時の河を越えて ④

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前回までのおはなし

時の河を越えて ① - カイロ・ギザ編

時の河を越えて ② - アブシンベル・アスワン編

時の河を越えて ③ - ナイル川クルーズ編

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中年オカマ4人を乗せた船は、元旦早朝にルクソールに到着した。

ルクソールは、古代エジプト中王朝から新王朝時代の中心として栄えた都市で、古代遺跡を含む街全体が、古代都市テーベとして世界遺産に登録されている。

ガイドさんの説明を聞きながら、まずは車で王家の谷へ向かう。

街はナイル川により東西に分かれていて、太陽の沈む西側が「死」を象徴し、ツタンカーメンやラムセス2世が眠る王家の谷や王妃の谷があり、太陽の昇る東側は「生」を象徴し、ルクソール神殿やカルナック神殿が位置しているという。

そういえば、と地図を見てみると、確かにギザやサッカラのピラミッドもすべて死を象徴するナイル川の西側に建てられてるじゃないの!

「やっぱり古代エジプト、すげぇ!」
「アメリカ戻ったら、ちゃんと古代エジプトの勉強したい!」

と、遺跡好きのA子とこの歳になってもまだ学びたいと思えることがあることをお互い喜んだのも束の間、

「とりあえず、"王家の紋章"で復習しよか!」

と、結局少女マンガで片付けようとする乙女2人である。 (大学受験の古文も"あさきゆめみし"で乗り切ったあたしよ...)

遺跡にも段々見慣れてきた。
「のび太の大魔境」思い出した!と突然叫ぶA子。

ハトシェプスト女王葬祭殿

3000年前、女王がここから見た空はどんな色だったのかしらん、と思いを馳せる乙女

手荷物検査を受けたあと、王の墓が眠る谷へ入ると、エジプトと日本の国旗が並んで描かれている壁が目に入った。

近づいてみてみると、仲良く並んだ国旗の下に『王家の谷周辺は日本の友好的な協力のもと、維持・整備されています』といった内容の文が記されている。

そういえば、カイロのオペラハウスも小児病院も、今ギザに建設中の大エジプト博物館も、日本の政府や企業の支援の元に建てられたと、カイロ在住のA氏が言っていたのを思い出した。

カルナック宮殿
何もかもがでかすぎて、首が痛くなってきたわよ

ハリウッドの映画のセットじゃねーわよ!
お台場のヴィーナスフォートでもねーわよ!!


あっという間に夕暮れ時
古代遺跡を背景に見る空の美しさよ

この旅最後の遺跡は、ルクソール神殿
ライトアップされた夜に訪れるのがよろし

「男性の体を持ちつつも女性の胸を有する2人がナイルで分かれた東西エジプトを結束させている壁画」
というガイドさんの説明に思わずそわそわするオカマ4人

最後に神殿前で三日月と一緒に皆で記念撮影だ

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船に戻ると、旅の疲れが出たのか、急に足腰が痛くなってきた。

「あんたそれ、3日前の筋肉痛が今ごろ来たのよ」とババア扱いするK子と他の2人を部屋に残し、ひとり船内にあるマッサージに行くことにする。

指定された時間にマッサージルームに入ると、細身のエジプト人の青年マッサージ師が笑顔で迎えてくれた。

まずはサウナに入るよう促され、裸になってタオルを巻いてサウナ室に入ると、目に入ったのが古代エジプトの割礼を描いた壁画をモチーフにした皿である…。

なんで、これをあえてサウナ室に置くかね?
(画像はネット上から拝借)

少々不安になりながらも、サウナ室を出てマッサージテーブルにうつ伏せになると、青年マッサージ師がちょうど良い力加減で疲れた筋肉をほぐしていく。

何度か、「ひゃだ、こんな恥ずかしい体勢になるの?」といった瞬間もあったが、旅の恥はかき捨てで、これもエジプト式マッサージなのだと思うことにするわ!?

マッサージの後、どこから来たのか問われ、日本からだと答えると、青年マッサージ師は、日本はすばらしい国だ、自分もいつかは行くことを夢見ていると、目を輝かせながら話してくれた。


続く。



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