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1月, 2017の投稿を表示しています

一瞬の光が重なって 折々の色が四季を作る 二人セゾン

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久しぶりに晴れた週末。 久しぶりのジムでの筋トレを終えて外に出ると、このまま家に帰るのがもったいないくらい暖かかったので、そのままもう少し歩いてドロレスパークへ向かった。 春になればゲイのオネエさんたちや子供連れの家族でにぎわうこの公園も、さすがにまだ人は少ない。 ひとりベンチに座り、暖かくなる春を待ちながら、遠くに見えるサンフランシスコの街を眺めて、ぼーっと過ごす日曜の午前。 家に篭らずに、太陽の光にあたりながら、外の空気を吸う大切さを再認識 でもやっぱり空がまだ寒空。 春よ、来い (C)  yuming 。 --------------------- 週に最低3回と決めていたジムも、年末年始の休みと旅行が入り、すっかりサボり癖がついていていた。 久々に重い腰を上げて行ってみたら、今まで軽々上げられていた重量も上げられなかった。 ピアノの練習も然りだ。 久々ににピアノの前に座って指を動かしてみると、以前出来ていた運指も転び、へたっぴピアノがもっとへたっぴになっている。 1日練習をサボると、それを取り戻すのに3日かかるとよく先生に学生時代言われていたが、あながち嘘じゃない。 継続は力なりだ。 -------------------- 小腹が減り、公園を離れて散歩がてら周辺を歩いていると、いつもなら列をなしているイタリア料理・薄焼きピザの店の屋外の席が数席あいている。 こりゃいいと、早速お店にお姉さんに声をかけ、外に席に座りワインとイタリア野菜の炒めものと生ハムルッコラのピザを頼んだ。 ここ数年、好景気のサンフランシスコは人であふれ、家の売値も借値もうなぎのぼりで、通勤電車も毎朝満員で、レストランも30分や1時間並ぶのは当たり前となり、辟易としていたが、いつも並んでるこの店も並ばなくて済むならば喜んで食べるわよ! 「1時間、2時間並んでまで、食べたい料理って一体何なの?」 と、オカマ友達のY子や同業のM子と、バーで飲みながらここ数年そんな議論をよくしている。 もちろん、それだけ待つ価値のある料理もあるだろうが、そこそこの料理を出す店にそれだけ待つくらいなら、家でよっぽど安上がりな飯を自分で作って、残りの2時間、ジムやピアノの時間にするほうがいいわよ!と悪態をつく自分。(といいながら、どち

LA LA LAND

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数ヶ月前まで水不足を心配していたのが嘘だったかのように、ずっと雨の日が続いている。 それでなくても、エジプト帰りの時差ぼけが続いているのに、太陽の光を浴びないといつまでたっても時差ぼけ治らないじゃないのよ~。 「時差ボケで、眠れないわ~」 明日も仕事があるのに夜眠れず、焦燥感に駆られて、東京に住むK子にLINEでメッセージを送ると、 「あんた時差ボケじゃなくて、ただのボケでしょ?」 と突っ込まれる。 "眠れなくても、目を閉じて横になってるだけで身体は休まる"、とどこかで読んだのを思い出して心を少し落ち着かせて、何とか数時間の眠りについた。 ---------------- 雨と寝不足が続いて鬱々とした中、楽しい映画でも見て気分を盛り上げましょ、と先日ゴールデングローブを受賞したミュージカル映画『LA LA LAND』を観て来た。 ロサンゼルスのコーヒーショップで働きながら女優を夢見るミアと、レストランでピアノを弾いて生計を立てているジャズピアニストのセバスチャンの物語だ。 元々ミュージカル好きで、日本に居た頃はよく一人で帝国劇場と劇団四季に通っていた自分。 この映画も、出だしっからLAの渋滞の高速道路を舞台にして、大人数のアンサンブルのダンサーたちの歌と踊りではじまり、ミュージカル好きの中年オカマ(あたし)は画面に釘付け。 その次の、女子4人が歌って踊りながらパーティに行く準備をするシーンも、オカマにはたまらん。 トランペットとフルート。ビッグバンドの音楽とダンスで、冒頭からワクワク! LAの高速の渋滞がひどいのは分かるが、こんなんやったら捕まるわよ。 (C) LIONSGATE こんなん観てたら、LA行きたくなるわよね。 君に読む物語(The Notebook)のライアン・ゴズリングも朴訥としていてよかったが、 今回のピアノを弾く彼もよかった! 映画好きの母が昔から、「本も映画も、読んだり観たりしている間は、現実のいろんなことを忘れられるのがいいのよ」とよく言っていた。 寝不足のことも、溜まっている仕事の事もひととき忘れて、ほろ苦いLAの恋物語を楽しんだ週末。 明日からまた仕事がんば

