆よ。

マッサージを終えて、スチームルームに入り、裸のまま目を閉じて何も考えずに静かに座って汗をかいていると、身体も心もリラックスして浄化されていく(気がする)。

と、ふと目を開くと、自分の左正面に美しい身体をした青年が、腰にタオルもまかずに目を閉じて座っているでないの。

思わず、上から下までまじまじと見てしまうのは、オカマの性か。

筋肉で引き締まった身体。

少し無精ひげを生やして男らしい顔つき。

そして下半身には、、、立派なものが(下品!)。

見ないようにしつつも、ちらちら気になって見ちゃうのと、

食べちゃいけないとわかっていても、食べたくなっちゃうのは似ているわね・・・(なんのこっちゃ)。

って、もうこの頃には断食のことなんか、どっかにぶっ飛んでたわよ。

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翌日、無事に(?)断食を終えて、回復食の味噌汁で軽めの朝飯。

もちろん1日食べなかったくらいで、瘦せるわけでも美しくなるわけでもないが、

胃腸が軽くなったのは事実のようで。

いつもの物足りない塩分控えめの味噌汁の味も、今日は丁度よい。

また、"断食"しに”銭湯”行ってこようかすら・・・。











2018年5月7日

出逢いはスローモーション (4)

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これまでのお話

出逢いはスローモーション (1)

出逢いはスローモーション (2)

出逢いはスローモーション (3)

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大阪弁をしゃべるアメリカ人N君とは、1回目の出会いの後もやりとりは続き、

映画を観に行ったり、食事をしたり、仕事帰りにワインバーに寄ったり、お互いの家に泊まったり(わはっ!)と、

一般的なカップルがたどるであろう一般的な”デート”を何度か続けていた。

しかし、

「最近あんた、どうなの? 最近静かじゃない。 オトコでもできた?」

などとオカマ仲間と飲み屋で飲んでいるときに、探りを入れられたならば、

「何もないわよ。仕事が忙しいだけ!」

と咄嗟にN君のことはまだ言わないでおこうという思考が働く自分。

何度かのデートをしたからと言って、

まだ今後うまく行くかどうかも分からないし、

相手に今はいいことを言われていても、

いつのまにか連絡が途切れ途切れになったり、

いつのまにか終わったりする恋愛も経験してきた中年オカマである。

ちょっとやそっとのことで浮かれたりして、

今までに痛い目にもあってきたもんから、やったら慎重になる訳なのよ。

「とかいって、あんたほんとはオトコいるんじゃないの? 誰なのよ、相手は?」

と長年の付き合いのオカ仲間達は、鋭い勘が働くのか、それともあたしの女優っぷり演技が下手なのか、しつこく聞いてくる。

このオカマ仲間達とは、もう関係が長いからか、お互いの恋愛相手にやたら厳しいもので、前にK枝がハンサムな写真家と付き合っていたときも、

「あんたあの男はダメ男。はやく別れな!」

「あんたあの男といて、本当に将来幸せになれると思ってるの?」

と余計なお世話もいいとこで、皆から手厳しいジャッジメントが下されていた。

そんなことも思い出したもんだから、

"N君のことは、もう少しちゃんとした関係になってから、仲間には紹介したほうが無難だわ”

とその場は、酒に話を濁しておいたわよね。

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数日後、

「イースターの週末は何しているの」

とN君から連絡が入った。

イースターってなんかする日だったっけ?と思いつつも、

「特に予定ないよ」

と返事を送ると、

「両親が家でイースターのディナーパーティをやるから、一緒に行こう!」

と返信が・・・!

”ちょ、ちょっと。まだ友達にも紹介してないのに、いきなりご両親って!?”

”だいたい、まだ出会って数か月で、いきなり親に会わせるか!?”

"ちょ、ちょっと・・・ えーーーー!?”

