2019年2月28日

出逢いはスローモーション (8)

先日、日本で13組の同性愛者のカップルが結婚の自由を求めて一斉提訴したという。

「日本の同性愛結婚の第一歩!」

という報道を聞いて、胸がいっぱいになった自分である。

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大黒摩季の歌じゃないが、オカマの自分も30を過ぎた頃には、周りが「結婚」で騒がしくなったのを覚えている。

中学時代や高校時代の友達が結婚するといえば、アメリカから遥々電報を打ち、

現地の友達が結婚するといえば、ギフトを送り、式にも披露宴にも、時には飛行機に乗って、参加してきた。

しかし、どんなに同年代の同級生や友達が次々と将来の伴侶を見つけ、幸せそうな顔で結婚していこうとも、

"まぁ、自分には関係ない話だしね"

"どうせ法的に認められないんだしさぁ"

"しょうがないわよ"

"うちらは、一生一人で生きていかなきゃいけないの!"

"お願い、あたしが病気でぶっ倒れたら、あんた支えてよぉ!”

などと、オカマ仲間で酒をひっかけながら、半分皮肉になったり感傷的になったりしたものである。

皆、自分がゲイだと気づいた時から、ひとりで生きていく覚悟を、いつの頃から胸に決めていたのかもしれない。

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2015年に米国の最高裁が同性同士の結婚を認めて以来、オカマ仲間のM男をはじめ、自分の周りにも同性同士で結婚する仲間がちらほらみられるようになってきた。

そして、国を訴えた勇気ある13組のカップルの行動がきっかけとなって、ついに日本でもその流れが現実のものとなって動き始めているのである。

すげーわ! オカマの歴史的瞬間に立ち会ってるのね?!(なんのこっちゃ)

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ちょうど1年前の2月。

平日の夜、久々に仕事の後カストロの街で友人達と遅くまで飲み、家に帰ってくると、N君の様子がなんだかおかしい。

「もう飲みすぎたから、シャワー浴びないで寝るわ」

と自分が言うと、

「いいからシャワー浴びてきてよ」

とN君は言う。

何だかよくわからずに、酔っぱらった頭でシャワーを浴び、バスルームから出て、着崩してよたよたになったユニクロのパジャマを着て、リビングに戻ると、N君がひざまずいている。

「え?」

「僕と、結婚してください!」

「え???」

「だから、結婚、しよう!?」

「え??????」

N君の手には、小さな箱とリングが。

「え~~~~~~~~~~~~~???」

あの頃は、もう一生死ぬまでひとりで生きていって、最期は仲の良い友達が見送ってくれたなら本望だわ、くらいに思っていたものだから、

自分が誰かと結婚するなんて、夢にも思っていなかったのである。

自分も地元の友達や同僚と同じように、結婚ができるの?

そんな数十年の思いがぐわーっと蘇って、気づけば思わず声を上げて泣いていた自分である。

「それで、Yesなの? Noなの?」

と心配そうな顔をしているN君。

照れくさくて、Yesと言えずに、いい歳して大泣きしたブスの自分は、

ただ何度も頷いたのだった。




2019年2月24日

さらさらと 雨に追われるように花は散るらん

「こんまり、知ってる?」 

「こんまりのテレビ観た?」

と、最近アメリカ人の同僚や友達に聞かれるまで、彼女の存在を知らなかった自分である。

何のことかとグーグルしてみると、日本出身の"人生がときめく片づけの魔法"をかかげた、片づけコンサルタント、近藤麻理恵氏と書いてある。

挙句の果てに、社員に送られてくる会社の全体メールで、

「今週はオフィスをこんまりしましょう!」

と送られてきたり、

アカデミー賞に呼ばれた近藤氏がレッドカーペットに登場したならば、

「近藤麻理恵がただ今到着しました。参加者はレッドカーペットを散らかさないでください!

