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3月, 2018の投稿を表示しています

出逢いはスローモーション (3)

================== これまでのお話 出逢いはスローモーション (1) 出逢いはスローモーション (2) ================== 日曜日の夕方5時半。 待ち合わせ場所だったCafe Floreに到着してみると、 女装をした人たちが楽しそうに騒いでいる。 どうやら今日は特別に、 「日曜恒例!女装だらけのビンゴ大会!」 のような催し物が行われているようなのだ。 とりあえずカフェの端っこの席に座り、あたりを見渡たしてみるも、水球をやっている好青年のような出で立ちの男は見当たらない。 "まさか、あたし、はめられた!?" "中年オカマなあたしの姿を見て、逃げ出した!?" "それとも、この女装の人たちの中に、彼がいるのかも!?" などと、色々な疑惑が過ぎったが、 間もなくして、 ぼんやりした顔の男が カフェの入り口に現れた。 目があうと、自分に向かって手を振っている・・・。 ---------------------------------------- 「日本政府のJETというプログラムで、奈良の十津川村の学校で英語を教えていたんですよ。」 結局、女装だらけのCafe Floreだと色々落ち着かないということで、その近くのイタリア料理屋で夜飯でも、ということになったのだが。 「水泳は3歳から。水球は高校からはじめました。」 「奈良のあとは、もう少し日本語が勉強したくて、大阪で日本語を勉強しました。」 「日本から帰った後は、ワシントンDCでコンサルティングの仕事に就きました」 「生まれはサンフランシスコで、両親は今、ここから3、40分くらいのところにある、ウォルナットクリークというところに住んでます」 自分もこんなデートというデートは久しぶりで何を話していいのやら、なのだが、 相手も緊張しているのだろうか、酒をかっくらいながら、こちらから何も聞かなくとも、自身のことを延々と話し続けている。 そんな話を聞きながら(聞くフリをしながら?)、こっそり相手の容姿をチェックする自分。 "背は高いけど・・・水球をしてる割にはお腹でてるわよね?" (オカマ、自分のこ

ジャンニ・ベルサーチの暗殺 / The Assassination of Gianni Versace

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ここ数ヶ月の間、 いつも使っている地下鉄の駅には、 こんな広告が貼り出されている。 リッキーマーティン様の・・・! 白いもっこり水着姿・・・!(うほっ) 朝から通勤中に、 一人思わずそわそわする中年オカマよ。 ------------------------------ よく見て見ると、どうやら、新しく始まったテレビドラマの宣伝のようだ。 ここのところテレビなど殆ど観ることもなく、ずっとご無沙汰だったのだが、 この広告を見てから、ちょっと気になって携帯で調べてみた。 ----------------------------- どうやらこのドラマは、20年前にマイアミで実際にあった、 ファッションデザイナー、ベルサーチ氏の暗殺を題材にしているらしい。 リッキーマーティンは、そのベルサーチのゲイの恋人という役柄のようで。 そして、そのベルサーチを殺害した犯人が、 アンドリュー・クナナンというフィリピン系アメリカ人だ。 ベルサーチを殺す以前は、このサンフランシスコの街に住み、 ゲイの街カストロで、高給取りの男たちを相手に男娼をしていたという。 しかも! その犯人であるアンドリュー・クナナン役を演じるのが、 Gleeのダレン・クリス君。 Gleeで高校生役のダレン君(左)と今回の猟奇殺人犯役のダレン君(右) しかも! ベルサーチの妹であるドナテラ・ベルサーチを演じるのが、 ペネロペ・クルス・・・! 本物(左)とニセモノ(右) これは、どっから、どうみても、 つっこみどころ満載のテレビドラマである 観るわ!!!!! ---------------- って、早速観始めたんだけど、 ベルサーチもドナテラも、 リッキーマーティンも、 殆ど出てこないじゃないっ!!!!