と、中年オカマ、

ひとり携帯片手にパニックに陥ったわよね。




続く

2018年4月18日

(続) 弟の夫

「弟の夫、実写ドラマ化だってよっ!」

「NHKが、まさかゲイドラマをやる世の中になるとはね」

「それで誰が、カナダ人のマイク役やるの? え、誰これ。かわいい!」

以前ここでも紹介した、日本のゲイエロティックアートの巨匠、田亀源五郎氏のマンガ「弟の夫」が、NHKで実写化されると聞いて、

巷のオカマたち(あたしも含めて)が数ヶ月前から大騒ぎしていたのだ。

実際に、放送があった先月からは、

「派手ではないが良作だったわ」

「泣けたわ~~~」

「マイクが、かわいいすぎて、もうXXXX!」

などとあちこちからよい評価が聞こえてきていた。

そんなに皆が言うならと、実際に自分も観てみたのだが、

原作に忠実に、

身近な人がゲイだった時の、ストレートの人の戸惑いや、

ゲイの人の家族や友達へのカミングアウトの難しさや悩みなどが、

優しい空気感を持って描かれていたのである。

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「弟が今年の5月にハワイで結婚するんだけどね」

我が家の近所に住む、日本人オカマ友達でアーティストのKちゃんと

共通の友達のホームパーティで、酒を片手に話していたら

彼の弟さん(ストレート)の話になったのでが。

そこでKちゃん、

「その弟にね。ついにLINEでカミングアウトしちゃったの!」

と突然の告白である。

「え!!!!それで弟さんの反応はどうだったの!?」

と聞いてみると、

「ちょっとこれ、みてみてよ!」

とKちゃんとその弟さんのLINEのやりとりをみせてくれた。

そしてそこには一画面に入りきらないほどの弟さんからの長いメッセージ。

"Kが、ゲイだって99.9%分かってた!

いつ言ってくれるか、ずーっと待ってたんだよ。

Kが、カミングアウトしてくれて、本当にうれしい。

これからは、心配しないでなんでも話してね。

ハワイでの結婚式にKと彼氏さんと会えるの楽しみにしてるからね!"

そんな優しいメッセージを読ませてもらって、

Kちゃんのカミングアウトをする際の不安やストレス、

そしてそれを優しく受け止めてくれた家族の一人である弟さんの気持ちを思ったら、

自分も他人事ながらなんだか泣けてきてしまったのである。

人んちのホームパーティで、

オカマ2人、

携帯の画面を覗きながら、酒を片手に涙。
(中年オカマあるある。)

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田亀源五郎氏の「弟の夫」の中では、

マイクとの関係を日本の家族に祝福されることなく、

涼二は亡くなってしまったけれど、

こういったマンガやドラマをきっかけに、

双方の不安やストレスが無くなっていけばいいなぁ。

結婚したいと思った二人が、家族からストレートの人と同じように祝福されるようになればいいなあ。

と思うのだ。

「もう、あたしも、もうみんなにカミングアウトしちゃおうかな!」

と、Kちゃんの勇気におされて、皆に宣言してみたらならば、

「ねえ、あんたは、歩くカミングアウトじゃん。」

「あんた、なにもしてなくても、オカマばればれだし、」

と一蹴されたわよね。


マイクが原作以上に優しい眼差しで。
(C) NHK
















2018年3月28日

出逢いはスローモーション (3)

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これまでのお話

出逢いはスローモーション (1)

出逢いはスローモーション (2)

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日曜日の夕方5時半。

待ち合わせ場所だったCafe Floreに到着してみると、

女装をした人たちが楽しそうに騒いでいる。

どうやら今日は特別に、

「日曜恒例!女装だらけのビンゴ大会!」

のような催し物が行われているようなのだ。

とりあえずカフェの端っこの席に座り、あたりを見渡たしてみるも、水球をやっている好青年のような出で立ちの男は見当たらない。

"まさか、あたし、はめられた!?"

"中年オカマなあたしの姿を見て、逃げ出した!?"

"それとも、この女装の人たちの中に、彼がいるのかも!?"

