2020年2月11日

木漏れ日がライスシャワーのように (8)

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これまでのお話

木漏れ日がライスシャワーのように (1)

木漏れ日がライスシャワーのように (2) - 家族の心模様 I

木漏れ日がライスシャワーのように (3) - 家族の心模様 II

木漏れ日がライスシャワーのように (4) - 家族の心模様 III

木漏れ日がライスシャワーのように (5) - 場所選びの巻

木漏れ日がライスシャワーのように (6) - 若草の招待状の巻

木漏れ日がライスシャワーのように (7) - 花嫁衣裳は誰が着るの巻

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結婚式当日の土曜日の朝。

ほとんど眠れぬ夜をすごし、宿泊しているホテルの窓のカーテンを開けてみると、やはり曇り空であった。

一週間前から、毎日携帯で天気予報をチェックしては、オカマ心のようにころころと変わる天気予報に一喜一憂していた自分である。

"どちらにしても式も披露宴も屋内だから、天気など関係ないし!"、などと言い聞かせてきたが、やはり青空でこの日を迎えたかったのよぉ~(めんどくさいオカマ)。

それでも、木曜、金曜と会社を休んで、日本から遥々来てくれている家族に、晴れた日のサンフランシスコ(ゴールデンゲートブリッジやらアルカトラズ島やら)を見せることができたからよかったわよね!、と自分に言い聞かせる。

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そんな曇り空の中、会場であるサンフランシスコの市庁舎へ、早めに向かおうとUberを呼び会場へ向かったのだが、何かのイベントだかデモ行進がメインストリートで行われてるらしく、とんでもない渋滞である。

運転手にイライラした口調で歩いたほうが早いと言われ、、結局途中から歩くことに。

開場に到着する頃には、出発前に女優のように(?)整えた髪の毛も衣装もひっちゃかめっちゃかで、スーツの下のシャツも汗だくの彦摩呂氏状態になっていたのだが、ふと空をみあげると、雲の切れ目から光が差し、そこにきれいな青空が少し見えて、そんな汗だくの自分も忘れて、思わず涙する中年オカマなのであった(ブス)。


予算がなくて大した花や飾りもできなかったが、
N君が提案した美しい市庁舎を選んだおかげで
何もなくても、なんだかそれっぽく見える。


参加してくれた人々の前で結婚の誓い。
クソ恥ずかしい上に、
途中思わず泣けてきて言葉にならない事態に・・・(ブス!)。


結局お色直しは紋付袴で。
入場曲はゼルダの伝説のテーマ (失笑)








余興は、LAに住む旅仲間のA子に、このブログのエントリーのタイトルでもある、ユーミンの「Anniversary」を自分のピアノに合わせて歌ってもらったり、

N君の水球のチームメイトがドラァグクイーンになって、ビヨンセのパフォーマンスがあったり。

最後のみんなでダンスタイム(アメリカ結婚式あるある)は、荻野目洋子の「ダンシングヒーロー」で、日本人、アメリカ人ゲストが混ざってみんなで踊ったり、と大騒ぎ!

と、なんとか無事に、色々あった結婚式、無事に幕を閉じたのでした。



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もともと、

"結婚式なんぞ挙げたくない!”

"お金がもったいない!"

"二人で市役所で書類提出するだけででいいじゃん~”

と、結婚式をやることに、後ろ向きな自分であった。

そして、式の準備も最初から最後までバッタバタで、喧嘩も絶えず、当日も直前に色々あったけれど(これについてはまた別の機会に…)、

こうやって、たくさんの人が日本やアメリカ各地から、自分たちのためにわざわざお祝いにと参加しにきてくれたこと。

そして、自分の家族やN君の家族が、

「本当に、いい式だったね。本当に、よかったね。」

と、泣きながら喜んでくれたことを思い返すと、

"色々あったけれど、

やっぱり結婚式、

ってよかったなぁ"

と、ひとりしみじみ思っては、また色々思い出して涙している。

そして、何よりも、まだ家族に言えない、あるいは認めてもらえないLGBTQの仲間たちや、日本をはじめ結婚することすら認められていない国があるなかで、こうやって皆に笑顔でお祝いしてもらえることが、本当に有難いことなんだということを、改めて強く感じたのだった。

(それにしても、銀行口座の残高みるのが、怖いの!!!!!)