時の河を越えて ⑤

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エジプトを語る上で、やはりイスラム文化は欠かせない。 外務省のページに、宗教に関する建物には近づかないように、って書いてあったよねと、今までそういった建物に立ち寄ることはなかったが、アメリカへ戻る前にやはり訪れておきたいと、ルクソールから早朝便でカイロに戻ったその足で、ムハンマド・アリー・モスクを訪れた。 エジプト最後の王朝時代に建てられたモスクだという。 カイロの街を見渡せる丘の上にあるモスク モスクの中は靴を脱いで入る。 モスクの敷地内で、シナイ半島の北の街から修学旅行でやってきたという高校生くらいの少年達と出会った。 日本やアメリカの高校生と変わらず、携帯やカメラを片手にふざけあいながらモスクを見学している、汗臭そうな青春真っ只中の高校生達・・・。 そんな高校生達も、モスクに入ると静かにメッカの方角を向くことを忘れない。 ここでもそんな若者達に、一緒に写真を撮ってと頼まれ、もうこの旅が終わるとあたしの短いモテ期も終わるのね、と切なくなる。 ふと、カイロの初日にホテルのエレベーターに乗った時に、同じタイミングで乗ってきた全身を黒の宗教衣装で覆った3人の若い女性を思い出した。 こそこそと何だか楽しそうに話している彼女達の足元をふと見ると、黒い服で隠れた色鮮やかな美しいドレスがちらりと見えた。 どこに住んでいても、どんな宗教を信じていも、おしゃれをしたい女子と汗臭い青春高校男子は万国共通だわね! ------------------------------------- カイロのホテルソフィテルで一休み ナイル川を臨みながら、無事に旅が終わることに乾杯! カクテルの名前は「ナイルガーデン」ってな。おされ? すべての遺跡巡りと早朝のモスク参拝を終えて、ナイル川沿いのホテルのテラスで一休み。 「今回はガイドさん達のお陰で、色々勉強も出来ていい旅だったね!」 出発前にカイロ在住のK氏に、エジプトはガイドを雇ったほうが楽しいといわれ、 「確かにガイドさんいれば、言葉とか移動とか安心かも」 「でも地球の歩き方とかあれば何とかなりそうじゃね?」 「かわいい男のガイドさんならいいけど、おっさんのガイドならいらない。」 「あんただって、十分おっさん