などと、色々な疑惑が過ぎったが、

間もなくして、

ぼんやりした顔の男が

カフェの入り口に現れた。

目があうと、自分に向かって手を振っている・・・。

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「日本政府のJETというプログラムで、奈良の十津川村の学校で英語を教えていたんですよ。」

結局、女装だらけのCafe Floreだと色々落ち着かないということで、その近くのイタリア料理屋で夜飯でも、ということになったのだが。

「水泳は3歳から。水球は高校からはじめました。」

「奈良のあとは、もう少し日本語が勉強したくて、大阪で日本語を勉強しました。」

「日本から帰った後は、ワシントンDCでコンサルティングの仕事に就きました」

「生まれはサンフランシスコで、両親は今、ここから3、40分くらいのところにある、ウォルナットクリークというところに住んでます」

自分もこんなデートというデートは久しぶりで何を話していいのやら、なのだが、

相手も緊張しているのだろうか、酒をかっくらいながら、こちらから何も聞かなくとも、自身のことを延々と話し続けている。

そんな話を聞きながら(聞くフリをしながら?)、こっそり相手の容姿をチェックする自分。

"背は高いけど・・・水球をしてる割にはお腹でてるわよね?"
(オカマ、自分のことは棚に上げる)

"着飾らずに、チームのTシャツにジーンズっていうのは好感もてるわ”
(オカマ、上から目線)

"顔はすごいタイプって訳じゃないけど・・・、優しそうな目はしてるわね。性格はよさげ?"
(オカマ、何様発言)

そのうちに、相手は酔いが回って来たのか、

「実は、T(あたしの名前)が、今どこで働いてるかも、日本でどこの大学出てるかも知ってるんですよ。へへへ。」

とびっくり発言。

「え!!!!どういうこと???」

と話を聞いてみると、

どうやら、前もってインターネットで調べて、Linkedin やらなにやらで情報収集済みとのこと。

"今時のデートは、ネットで下調べするのものなの???"

とちょっと引いたけれど。

悪気もなさそうなので、突っ込まないでおいたわ・・・。

「それで、N君は、仕事何をしているの?」

ちょっとは相手のこともこちらから聞いておかなきゃ、と質問をしてみると、

「はは!グッド クエスチョン!----

ーーー時々コンサルティングみたいな仕事をしていますけど、、、今は無職です!」


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帰り道。

一人家に向かって、ちょっと酔っ払った足取りで、

今日のデートを振り返っていた。

無職の年下男か・・・。

若かった頃は、

年上の大人の男と、

大人のデートをして、

大人の恋愛をするのを夢見ていたのだが・・・。

さて、この無職の大阪弁のアメリカ人と、

将来はあるのかしら!?!?

と、そんなタイミングで携帯にメッセージが入った。

”今日はとても楽しかったです。

また会えるのを楽しみにしています。”

もともと、独り身に慣れていた中年オカマだから、

デートのあとに、また会いたい、などといわれたら、

やっぱり心が躍ってしまうのであった。(ブス!)













2018年3月16日

ジャンニ・ベルサーチの暗殺 / The Assassination of Gianni Versace

ここ数ヶ月の間、

いつも使っている地下鉄の駅には、

こんな広告が貼り出されている。


リッキーマーティン様の・・・!

白いもっこり水着姿・・・!(うほっ)

朝から通勤中に、

一人思わずそわそわする中年オカマよ。

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よく見て見ると、どうやら、新しく始まったテレビドラマの宣伝のようだ。

ここのところテレビなど殆ど観ることもなく、ずっとご無沙汰だったのだが、

この広告を見てから、ちょっと気になって携帯で調べてみた。

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どうやらこのドラマは、20年前にマイアミで実際にあった、

ファッションデザイナー、ベルサーチ氏の暗殺を題材にしているらしい。

リッキーマーティンは、そのベルサーチのゲイの恋人という役柄のようで。

そして、そのベルサーチを殺害した犯人が、

アンドリュー・クナナンというフィリピン系アメリカ人だ。

ベルサーチを殺す以前は、このサンフランシスコの街に住み、

ゲイの街カストロで、高給取りの男たちを相手に男娼をしていたという。

しかも!

