2017年9月30日

Love is all

メキシコシティの古い街並みを、革靴で石畳を音を立てながら、スーツにネクタイを締めて歩く。

(数年前の映画であった、ジェームスボンドにでもなった気分よ!)

独立記念日の祭りの準備で騒がしい大通りを抜けて、細い路地に入り、招待状に書かれた住所にたどり着くと、スーツやドレスで着飾った人々が列をなしているのが見えた。

その列の最後尾に並び、新郎と新郎の準備ができるのを待つ。

空を見上げると、結婚式にふさわしい、優しい秋晴れの日だった。

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同性婚が認められるようになってからというもの、自分の周りもたくさんのカップルが結婚していった。

今そういった相手がいなくとも、あるいは相手はいるが結婚する予定は今のところなくとも、一生一緒に居たいと思える相手と、結婚したい時にできるという選択肢があるということは、心の大きな自由である。

結婚が認められていなかった頃、ビザの関係で国を跨いで離れ離れにならなければならないカップル達を大勢みてきたから、なおさらだ。

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そんなことを思いながら、二人揃って黒のタキシードで現れた友人の新郎と新郎を拍手で迎える。

新郎のH君は中東系アメリカ人で外交官として、メキシコシティに赴任してきた。そのお相手のM君は、アメリカでの仕事を辞めて一緒にやってきて、今は大使館の事務員として働いている。

「Are you an FSO too?」

披露宴の会場で同じテーブルについたアメリカ人の男に突然話かけられた(うほっ!いい男っ!)。

一瞬、質問の意味がわからず、FSOをSFO (サンフランシスコ国際空港)と思い込んだ自分は、

「Yes, I'm from San Francisco」

などと答えてみたが、あとから周りの話を聞いていると、FSOとは"Foreign Service Officer(外交官)の略で、どうやら自分はとんちんかんなことを言っていたようだ。

(それっきり、そのいい男からは話しかけられなかったわ?)

外交官の結婚式だけあって、出席者も、南アフリカ、エジプト、台湾、フランス、プエルトリコなどなど、世界各地から遥々このメキシコシティに集まって、この二人の新郎をお祝いしに来ている。

周りを見渡すと、ゲイもレズビアンもいっぱいいたが、それと同じくらいのストレートの人もカップルもいる。

H君のお母さんはスピーチで、

「ゲイだろうがストレートだろうが関係なく、こうやってHとMのために、世界中からここにこうやって集まってお祝いしてくれる人々がいて、親としてこんなに幸せなことはありません」

と声を詰まらせながら涙して語り、それを聞いた自分も、周りの人々も思わず涙。

スピーチのあとは、H君の国の結婚式の伝統というベリーダンスのショーがあったり、現地のメキシコ人の音楽隊の歌と演奏があったり、と夜中の2時過ぎまで宴は続いたのだった。

H君、M君おめでとう。
末永くお幸せに!












2017年9月28日

きっとこうして人は過ぎた季節に記憶を隠す いつか零れた涙集まって陽を浴びて輝くまで

「ちょっと40歳で引退なんて、早すぎるわよぉ!」

「もうだめ、あたし当分アムロスだわ・・・。」

「もうあたしも、来年の9月でオカマ引退する!」

「あんたは死ぬまで一生オカマだよ!」

などと、安室奈美恵さんの引退宣言のニュースに、仲間内ではちょっとした騒ぎとなった。

自分も、彼女と同い年ということもあってか、ちょっとセンチメンタルな気分になっている。

彼女のアルバム『Sweet 19 Blues』を聞くと、今でも自分が19歳だった頃の色々な出来事を思い出す。

それから、落ち葉散る冬空の代々木公園と渋谷の街を、黒いコートを纏って『Baby don't cry』と歌いながら颯爽と歩く彼女が好きだった。

新宿2丁目の小さなダンスイベントスペースで、"安室奈美恵ナイト"をやっていたら、本人がお忍びで来てくれて、街中大騒ぎになったニュースも懐かしい。

「25年も走り続けてきたんだもの。お疲れ様、だよねぇ。」

とオカマ仲間とは、気持ちを落ち着かせようとするも、当分は明菜や聖子やNANNOじゃなくて、奈美恵を聞いて通勤することになりそうだ。

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「今引退できるとしたら、引退したい?」

同業のM子ちゃんから、先のニュースを受けてか、仕事中にそんなメッセージが入った。

「今引退するほど、家計に余裕がございません!」

と返信するも、

ふと改めて考えてみる。

もし宝くじやら玉の輿やら(ないない)に当たって、今すぐ引退できるような経済状態にあったとしても、なんらかの形で社会と繋がっていたいと今は思う。

"今の仕事は辞めるとしても、ボランティアや非営利団体を通じて社会に貢献できたらいいなぁ"

"長年の夢だったフライトアテンダントもいいわね。知り合いも40過ぎてからなったって言ってたし?"

などとあちこちに思考が飛んでいく。

安室さんも子供の頃はフライトアテンダントになるのが夢だったとか!