時の河を越えて ④

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================== 前回までのおはなし 時の河を越えて ① - カイロ・ギザ編 時の河を越えて ② - アブシンベル・アスワン編 時の河を越えて ③ - ナイル川クルーズ編 ================== 中年オカマ4人を乗せた船は、元旦早朝にルクソールに到着した。 ルクソールは、古代エジプト中王朝から新王朝時代の中心として栄えた都市で、古代遺跡を含む街全体が、古代都市テーベとして世界遺産に登録されている。 ガイドさんの説明を聞きながら、まずは車で王家の谷へ向かう。 街はナイル川により東西に分かれていて、太陽の沈む西側が「死」を象徴し、ツタンカーメンやラムセス2世が眠る王家の谷や王妃の谷があり、太陽の昇る東側は「生」を象徴し、ルクソール神殿やカルナック神殿が位置しているという。 そういえば、と地図を見てみると、確かにギザやサッカラのピラミッドもすべて死を象徴するナイル川の西側に建てられてるじゃないの! 「やっぱり古代エジプト、すげぇ!」 「アメリカ戻ったら、ちゃんと古代エジプトの勉強したい!」 と、遺跡好きのA子とこの歳になってもまだ学びたいと思えることがあることをお互い喜んだのも束の間、 「とりあえず、"王家の紋章"で復習しよか!」 と、結局少女マンガで片付けようとする乙女2人である。 (大学受験の古文も"あさきゆめみし"で乗り切ったあたしよ...) 遺跡にも段々見慣れてきた。 「のび太の大魔境」思い出した!と突然叫ぶA子。 ハトシェプスト女王葬祭殿 3000年前、女王がここから見た空はどんな色だったのかしらん、と思いを馳せる乙女 手荷物検査を受けたあと、王の墓が眠る谷へ入ると、エジプトと日本の国旗が並んで描かれている壁が目に入った。 近づいてみてみると、仲良く並んだ国旗の下に『王家の谷周辺は日本の友好的な協力のもと、維持・整備されています』といった内容の文が記されている。 そういえば、カイロのオペラハウスも小児病院も、今ギザに建設中の大エジプト博物館も、日本の政府や企業の支援の元に建てられたと、カイロ在住のA氏が言っていたのを思い出した。 カルナック宮殿 何もかもがでかすぎ

時の河を越えて ③

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================== 前回までのおはなし 時の河を越えて ① - カイロ・ギザ編 時の河を越えて ② - アブシンベル・アスワン編 ================== アブシンベルからアスワンに戻った後、ロイヤルリリー号というナイル川を往くクルーズ船に乗り込み、3泊4日この船をベースにナイル川沿いの遺跡をまわっている。 「何だか、全然寝れなかったわ。時差ボケかしら」 「何言ってんの。あんた4人の中で一番はじめにイビキかいて寝てたわよ?」 「やだ。あんたなんか、寝言で明菜の『難破船』歌ってたじゃないのよ!」 「やめてよ、船の上なんだから。縁起でもない!」 同室のK子と朝っぱらから下らないやり取りをしている間も、船は古都ルクソールへ向けて静かにナイル川を下っていく。 ロイヤルリリー号。 船内の従業員の人々も物腰やわらかく丁寧で、思わず皆お仲間に見えてくる。 (オカマの悪い癖) 船内の部屋からのナイルの眺め。「王家の紋章」思い出したわ! 夜はババ抜き(ババアだらけだけど)をしたりと年甲斐もなく修学旅行気分。 船を降りて遺跡に向かうたびに、観光客目当ての物売りのエジプト人の男達が声をかけてくる。 「チャイナ? ジャパン?」 「コッチ ヤスイョ~」 「ミルダケ タダ!」 どこで学んだのか、皆流暢な日本語で話しかけてくる。 はじめは返事をしないと悪いような気がして話に乗っていたが、あまりにもしつこいので、慣れてくると、皆"チャイナ"でも"ジャパン"でもない振りをして、スルーを決め込んで通り過ぎるようになった。 だが、 「オニイサン カッコイイネ~」 などと若いエジプト人男の売り子に言われると、思わず足を止めてしまう哀しい中年オカマである。 ダム水没からまぬがれた、イシス神殿 ハヤブサの神とワニの神を祭るコム・オンボ神殿 天井壁には当時の着色もきれいに残っていた 太陽の光で陰を作る古代エジプトの神々の壁画が美しい ======================== 「写真とってくれませんか?」 遺跡内を歩いていると、中東系の青年に