出逢いはスローモーション (2)

======================== 前回までのお話 出逢いはスローモーション (1) ======================== バレンタインデーから数日経った日曜日。 朝、近所を犬と散歩していると、 例の「大阪弁をしゃべるアメリカ人」の男から、 アプリにメッセージが入った。 『今日お茶でも飲みながら話しませんか。昼間はダウンタウンで水球の試合があるので、その後になってしまいますが』 ----------------------------------- そんな誘いに対して、若い頃なら、ほいほいと気軽に胸を張って出かけたものだが、 この歳になり、初対面の人と会って話すというのは、 なんとも億劫なものである。 過去にも、たま~にこうやってある出会いに、期待して出向いたものの、 相手の意向(タイプ)に自分が合わなかったのか、そのまま立ち消えになっていった切ない経験も何度かあるからか、 歳をとればとるほど、初対面の男との出会いに弱気になるものなのよ(ブス!)。 そんな中年オカマの被害妄想もあって、 「最近出会いもないけれど、たまに誘われても億劫なのよねぇ~」 などとデートの達人のK枝やM子ちゃんに相談してみたならば、 「でもさ、人と会わなかったら、何もはじまらないよ~?」 「億劫でも、いろんな人とどんどん会わなきゃ、一生運命の人と出会えないじゃない!」 などと発破をかけられる。 確かに、 "独り身はもう慣れたわ! あたしには老犬ワンコもいるし!" などと強がってみても、 この愛すべきワンコも今年一杯もつか分からないほど歳をとっているし、 女友達もオカマ友達も、皆、相手を見つけていく中で、 自分だけずっと独り身という将来を想像しただけで、 不安で胃が痛くなるのは事実だったのだ。 ----------------------------------- 『OKですよ! 自分は、何時でも大丈夫です!』 えーい、当たって砕けろだ、と散歩中のワンコそっちのけで返事をした。 すると、 『それじゃ、今日の夕方5時半に、Cafe Floreで!』 と、すぐに返事が来て、初デート(?)と相成ったのである。 -----

そんな夜は お風呂にひざをかかえて入り

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ここ数週間、サンフランシスコの街は、ずっと寒い日が続いている。 仕事帰りに寒空の下でバスを待っていると、体が芯から冷えてきて、また風邪をぶりかえしそうだ。 そんな夜は、ゆっくり風呂に浸かりたいわぁ、と心から日本の風呂が恋しくなる。 今自分の住んでいる家にも、バスタブは一応ついているのだが、典型的なアメリカスタイルのバスタブで、 浅く、湯をなみなみ張ったとしても、せいぜい上半身が半分浸かるくらい・・・。 肩まで浸かるには、冬季オリンピックじゃないが、ボブスレーの選手みたいな体勢をとらねばならない(中年オカマには到底無理)。 そういえば、この間、同じサンフランシスコにお住いの方のブログをいつものように拝見していたら、 ご自宅のバスルームをリフォームして、日本式の深い風呂を設置したと書かれていた。 自宅で毎日風呂に入れるなんて!!  想像しただけでも、夢のような話だよ!! -------------------- 日本の実家に帰ると、母が毎晩風呂を焚いてくれている。 母が時々、「スーパーで安かったから買いすぎちゃったわ」と、柚子を湯船に入れてくれたりしていると、 心も身体も芯まで暖まってくる。 日本人が長生きなのは、風呂のおかげなんじゃないかね。 日本で久々に会った友達に、そんな話をしながら、 「風呂入ったのなんて、1年ぶりくらいよ~」 などと言ってみたならば、 「あ、あんた、嘘でしょ・・・!?」 とまるで汚いオカマ扱いをされるけれど。(シャ、シャワーは毎日浴びてるのよ???) 日本に住んでいた頃は、会社帰りにオカマ仲間とスーツのまま東京近辺のスーパー銭湯にあちこち寄って、 いいオトコたちを眺めながら、仕事の疲れを癒していたよなあ。 この冬に久しぶりに日本に帰ったときも、 さすがに銭湯めぐりはできなかったが、 十津川村で山々に囲まれながら温泉につかり、 高野山でも朝晩お坊さん達と一緒に風呂に入り、 ボラカイ島のホテルでは、遠くに海を眺めながら部屋の風呂で日に焼けたからだを癒し、 東京のホテルでも、酒を片手に(!)ほぼ毎日朝晩風呂に浸かっていた自分だ(しずかちゃんレベル