その犯人であるアンドリュー・クナナン役を演じるのが、

Gleeのダレン・クリス君。

Gleeで高校生役のダレン君(左)と今回の猟奇殺人犯役のダレン君(右)

しかも!

ベルサーチの妹であるドナテラ・ベルサーチを演じるのが、

ペネロペ・クルス・・・!



本物(左)とニセモノ(右)




これは、どっから、どうみても、

つっこみどころ満載のテレビドラマである

観るわ!!!!!

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って、早速観始めたんだけど、

ベルサーチもドナテラも、

リッキーマーティンも、

殆ど出てこないじゃないっ!!!!







2018年3月12日

出逢いはスローモーション (2)

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前回までのお話

出逢いはスローモーション (1)

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バレンタインデーから数日経った日曜日。

朝、近所を犬と散歩していると、

例の「大阪弁をしゃべるアメリカ人」の男から、

アプリにメッセージが入った。

『今日お茶でも飲みながら話しませんか。昼間はダウンタウンで水球の試合があるので、その後になってしまいますが』

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そんな誘いに対して、若い頃なら、ほいほいと気軽に胸を張って出かけたものだが、

この歳になり、初対面の人と会って話すというのは、

なんとも億劫なものである。

過去にも、たま~にこうやってある出会いに、期待して出向いたものの、

相手の意向(タイプ)に自分が合わなかったのか、そのまま立ち消えになっていった切ない経験も何度かあるからか、

歳をとればとるほど、初対面の男との出会いに弱気になるものなのよ(ブス!)。

そんな中年オカマの被害妄想もあって、

「最近出会いもないけれど、たまに誘われても億劫なのよねぇ~」

などとデートの達人のK枝やM子ちゃんに相談してみたならば、

「でもさ、人と会わなかったら、何もはじまらないよ~?」

「億劫でも、いろんな人とどんどん会わなきゃ、一生運命の人と出会えないじゃない!」

などと発破をかけられる。

確かに、

"独り身はもう慣れたわ! あたしには老犬ワンコもいるし!"

などと強がってみても、

この愛すべきワンコも今年一杯もつか分からないほど歳をとっているし、

女友達もオカマ友達も、皆、相手を見つけていく中で、

自分だけずっと独り身という将来を想像しただけで、

不安で胃が痛くなるのは事実だったのだ。

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『OKですよ! 自分は、何時でも大丈夫です!』

えーい、当たって砕けろだ、と散歩中のワンコそっちのけで返事をした。

すると、

『それじゃ、今日の夕方5時半に、Cafe Floreで!』

と、すぐに返事が来て、初デート(?)と相成ったのである。

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それにしても、水球をしているタッパ(死語)のあるアメリカ人の青年なんて、

雲の上の存在・・・。

どうしよ、今からジム行くべき?

何を着て行けばいいの?

さすがに1回目のデートで裸を見せ合うこともないから、下着はなんでもいいよね?

などと、

久々のデートにひとり、

女子高生や女子大生のような思考に走る中年オカマなのであった(ブス!)。



つづく













2018年3月9日

そんな夜は お風呂にひざをかかえて入り

ここ数週間、サンフランシスコの街は、ずっと寒い日が続いている。

仕事帰りに寒空の下でバスを待っていると、体が芯から冷えてきて、また風邪をぶりかえしそうだ。

そんな夜は、ゆっくり風呂に浸かりたいわぁ、と心から日本の風呂が恋しくなる。

今自分の住んでいる家にも、バスタブは一応ついているのだが、典型的なアメリカスタイルのバスタブで、

浅く、湯をなみなみ張ったとしても、せいぜい上半身が半分浸かるくらい・・・。

肩まで浸かるには、冬季オリンピックじゃないが、ボブスレーの選手みたいな体勢をとらねばならない(中年オカマには到底無理)。

そういえば、この間、同じサンフランシスコにお住いの方のブログをいつものように拝見していたら、

ご自宅のバスルームをリフォームして、日本式の深い風呂を設置したと書かれていた。

自宅で毎日風呂に入れるなんて!! 