時の河を越えて ②

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================== 前回までのおはなし 時の河を越えて ① - カイロ・ギザ編 ================== 今回のエジプト旅行で、ピラミッドよりもエジプト人の男達よりも何よりも観ておきたかったのが、アブシンベル大神殿だった。 古代エジプトのラムセス2世の栄光を映すその大神殿は、ナイルの東に上る朝日に照らされた時、最も美しく見れるという (C) 寺尾聰。 何だか素敵でねーの! というわけで、早朝にカイロの空港を発ち(みんなババアだから早起きは得意)、アスワンで乗り換えて、アブシンベルへ向かうオカマ4人組。 アブシンベルに着き、大神殿の近くのホテルに宿を取り、さて大神殿へ向かおうか!という時だった。 急に自分の腹がゴロゴロ言い出すじゃないのよ・・・!!! "ま、まさか・・・嘘でしょ!?" "出発前に妹からも会社の上司からも、「エジプトの水には気をつけろ」だとか「食事はサラダでもなんでも生のものは避けたほうがいい」などと散々脅されて来たけど、旅行数日目にして、既に・・・!?" "エジプトに着いてからは、4人とも同じものを飲み食いしてたのに、なぜあたいだけ!?" "さっき、アスワンの地元の食堂で食べたコシャリがよくなかった!?" ホテルのトイレに座りながら、頭を抱える自分。 日本からK子に正露丸やらストッパやらを持ってきてもらったが、効く気配もない。 "えーん!" "でも、ここまで遥々飛行機乗り継いで来たのに、大神殿見ないでは帰れないわっ!" 結局、腹に爆弾を抱えながらも、オカマの意地で、トイレを行ったり来たりしながら大神殿までたどり着いた自分である(これで少しは腹回り痩せたかすら・・・)。 手作り感たっぷりの看板。 国連のユネスコのマーク入りだ。 で、でけ~~~! 腹に爆弾抱えてでも来た甲斐があったわ!と思わず涙する自分。 神殿内部も巨像が並ぶ。 (神殿内は撮影禁止よ!) アスワンの中心街。 エジプトの伝統料理コシャリ。トマトのパスタのラー油みたいな辛いのをかけて食う。 うみゃい!!!

時の河を越えて ①

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カイロから三大ピラミッドのあるギザへ車で向かっている。 子供の頃から、テレビやオカルト雑誌で「ピラミッドの謎に迫る!」といった特集がある度に、妹と一緒に興奮して、いつか自分の足で赴き、自分の目で見ることを夢見ていた。 それが今、現実に起ころうとしている時、いい年して、興奮して冷静に事態をとらえられないからなのか、畏れ多くて気が動転しているからなのか、あと数十分もすれば、あのピラミッドとスフィンクスに出会えることを実感できずにいる。 ----------------------------------- 「みんなでエジプト行っちゃおうか!?」 年末年始の休暇の予定を考えあぐねていた時、LAに住むイケメンカップルのAちゃんが提案してきた。 遺跡好きのAちゃんも、パートナーのM君と一緒にエジプトの遺跡群にいつか行くことを夢見ていたという。 「エジプト行きたい!だけど治安もあまりよくないみたいだよねぇ」 「外務省のウェブサイトによるとエジプトの主要観光エリアは危険度レベル1って書いてある」 「行ったら行ったで、みんな腹壊すらしいよ」 「そもそも、オカマ丸出ししてたら危険な国なんじゃない?」 いつか訪れたい夢の国を前に心配ばかりが先走り、決めかねずにいた時、以前エジプトや中東諸国に長年住んでいた日本人のK氏がアメリカでの任務を終えて、エジプトに戻ったという知らせが届いた。 K氏は数年の任務の予定でカイロに住むという。 そこでしゃしゃり出てきたのが、東京に住む自分の大学同期でオカマのK子だった。 「みんながエジプト行くなら、あたいも行きたい! 知ってる人が現地にいるなら安心じゃん!!」 そんなこんなで、色々心配事はあるものの、同年代のオカマ4人(LAの映画業界で働くAちゃん&米国・日本・中国をまたにかけるソフトウェアエンジニアのM君カップル、東京のファッション誌編集者のK子、そしてSFの地味なサラリーマンのあたい)で、古代エジプトの遺跡をめぐる旅ははじまったのであった!(C)来宮良子 ----------------------------------- ギザの市内に入り、銃を構える軍兵のものものしい警備の門をくぐる。 するとそこには、目の前には、想像していた以上に巨大な石の建造物が。 「きゃーーーーーっ!!!