2019年12月31日

ささやかすぎる日々の中に かけがえない喜びがある

今年の年末年始は、特に旅の予定もなく、サンフランシスコで過ごすこととなった。

24日に仕事を納めた後は、 家の大掃除をしたり、日本町の紀伊国屋で買ってきた「きのう何食べた?」の最新刊を、実家から送られてきた薄焼きの塩せんべいをかじりながら読んだり、竹内まりややらユーミンを流しながら、友人たちが年末の旅行写真をインスタグラムなどにのせているのを見たりして、家で静かに過ごしている。

といいながら、結局仕事をしたりもしているのだがね・・・。

我が家の今年のクリスマスツリーも、Guardsmenのチャリティーで購入。
少々高いが、恵まれない子供たちの未来のためだ。

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先週末は、どこにも行かずサンフランシスコ残留組であるアメリカ人ゲイ友達のE子と、同業者女子友達のM子を誘って、サンフランシスコバレエ団のくるみ割り人形を観てきたわ。

チャイコフスキーの音楽にのせて、雪の舞い散る舞台を踊るバレリーナたち、そして、タイトな衣装に鍛え上げられた身体を惜しげもなくみせつける男たちの美しさよ(みんないいケツしてんのよ)!

その日のプログラムのロシアの踊り金平糖の精は、日本人ダンサーの配役だったのだが、ふたりとも素晴らしくて、あたしも来世はバレリーナになりたい!とか、中年オカマが一瞬本気で思ったわよね・・・。


劇場の外は、雪!
(偽物)

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大晦日も特に予定のない自分である。

蕎麦でも茹でて、紅白でもみながら静かに過ごそうか、とぼんやり考えている。

ブラジルのリオでジャネイロのビーチで正月を迎えたのが、つい最近かと思うくらい、今年はすべてが急ぎ足で、急かされるように過ごしていた。

2020年というと、なんだかサイエンスフィクションの世界のような気がしてくるが、来年も変わらず平穏に平和に暮らせますように。

そして、家族、友達、これを読んでくれている方々、自分自身が、心身共に健康でいられる年になりますように。









2019年12月27日

浅い眠りにさすらいながら

目が覚めて、窓の外を見るとまだ空は暗い。

時計を見ると、まだ夜中の3時45分を指している。

結局そのまま深い眠りに戻れないまま、朝を迎える。

そんな眠りの浅い日々がここのところ続いている。

仕事のストレスか、結婚式準備のストレスか、あるいはその両方か…。

年上の友人に相談したならば、

「あ、それね。歳のせいよ!」

と一蹴されたわ。

元々寝付きも寝起きも良い方だが、毎日こんな睡眠不足が続くと、仕事にも支障が出そうだし、美容にも良くない。

ネットで調べると、浅い眠りには太陽光に当たったり、風呂に入るのが効果的とある。

日本に住んでいた頃ならば、寝る前にゆっくり家の湯船につかるか、あるいはスーパー銭湯でお湯とサウナで(いいオトコたちを眺めながら)癒されるか、はたまた足を伸ばして箱根や伊豆の温泉でも行って、心身共にリフレッシュしたいところである。

「日本にいたなら、温泉にでも行きたいんだけどね」

とN君に漏らしたところ、

「それじゃ週末日帰りで温泉行こう!」

と返事が帰ってきた。

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サンフランシスコから北へ車で1時間半ほど行ったところに、カリストガという温泉水の出ることで知られる小さな町がある。

温泉と言うと、うっかり日本のものと思ってしまう自分であるが、ここカリフォルニアにも温泉に入れる町がいくつかあるにであった。

とは言え、日本のもくもく湯気のあがる薄暗い温泉のイメージと違って、皆プールのようなところに水着で入るところが多い。

今回行ったカリストガの温泉もそんな場所である。

カリストガは泥風呂でも有名だが、今回は泥を体に塗るコースを頼んでみた。

https://drive.google.com/uc?export=view&id=1x8od9kWoJZvsAxExz3mAcCM3sWLnUnTV
学校のプールかいな?