などと、アカデミーがツイートするほど、アメリカでは名の通った人のようなのである。

「ねぇ、こんまりって知ってた?」

と日本人の同僚女子に問うてみると、

「知ってる! Spark Joy (ときめき)を感じないものは断捨離しろって言ってる人でしょ?」

「やだ! そしたら、あたい、この仕事に一切Spark Joy感じないから、捨てるべき!?」

「やだ! そしたら、あたし、今の旦那に一切Spark Joy感じないから、捨てるべき!?」

確かに、自分の直感に任せて、Spark Joyの感じるものだけ求め、そうでないものは捨てていけたら、どんなに楽しい人生になるのかしらん。

とは言っても、昭和のオカマは、物事を簡単に捨てられないの!

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日曜の朝。

窓から外をみると、久しぶりに晴れ間がみえている。

"久しぶりの青空じゃないの。休日出勤はやめにして、今日はゆっくりしよ"

と、自分にそんな言い訳をして、今日は久しぶりにゆっくりすることにした。

しかし、家の中をみわたすと、仕事が忙しいのにかまけて、あちこちとっ散らかっている。

"いい加減、"こんまり"しないとね・・・”

と独り言ちながらも、重い腰をあげられずに、朝からソファーで酒をひっかけている。

ふと、ベランダをのぞいてみると、春の強い風の中、薄紅色の梅の花びらが舞う中に、去年の冬に上司からもらって植えておいたミョウガやシソの芽が出ているじゃないの!

思わず嬉しくなって、写真を撮りながら、久しぶりにSpark Joy(?)を感じていた自分だったのである。


誰にも 卒業(断捨離)できない恋がある
(C) 渡辺美里


ミョウガちゃん、元気に育っておくれ。



2019年2月10日

アクアマリンのままでいて (2)

「わたし、今週ジム4回目。」

「自分も、今年ジム4回目・・・」

土曜の朝、ジムに向かう途中、同業のM子とLINEでやり取り。

リオデジャネイロで、あれだけ、

「今年は、がっつりジムに通って痩せて、美しい肉体を持つ、色気ある40男目指すわ!」

などと、皆に向かって宣言していたのにも関わらず、もう2月だというのに、今年に入ってまだ数回しかジムに行けていない。

"風邪気味だから悪化したら困るわ・・・"

"仕事が忙しくて、明日も朝早くにミーティングあるし・・・"

などと、言い訳をしてさぼっていた情けない自分である。

こんなんじゃ、いつまでたってもリオの男のようになれないじゃないのよ!

というわけで、今日は1か月前のリオの男達の写真を見返して、重い腰を上げて朝から雨のサンフランシスコの街を歩いてジムに向かった次第である。

ジムでマシーンに座り、がっつり筋トレするつもりが、気が付いたらまたもや携帯に収められたブラジル旅行の写真を眺めている。

リオの拠点となったコパカバーナビーチのホテル



コルコバードのキリスト像の前でミステリーハンターを気取る

ブラジルは美男、美女が多いよ、と出発前に同僚や友達からは聞いていたが、実際リオの町中を歩いていると、モデルのような美男美女に多く出くわすのである。

「ねえ、イパネマビーチは、オカマのいい男がわんさかいるらしいわよ!」

などと誰かが言いだし、

「でも、うちらみたいな中年が行っていいのかしら・・・」

「でも、せっかく地球の裏側まで来たんだしねぇ・・・」

などと言い訳しつつ、4人でイパネマビーチに向かったのであった。

イパネマビーチの中でも、ゲイが多いといわれるエリアでタクシーを降りると、右を向いても左を向いても、水着一丁の裸の男、男、男!

「こ、これが噂のイパネマビーチなのね・・・」

「こ、これが噂のブラジルの男達なのね・・・」





あまりにも地元の男達が美しすぎて、ショートパンツの下にこっそり水着をしこんできたものの結局水着になれず仕舞いだった、情けない自分である。

「2019年の目標決めたわ。痩せる。」

「自分も! ちゃんとジム行って、鍛える。」

「今度みんなで会った時は、4人とも生まれ変わってるわね。」

「人生変えちゃう、2019かも」

そんな誓いを立てたのもつかの間、裸のいい男ばかり見ていたら、無性に肉が食いたくなり、ブラジル肉料理の店に駆け込んだ4人である・・・。


イパネマの娘、発祥と言われるカフェレストランで肉を食う
オカマ4人であった・・・

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そんな思い出に耽っていたら、ジムで大したこともしないまま、時間だけが経っていた。

こんなんだから、いつまで経っても痩せられぬ自分である。

NHKの筋肉体操みながら、毎日トレーニングしなきゃだわ!