想像しただけでも、夢のような話だよ!!

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日本の実家に帰ると、母が毎晩風呂を焚いてくれている。

母が時々、「スーパーで安かったから買いすぎちゃったわ」と、柚子を湯船に入れてくれたりしていると、

心も身体も芯まで暖まってくる。

日本人が長生きなのは、風呂のおかげなんじゃないかね。

日本で久々に会った友達に、そんな話をしながら、

「風呂入ったのなんて、1年ぶりくらいよ~」

などと言ってみたならば、

「あ、あんた、嘘でしょ・・・!?」

とまるで汚いオカマ扱いをされるけれど。(シャ、シャワーは毎日浴びてるのよ???)

日本に住んでいた頃は、会社帰りにオカマ仲間とスーツのまま東京近辺のスーパー銭湯にあちこち寄って、

いいオトコたちを眺めながら、仕事の疲れを癒していたよなあ。

この冬に久しぶりに日本に帰ったときも、

さすがに銭湯めぐりはできなかったが、

十津川村で山々に囲まれながら温泉につかり、

高野山でも朝晩お坊さん達と一緒に風呂に入り、

ボラカイ島のホテルでは、遠くに海を眺めながら部屋の風呂で日に焼けたからだを癒し、

東京のホテルでも、酒を片手に(!)ほぼ毎日朝晩風呂に浸かっていた自分だ(しずかちゃんレベル!)。

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そんなことを思い出していたら、ますます風呂が恋しくなるけど、

今夜もシャワーだけ浴びて寝る!


この間の東京滞在時の風呂。
我が家の風呂ではありません。


2018年2月16日

出逢いはスローモーション (1)

数年前のバレンタインの日。

繁忙期で、皆いつもなら夜遅くまで仕事をしているのだが、

この日は、そそくさと定時に帰る人たちが目立つ。

中には、花束を抱えてオフィスを出て行く人も。

そんな彼らを横目で見ながら、

「今日はバレンタインデーだもんね。ふん、恋人達は楽しくやるんでしょっ」

などと独りごち、コンピュータに向かう自分。

気がついたら、オフィスには殆ど誰もいなくなってたわよ!

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独り身も長くなり、バレンタインやクリスマスに、独りで居ることも慣れたから、

その日も、帰りに駅前のスーパーマーケットに寄って、安もののカリフォルニアワインを買って、

独りでDVDで映画でも観ながら過ごすことにしたわ。

とはいいながらも、

"恋愛モノとかじゃなくて、ジブリとかにしようかしらね~”

とあえて『天空の城ラピュタ』などを選んでる自分。

(ラピュタも、パズーとシータの恋愛モノって説もあるがね・・・)。

過去にもう何十回も観てるラピュタにも、いつものワインにも飽きてきたので、

"なにしてるの~ 今日は国生さゆりデーだよ!"

と、独り身仲間のK枝やM子ちゃんに携帯からメッセージを送ってみると、

二人とも今日はデートだとそっけない返事が返ってきた。

なんだか、裏切られた気分だわよ!!!


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なんだか"おいてけぼり"をくらって、哀しくなってきたので、

思わず携帯の出会い系アプリ(オカマ専門のやつ)を開いてみる自分。

数週間前にM子ちゃんから、

「いろんな人からメッセージをもらうには、週に1回はプロフィールの写真を変えること!」

と必勝法を聞いていたので、

藁にもすがる思いでそれを実践してたからか、いくつかメッセージが届いてるじゃないの。

バレンタインデーでも、こうやってメッセージ出してるオトコ達がいるのね、と少々安心しつつ

メッセージの送り主達の写真やプロフィールを酒のつまみに吟味する自分。

- え? 20歳? つきあっても言葉が通じ無そう・・20歳って大体酒飲めないじゃない!