個室に入り、エッセンシャルオイルなどを混ぜた泥を3種類の中から1つ選び、身体中にそれを塗りたくったならば、タイルのベッドに横になる。

https://drive.google.com/uc?export=view&id=1pila_-kP3lIECicPMy4MDKFcX_p2cTEU
迷わずストレスを減らすというラベンダーの入った泥を選ぶ自分

真っ裸で泥まみれになって横たわる中年オカマという、奇妙な状態となったが、静かな空間でラベンダーの香りを感じていると、一時ストレスな事柄も忘れてうとうとしてきた。

https://drive.google.com/uc?export=view&id=1R1uHoJW0egqmnJjPb8taEzk7Q01Wv4Nf
泥風呂の後は、温泉水を張った湯船に入って身体を温める。(N君初登場)


https://drive.google.com/uc?export=view&id=1jhOvHixJh5UNNIGA8RJBgADh1B6-ySYJ
個室のシャワーは屋外で紅葉を眺めながら


https://drive.google.com/uc?export=view&id=1bhmmhqMYmIzEBl5si-xpWZYb_tzgPGO6
でもやっぱり日本の温泉がいいネ

泥風呂が肌に効果があったのかは甚だ疑問だが、その夜は久々に朝までぐっすり眠れたのであった。

家に肩まで疲れる湯舟が欲しい・・・。

2019年12月14日

木漏れ日がライスシャワーのように (7)

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これまでのお話

木漏れ日がライスシャワーのように (1)

木漏れ日がライスシャワーのように (2) - 家族の心模様 I

木漏れ日がライスシャワーのように (3) - 家族の心模様 II

木漏れ日がライスシャワーのように (4) - 家族の心模様 III

木漏れ日がライスシャワーのように (5) - 場所選びの巻

木漏れ日がライスシャワーのように (6) - 若草の招待状の巻

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自分が東京で大学生をやっていた頃だから、もう20年近く前だろうか。

当時はフェイスブックやインスタグラム、ましてや携帯での出会い系のアプリなどなかったものだから、多くのゲイは、個人でホームページを作り、そこからネット上で出会いを求めたものである。

自分も大学に入り、入学祝いにと親から自分専用のパソコン(Windows 95!)を買ってもらってからは、学業よりも個人ホームページのアップデートに時間を費やしていた。

日々のどうでもよいことを綴った日記や写真、旅行記、小説(!?)など、今思い出したら恥ずかしい黒歴史である。

ただ、そんな黒歴史の中でも、

"やっぱり、あの頃、ホームページやっててよかったわぁ”

と思えるのは、そんな繋がりから出会った友人たちがいることかもしれない。

それから20年たった今でも、自分が日本に帰る度に、新宿二丁目にある居酒屋にあつまり、当時の思い出話やそれぞれの今の人生について語り合える仲間である。

先日、彼らにLINEのグループチャットで、自分の結婚を報告したならば ー当時皆、テレビ東京の”ファッション通信 (C)大内順子"を楽しみに見ていた世代であるからー こんな会話で盛り上がる。

「それで、ウェディングドレスは、どんなオートクチュールのを着るのかしら?」

「やっぱり、氷川きよし様みたいに、派手にやってほしいわよね」

「大映ドラマばりに、堀ちえみと松村雄基の愛憎劇をやってちょうだい。あたしが伊藤かずえやるから。」

と、皆言いたい放題である。

氷川きよしさん、こういうキャラでしたっけ?


大映ドラマで育った世代ですもの。
「ヤヌスの鏡」や「プロゴルファー祈子」も好きよ。

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冗談はさておき、結婚式では何を着ればいいのかしらん、と仕事帰りの電車の中で携帯を取り出し、結婚式の写真を検索してみた。

圧倒的にタキシードが多いが中には普通のスーツの新郎の写真もある。

N君に聞いてみると、

「タキシードをはじめに着て、お色直しでスーツにすればいい?」

とまたも予算を考えぬぶっとんだ発言をするので、

「タキシードなしで、スーツだけ! スーツなら仕事でも着れるでしょ!」

と、半ば強引にスーツにもっていこうとする自分である。

すると、

「えー、それじゃぁ、タキシードなしでいいけど、着物は?」

と、どうやら、N君はどうしてもお色直しがしたいらしい(どんだけ乙女だよ?)。

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ということで、スーツを会社の近くの店で仕立てることになった。