それにしても、ブラジルの肉、安くてうまかったな~。。。







2019年1月27日

アクアマリンのままでいて (1)

「ブラジル出身の有名人って誰かいる?」

「リッキーマーティンよ!」

「ひゃだ、イケる!」

「ちょっとあんた。リッキーは、プエルトリコじゃなかった?」

「ブラジルと言えば、マルシアじゃない?」

「ブラジルと言えば、カルロス・トシキよ!」

「アクアマリンのままでいて!?」

拠点となるブラジルの小さな街から、世界三大爆の一つ「イグアスの滝」に向かうタクシーの中で、昭和オカマの4人は日本語で騒いでいた。

挙句の果てに、誰かが携カルロストシキ&オメガトライブの「君は1000%」を歌い始めたものだから、運転手さんはきっと辟易としてたはずだ。

そんな中、車はブラジルの国境を越えて、アルゼンチンへ。

ついに、世界遺産「イグアスの滝」に到着である。

20数年前、渋谷の映画館でひとり、ウォン・カーワイ監督の香港ゲイ映画「ブエノスアイレス」を観て以来、いつかは訪れたいと思っていた場所である。

どんな滝が待ち受けているのかと、ジリジリと暑い太陽の下、森林の中を整備された道に沿って歩いていくと・・・



突然目の前に現れたのは、世にも美しい滝の群れであった。

そして、轟音を立てて流れる滝の横には美しい虹が!





「遥々地球の裏側まで旅してきた甲斐があったね!」

「オカマの雑念や穢れが洗い流されるようだわ!」

「ブエノスアイレスの映画だと、あの香港人の男同士のカップルは滝までたどり着けなかったんだよね。」

「こうやって皆で来れたってことは、そういう縁があったってことなんだよね。」

翌日はブラジル側からボートに乗って、間近でずぶ濡れになりながら滝を拝み、その後は、欲張って、ヘリコプターに乗って上空から滝にのぞんだのであった。





空から眺めるイグアスの滝は、どこまでも続く森林の中に突然現れ、虹をつくりながら、止まることなく流れている。

こんな壮大な自然の景色をみていたら、日々の悩みやストレスなど本当に小さく些細なことだと、改めて気づかされた中年男子4人であった・・・。



続く


2019年1月1日

瑠璃色の地球

2019年は、リオデジャネイロのコパカバーナ海岸で迎えた。

5! 4! 3! 2! 1!

と、ブラジルの若者に混ざって、皆で白いシャツを来て、カウントダウン。

そして、年明けと共に、コパカバーナの砂浜では大きな花火が次々と空に打ち上げられていった。

「明けまして、おめでとう!」

「今年もよろしく!」

「今年はストレスなく健康な1年になりますように!」

「今年こそいいオトコに出逢えますように!」

ポルトガル語で年明けを祝う大勢の人々の中で、日本人中年オヤジ(オカマ)の4人は、こっそり日本語で新年の挨拶を交わした。

ビーチに設置されたスピーカーからは、ラテンの陽気な音楽が流れていて、白いシャツやドレスを着ている人々の服は、花火の色を反射して、絶えず色を変えてゆく。

ひっそりと静かに年を越す、日本の正月が一番好きだが、たまには地球の裏側でこんなラテンのノリでの年越しもいいかもしれない。




「あんた、起きて! 初日の出、見に行こ!」

「・・・ちょっと、あんた、まだ3時間も寝てないじゃないよぉ」

「あんた、初日の出、ちゃんと拝んでおいたら、今年いいことあるわよ!!」

翌朝、K子にたたき起こされ、2人してホテルを抜け出して、数ブロック先のビーチまで初日の出観測となった。


夜明けの来ない夜はないさ、あなたがぽつり言うー

2年前のエジプトのナイル川での初日の出の時と変わらず、思わず聖子の「瑠璃色の地球」を口ずさむ。

今年もよい1年になりますように!