- お医者様! でも住んでる所がハワイ・・・遠すぎるわよ!

- こ、この人は、ちょっと明らかに、、、やばそう・・・!

などと、長く付き合えるような相手を想定すると、なかなか素敵な出会いにめぐりあえないのが現実よ。

もう若くないので、真剣かつ必死の中年オカマである。

と、そんな中に紛れて、

「日本はどこ出身ですか? 自分は大阪に4年住んでました」

と、 大阪弁をしゃべるアメリカ人からメッセージが届いていた。

プロフィールをみてみると、ちょっと年下だけど、まあ、身長体重もタイプだし、ちょっとなんか面白そうだわね。

それじゃぁ、と久々に真面目に返事を書いて送ってみたわ!



--------------


まさか、これが運命の出会いになるとは、思いもしなかったのである。(C)来宮良子


つづく!


2018年2月12日

39℃

日本での休暇中は、とにかくあちこちから

「風邪には気をつけなよ~」

「インフルエンザ流行ってるわよ~」

と警告を受けていたので、とにかく身体を冷やさないように、とユニクロのフリースをいつも着ているジャケットの下に重ね、

喉を乾燥させぬようにと、ペットボトルの水やお茶で随時水分補給して気をつけていたのだが、

こちらに戻ってきたとたんに体調を崩し、悪寒と頭痛にやられ、なんとか週末までもたせたものの、土日はずっとベッドで過ごし、週末明けも起き上がれず、数日仕事を休む羽目になってしまった訳。

"ちょっとした風邪なら、足の裏にサロンパス貼って寝ればすぐ治るわよ"

"インフルエンザ対策なら、寝る前にヤクルトを1本飲むのよ"

"身体に熱がこもってる感じがするなら、声を上げて歌うと熱が出て行くわ"

"どうしてもお酒飲みたいなら、白ワインにしな。風邪菌殺菌作用があるから"

"Youtubeで、お笑い見て笑うと、細胞も元気になるよ”

といった、オカマ仲間や同年代女子達のアドバイスや、インターネット上の情報を照らしあわせ、なんとか早く回復できないかと試みたけれど、一向に回復する感じがしない。

それに加えて、

体調が悪いと、どうもネガティブ思考になるのが良くない。

寝ているだけで、何もできないからか、

仕事のことやら将来やらなにやらを考えすぎて、

なんだか色々心配になって、やたらと不安になっていく。

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会社の同僚と、

「この年になると、一旦病気にやられると、なかなか治らないよね~」

と話していたのを思い出しながら、ベッドでうなされていた。

子供の頃は、風邪を引いても、母が風邪引きスープを作ってくれて、

学校を休んで3チャンネルの教育テレビを見てるうちに、

ほんの数日ですぐ元気になったのになあ。

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あんまり休んでいても、仕事がどんどん溜まっていくから、

明日にはなんとしてでも治していかなくちゃだわ・・・!

と本調子にならなくとも、サラリーマンは働かねばならぬのだ。











2018年1月29日

東京の空は 今日も高くすんでいる

「やっぱり、日本はいいね」

古くからの友と再会し食事をながら、思わず口にしてしまう。

人に優しい国。

人に優しい人がいっぱいいる国。

「えー、そんなに優しくないでしょ、日本なんて」

と日本に住む人は言うけれど、

そこから離れて住んでいると、

日本に帰る度に、日本がどれだけ優しい国か、

痛い程感じるのだ。



羽田空港で荷物を預けるロッカーがどこも使用中で、大荷物を抱えながら困っていた時に、空港の係員の女性が一緒になって走り回って空きを探してくれた。

十津川村でカレー屋さんに入るために狭い路地で駐車場を探していたら、わざわざ店から店員さんが出てきて、車を止めやすい場所を丁寧に教えてくれた。

何年かぶりに訪れた新宿のバーのマスターも、「サンフランシスコはどうですか」と、ちゃんと自分のことを覚えてくれている。

それに、天ぷら屋さんも、とんかつ屋さんも、すばらしい優しいサービスで、ご飯も味噌汁も(キャベツも)おかわり自由だもんなぁ!(これはちょっと違うけど・・・でも財布にも優しい!)