スーツの仕立てなんぞ、生まれて初めてであるから、緊張し恐る恐る店に入ると、"花嫁衣裳は誰が着る"のユリ麻見デザインルームのようなオフィス(なんのこっちゃ)で、美人のお姉さんが迎えてくれた。

「お水か何かお飲み物は? ワイン、カクテル、ビールもあるけど?」

とお姉さんに聞かれ、即座に酒を頼む二人である(アル中)・・・。

酒を飲みながら、生地を選ぶ。

酒を飲みながら、フィッティング。
(日本にいたころは、小さいサイズだったのに、今じゃ、普通に大きいサイズ)

今回仕立てを頼んだこの店であるが、サンフランシスコ市内にある他の数ある仕立て屋と比べて値段が財布に優しい。

店員さんに聞いてみると、ハイテクのロボット技術をつかった中国の工場で生地のカットと縫合を行っているのだという。

さて、どんなスーツが仕上がってくるのかすらん。









2019年12月11日

Gay Chorus Deep South

土曜日の夜。

オカマ7人が集まって街はずれの火鍋の店で、鍋を囲んできゃっきゃ騒ぎながら、肉やら魚介を頬張っていた。

そんな中、

「なんか趣味が欲しいわ。なんか習い事はじめたいわよね。」

と誰かが問うと、

「格闘技とかはじめたい。だって、モテそうじゃない?」

「前、お酒飲みながらタイ料理を習うってクラスを受けたけど、酔っぱらって何も覚えてないわ・・・」

「習い事というか、仕事に役立つ講座は大学でとってたわ? 趣味ではないけど。」

など、様々な答えが返ってくる。

自分も、へたっぴピアノは懲りずに細々やっているが、胸を張って趣味と言えるような趣味ではない。

週末といえば、ジムにいって掃除洗濯をして、酒をひっかけていたら、あっという間に日曜の夜になってんじゃないのよ~。

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日曜日の朝。

自宅からジムに向かう途中、カストロの映画館の前を通ると、

"Gay Chorus Deep South"

となんだか興味深い映画をやっているじゃないの。

どうせ、特に予定もないし、と早速携帯で午後の部のチケットを購入した自分である。


数年前から、米国南部を中心とした一部の州が、宗教上の理由を元にLGBTQの人々の権利を迫害することを一部認めるような動きをしていた。

そんな動きに対して、サンフランシスコのゲイコーラスの300人が、そんな南部の州を旅しながら各地でコンサートを開いた、ロードムービーのようなドキュメンタリーである。

実の父親に自分がゲイであるということを認められず、それでもその父親の前でゲイのコーラスの一人として舞台に立つ団員。

レズビアンであることを家族や学校の友達に公にできずに、自分の居場所を見つけられない南部の若き少女達。

自分のアイデンティティを探し続ける、トランスジェンダーの団員。

そして、自分がゲイであることを公にしたことで、仕事も家族も失ってしまった、コーラスの音楽監督。

"なぜ、いつまで、彼ら(我ら)はそんな悲しみや悩みを背負って生きていかなければ、ならないのだろう"

日曜の午後、男性合唱の美しい歌声に乗せて、そんな彼らの人生が語られるこのドキュメンタリーを、思わず声が出るほどに泣きながら鑑賞したのであった。


You have more friends than you know~


LGBTQの若者の自殺が後を絶たないという。

このドキュメンタリーを観て、そんな若者が少しでも減ってくれたらいいと思う。

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前述の趣味の話じゃないが、思わず本気でこのサンフランシスコのゲイの合唱団に入りたいと思い始めた自分である(安直!)。

"音楽は好きだし、一応楽譜も読めるし!"

"こういう意義のあることを趣味にできたらいいわよね。"

しかし、日本に居た頃、友達とカラオケなどに行ったならば、「ジャイアン」などと呼ばれるくらいに、歌が下手な自分である。

オーディションで速攻落とされるわ・・・。