2017年9月25日

Heaven is a Place on Earth

会社の同僚の知り合いが、先週胃がんで亡くなったという。

35歳のアメリカ人で日本を愛し、病気を発症するまでは日本に住んでいた。

闘病の痛みや辛さから解放された彼の遺灰は、彼の好きだった日本の富士山の近くに埋葬されるという。

そんな話を聞いた直後にFacebookを見ると、今度は、ワシントンDCに住む友達の水球仲間が、重い鬱病にかかり、同じく35歳という若さで自死してしまったと、投稿があった。

大学を主席で卒業し、大きな会社に入り努力が認められ、イタリアへの転勤。

アメリカに戻ってからも仕事でも水球チームでも、バリバリ活躍していたという。

そんな若くしてこの世を去った二人とその家族から、共通して残された人達に伝えられたメッセージは、

「短い人生、自分の好きなことを選んで生きる」

ということ。

ストレスだらけの生活の中でも、

「自分が好きだと思える時間や物事を大切にする」

ということ。

忙しい毎日に追われていると、自分が何が好きで何が大切なのかも御座なりになってしまいがちなんだけどね。

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先日のエミー賞で、『サン・ジュニペロ (San Junipero)』がテレビ映画作品賞と脚本賞を受賞したという。

この作品は、『ブラックミラー』という、日本でいうところの『世にも奇妙な物語』(懐かし...)的な、サイエンスフィクションのテレビシリーズのエピソードの1つで、自分も特に好きな物語だったので、うれしいニュースだった。

カリフォルニアの架空の街を舞台にLGBTを題材にした作品で、当時テレビで観たときは、"生きること、死ぬこと"について思わず考えさせられたわ。

作品の冒頭で、主人公が飲み屋の奥に置かれたアーケードゲームをしていると、見知らぬ青年が、

“The game has different endings, depending on if you’re in one or two player.”


と主人公に話かける。


物語を一番最後まで観たときに、その青年の台詞が心に響いて、思わず涙した中年オカマである。



海辺のシーンも多く美しいカリフォルニア!
と思いきや撮影は南アフリカのケープタウンらしいです。
(C) Netflix









2017年9月11日

どうしてもっと自分に素直に生きれないの そんな思い問いかけながら

先月、シャスタ山に行ってきた。

これまた今年40になったアメリカ人の友達の旦那が、皆でシャスタの湖で宿泊できるボートでも借りて、彼女の40歳を祝おう!と企画したのである。

シャスタ山は、サンフランシスコから北に向かって4~5時間車で行ったところにある、自然に囲まれた静かな場所だ。

ミネラルウォーターの「クリスタルガイザー」の産地でもあり、大昔に自分が初めて訪れた時には、「こ、これ! 空気や水が美味しいっていうのは、こういうことなのね!!」と驚いたくらいだ(大げさ)。



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真夏の日差しの中、ボートの上に寝そべり、レッドウッドの香りのする空気を吸い込む。

周りを見渡すと、目に入ってくるものは空と山々と湖と、それから時折遠くの木々の間から顔を見せる鹿たちだけだ。

同じくこの友人の誕生日を祝おうと、この舟に乗り込んだ若者達は、水上スキーやボディボードにも飽きて退屈な様子で、遠くで大音量で音楽をかけたり酒を飲んでふざけ合ったりと、所在無くしている。

自分が最後に来たのが10年以上前の20代の頃で、その時は自分もそういったアクティビティが主となる滞在だったが、今はこうやって寝そべって美味しい空気を吸いながら、ぼんやりと過ごすのが一番だわよ(ばばあ)。



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シャスタ山をネットで調べてみると、どうやら"パワースポット"としても有名な場所らしく、地底都市が眠っているだとか、UFOがよく見られるだとかいったぶっ飛んだ説もあるらしい。

「UFOが見られるなら、見てみたいもんだわ! 地球のオトコにも飽きたところだし! (C)ピンクレディ」

などと、よくオカマ仲間とは下らないことを言いあっているが、今まで何度か訪れたシャスタで、地底都市の入り口にも、UFOにも遭遇したことはない。

ただ、ここが"パワースポット"だからなのかは分からぬが、この美しい空気と水に囲まれて過ごしていると、何となく心も身体も元気になっていくのは分かる。

「人生に疲れた時や、迷った時は、シャスタに行くのがいいらしいよ!」

と、以前K枝が言っていたが、あながち嘘では無さそうだ。

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沢山の蚊たちに悩まされながらも、満天の星空の下で友達の40歳のお祝いをし、翌日は、もう一晩湖で過ごすという彼女達と別れ、サンフランシスコに戻る前に、小さな温泉に立ち寄った。

個室の古びたバスタブに、硫黄の匂いのするとろっとした熱い源泉を注ぎ、水で温度を調節してからゆっくり浸かると、強い日差しで疲れた身体(老体...)が癒されていく。

その後はサウナに入ったり、屋外にある小川の冷たい水に入ったりして、静かな自然の中でゆっくり過ごした訳。

「シャスタはね、山の神様に呼ばれた時にしか来ることができないのよ!」

と、これまたK枝が言っていたが、また心身が疲れた時に呼ばれたら、ゆっくり訪れに来たい場所である。



温泉の帰りにバーニーフォールという滝に立ち寄った。
マイナスイオン!
他にも映画「スタンド・バイ・ミー」に出てきた線路を歩いたりと、
色々なハイキングコースがあるシャスタ山だす。