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それから、自分が日本に帰国するよ~と連絡すると、

中学時代の仲間達は、子育てが忙しい中、一緒に同級生の御墓参りに来てくれて、

人生の先輩でもある親友は、以前病気をして体が不自由になりながらも、一緒にランチに出てきてくれて、

来てるならみんなで集まろう!と当時サンフランシスコに住んでいた大阪の友人達とは同窓会して、

大学生時代から同じオカマ青春時代を過ごしたゲイ仲間とは、新宿2丁目の居酒屋で魚をつっつきながら人生&美容健康相談よ!

そして、アメリカに戻る日には、空港まで見送りに来てくれる家族。

「ほらあんた出発前に、いつもの弘明寺のお守り、買っておいたの渡したかったのよ~!」

と母。

「もう空港までの車の運転はくたびれるし、道に迷うから、京浜急行で来たんだよ~。間に合ってよかった~!」

と父。

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帰りの日本航空の機内に乗り込み、

席に座って、携帯のスクリーンで写真を眺めながら、

そんな日本での人々の優しさと笑顔を思い出していたら、

四十を過ぎて涙腺がますます弱くなったのか、

突然、涙が。

わー!

傍から見たら、中年オカマが一体どんなドラマやらかしたんだって、

ブスも甚だしいのだが。

すると、飲み物を配りにきたフライトアテンダントのお姉さんが、

スナックと一緒に、静かにそっと多めにナプキンを手渡してくれた。

その優しさがまた涙腺にきたのか、

また、涙が。

わー!

ほんとにいい歳した中年が、

恥ずかしくなって、

思わず耳にイヤホンを突っ込んで、

下を向いて寝たフリを決め込んだわよね。

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耳に聞こえてくるのは、ここ数日ずっとリピートして聞いていた、

小田和正の「東京の空」。



いちばん大切なのはその笑顔。
あの頃と同じ。

ありがとう!



2018年1月2日

青い珊瑚礁

拝啓

南の島に来ています。


昨日の朝は寒い高野山のお寺で静かに厳かに正月を迎えていたのに、今はこうやって水着一丁になって砂浜に横になって、松田聖子の「青い珊瑚礁」を聴いてるのだから、不思議な気分である。


ここボラカイ島は、1月は乾季と聞いていたのに珍しく突然の台風にあたってしまい、飛行機も遅延になったりと、到着するまではどうなることやらと不安だったのだが。



到着後も曇り空が続いているけれど、突然青空をみせてくれるのは、やはり島国の気候だ。

若い頃は、バケーションで天気が悪かったりすると、どうにもならないのに、ぶーぶー駄々を捏ねたりしていたが、この年になると、天気が悪くても、今ある状況を何とか楽しみましょう、と開き直るくらいの余裕が出来るものである。



こっそり拝見しているブログで、同じサンフランシスコ在住の方や、パリ在住の方達が、よくハワイやインド洋の南の島を訪れ、「静かにビーチで何も考えずに過ごすのが一番の贅沢」と書かれているが、全くの同感だわ。

ぼーっと、寄せては返す波を眺めながら、その波の音に耳を傾ける。

それに飽きたら、イヤホンで「聖子」。

それにも飽きたら、軽めの本(今回は林真理子氏の若い頃のエッセー)をめくり、

それにも飽きたら、水着姿のオトコどもをチェックする(ムフ)。


南の島のもう一つの楽しみは、マッサージ(オカマ)。

"高級マッサージ"と呼ばれるところでさえ、アメリカや日本の半額かそれ以下で、プロフェッショナルで丁寧なマッサージを受けられる。

土地独特の植物を使ったマッサージオイルは、やはり南の島の香りだわよね。


イヤホンから流れる曲が「渚のバルコニー」から「Sweet Memories」にかわる頃には、空も夕焼け色に。(どんだけ聖子聴いてんだか)

さて、そろそろ東京に戻ろうか。










2018年1月1日

人生はこうして続いてゆくんだろう 間違っても何度つまずいても

大晦日。

向かうは和歌山の高野山だ。

去年は、エジプトのナイル川で仲間4人で大騒ぎしながら正月を迎えたが、今年は静かに高野山のお寺さんで正月を迎えようと思い立ったのである。

日本仏教の聖地の一つでもある高野山では、修禅の道場でもあるいくつもの寺が宿坊として、一般の参拝客や観光客が宿泊できる場所を提供していて、今回はそれらのお寺のうちの一つにお世話になった。


高野山へ向かう途中、奈良の十津川村に立ち寄った。
十津川村も高野山も、
「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている。

まずは十津川温泉で温まってから向かいましょ。



「高野山はとにかく寒いですからね~ 気をつけて行って来て下さいね~」

親切なレンタカー屋のアドバイスにも真面目に耳を向けず、薄着でやって来た典型的なカリフォルニアかぶれの自分。

高野山に到着し車を降りると、もうとにかく寒くて、

"こんな寒さじゃ、修行もへったくれもないわ・・・ もう帰りたいかも・・・"

などと早々中年オカマが弱音を吐いていたのだが。

今回の宿坊である「恵光院」は、外観も内部もとても明るく清潔にされていて、お坊さん達も親切で、やはり足元は冷え冷えするものの、部屋にはヒーターもこたつも完備されていた。

"これなら、なんとか年越せるかも・・・"

と気をとりなおして、壇上伽藍や金剛峰寺を参拝すること。




高野山恵光院に到着だ。

温泉宿のような趣のある部屋!



参拝から戻り、道場での瞑想(阿字観)を終えると、各自の部屋で精進料理の夕食だ。

部屋にはテレビもあり、夕食のあとはお寺が提供してくれたビールを飲みながら、浴衣で紅白歌合戦を観戦する自分(一体、何しに高野山に来たんだか?)


奥之院ナイトツアー。
弘法大師・空海の御廟のある奥之院を、たくさんの墓石の中を歩きながら
その歴史をたどるというもの。



奥之院ツアーのあとは、大晦日ということで年があける前から、年越し護摩祈祷に参加。

先ほど部屋で護摩木に、「2018年も家族や自分が大きな病気や事故にあいませんように!」と願いをこめて、無病息災と書いて渡しておいたものを、お香と一緒に燃やしてもらった。

年越し護摩祈祷が終わる頃には年を越し、
皆でお神酒を頂いた。

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元旦は、朝の7時半からお寺の本堂で朝の勤行。

お坊さんからの、"どんな願い(健康でも仕事でも人間関係)も、願い頼むだけではなく、自分からもそこに向かえるよう努力しなければなりません”との有難いお言葉。

勤行のあとは、お坊さんと大広間で朝食だ
(昨日風呂場で一緒だったお坊さんだわ!)



大晦日の昨日は肌寒い曇り空だったが、元旦の今日は青空のよい天気。

帰る前にもう一度弘法大師にご挨拶にと、奥之院を歩いた。

一の橋を渡るとその先は「あの世」。渡る前には、必ずお辞儀をする。


奥之院内では、お正月ということで甘酒が振舞われていた。

甘酒で体が温まったところで、おみくじを引いてみると、

「大吉」の文字!

しかし大吉といえども、詳細を読んでみると、

待ち人 ... 来ません。
旅行 ... 酒に注意。
恋愛 ... 親に相談して進めなさい。
縁談 ... 控えたほうがよい。

と少々手厳しい。

"励むことを楽しみとし 怠ることを恐れよ"
"色香に迷わず 慈愛の心で日々を送れば幸福になる"

とのことで。

今年もよい1年になりますように!