2017年8月23日

深夜特急

この夏は、仕事の一プロジェクトが数ヶ月遅れたこともあって、休暇という休暇を取れずに終わろうとしている。

「趣味は旅行です!」とか胸を張って言っている割りに、結局大した旅行もできていない自分。

せいぜい、会社への行き帰りに、もう何度も繰り返し読んだ沢木耕太郎氏の「深夜特急」を久しぶりに読み返し、世界旅行を夢見ているくらいだ。

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クライアント先からの会社へ戻る帰り道、助手席に座りながら、車を運転する大ボスの話を聞いていた。

40代半ばの彼女は台湾出身で、当時は男社会の業界で、若くして会社代表のひとりとなったやり手である。

「30代の頃は『30代のうちにやりたいことリスト』っていうのがあったんだけどね。結局仕事やら何やらが忙しくて全然達成できなかったら、そのリストをそのまま『40代のうちにやりたいことリスト』に繰り上げちゃったわ!」

と笑って言う。

オーストラリアのグレートバリアリーフでダイビングをするのが、目下の目標という彼女は、毎日夜中まで働いているというのに、疲れを感じさせない。

さて自分の『30代にやりたいことリスト』は何だったっけ?と振り返って見ると、結局その殆どを達成できずにいることに気づく。

- 古代ギリシャの遺跡を巡り、サントリーニ島の海辺で過ごす (乙女!)

- ショパンの「革命」を最後まで弾けるようになる ( 小泉今日子の"少女に何が起こったか"よ!)

- スカイダイビングで空から地上へ飛び降りる (いい男のインストラクターのお兄さんと!)

- 松田聖子と中森明菜のディナーショーに行く (今年の年末も明菜のディナーショーあるらしい。行きたい!)

- 死ぬまで一緒に居れるような人と結婚 (わー!?)

などなど・・・。

彼女の言うとおり、30代にできなかったことは、そのまま『40代のうちにやりたいことリスト』に繰り上げてしまおう。

40代を過ごして、「やりたいこと」や「できること」が変わったならば、リストを更新すればいいのだ。

そう思ったら、40代も50代も何だか楽しみになってきたわ。

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10代、20代はじめの、学生の頃に読んだ沢木耕太郎氏の「深夜特急」は、若くして世界中を旅する沢木青年の行く先々の経験を、自分で経験するかのように読んでいた。

今、40歳を目前にして改めて読んでいると、沢木青年の行く先々の経験よりも、沢木青年が旅先で感じたことや、"人生とは"と悩み考えていくことに、より興味を持って読んでいる自分に気づく。

10年後にまた読み返したら、また違った視点が見えてくるのかしらね。






2017年8月1日

Gattaca (ガタカ)

以前から「遺伝子検査」に興味を持っていた。

カリフォルニアにある「23andMe」という会社が、10年くらい前から遺伝子分析のサービスを行っていて、先に受けた友人らがその結果をフェイスブック等に載せていてたのを、よく見ていたのだ。

「もうすぐ40だし、自分の祖先や健康を知るのも大事よねぇ」

と、最近なにかにつけて、"もうすぐ大台だから"というのを理由にしている自分だが、今回もそんな勢いで、申し込んでみた。

オンラインで申し込んでから数日で、検査キットが送られてきて、自分の唾を小さな筒に入れて返送すると、数週間後に分析結果がネット上で見られるという仕組みだ。

この小さな筒に唾をためるという作業が簡単なようで難しい!

噂の遺伝子テスト申し込んでみたわ!と友達に言うと、

「あんたは日本人だけじゃなくて、タイ人とかベトナム人の血が入ってるんじゃない?」

とか

「顔濃いから、中東系が混ざってても驚かねえわ」

などと答えが返ってきた。

確かに父が奄美出身で、夏には暑苦しくて嫌がられる感じの濃い顔で、平井堅氏や中孝介君にも勝手に親近感を覚えていた自分である。

実際、以前何度かタイへ旅行をした際は現地の人にタイ人に間違えられてタイ語で話しかけられることもしょっちゅうだったし、この1月にエジプトに行ったときは現地の中東系の人々にやたらもてたのだった。

"もし、自分の祖先が東南アジアの島国や中東の血なんぞと繋がってたら、ロマンだわん・・・?"

などと夢見て結果を待つこと1ヶ月。

仕事帰りにメールをチェックしていると、分析が終わったことを知らせるメールが届いていた。

急いで分析レポートにアクセスしてみるとー


東南アジアも中東も0%じゃんよ・・・!

日本大陸の歴史を考えても、東アジアの韓国や中国が入っているのは想定内で、先に遺伝子検査を受けていたM男や他の日本人友達と結果に殆ど大差がなかった。

南アジアのインドがほんのちょこっと入っているのが、他の日本人の友人達と違う程度か。

「でもさ、こうやって結果みると、自分はなに人だから違うとか、どうでもいい話だよね」

とM男が言う。

確かに自分の友人の中に、"あたしは日本人だから"と、それを誇りにするあまりか、他のアジアの国の人と間違えられたことに過剰に反応して怒ったり、他のアジアの国の人と優劣をつけたがる輩がいる。

自分が日本に住んでいた若かった頃は、「今年の夏はアジアの国旅行したいわ!」とか「やだ~このアジア雑貨かわいい~」と、何も考えずに発言していたが、そこでいう"アジア"には日本を含んでおらず、日本がアジアのひとつの国に過ぎないという意識が全くなかったのだ。

40年近く生きてきて、仕事でも私生活でも色々な国の人と会い、改めて日本独自の文化のよさを知る一方で、日本もアジアの一国でありその他の国々の人々となんら変わりないのだと知ることができた。

って、まさかこんな遺伝子検査で、そんなことをふとまた再認識できたわけなのよね。

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さて、この遺伝子検査は、祖先のルーツの検査だけでなく、健康と遺伝子疾患に関する分析もついてくる(こっちのほうがメインなのかもしれぬが)。

昔から家族そろってものや名前を忘れやすく、お互い「ボケ!」などと冗談で呼び合いながらも本気で心配していたくらいなのだが、「アルツハイマー」や「パーキンソン」の項目は異常なし、その他の遺伝子変異体も見つからず、とりあえず安心した次第だ。

もちろん遺伝子分析で問題がみつからなかったから、病気にならないというわけではないのだけどね。

その他にも、
- 甘いものが好きかしょっぱいものが好きか 
- アルコールを摂ったら顔が赤くなるかならないか
- 寝相の良し悪し
- 乳製品に耐久があるか
- 薄毛・ハゲになる可能性 (!)

などの興味深いものから、

- スポーツ選手の多くがもつ特別な遺伝子をもっているか (もちろん無し!)
- あごが割れている確率 (知るか!)
- アスパラガスを食べた後に尿が臭いと感じる確率 (どうでもいい!)

などの、本当にどうでもよいものまで。

色々と楽しめる遺伝子テストだったのだ。

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ちょうど20年前に封切した、イーサンホーク主演の「Gattaca (ガタカ)」という映画があった。

受精後の遺伝子を検査し、子供が生まれてくる前に病気になる確率や、知能・運動能力を計り、遺伝子の中から生まれてくることを選ばれた「適正者」が多く存在する近未来に、そうでない「不適正者」の男を描いた、美しく切ないサイエンスフィクションだ。

今でも自分の一番好きな映画の一つである。

映画の舞台となる宇宙局「ガタカ」の建物内部は、
サンフランシスコの北にあるマリン群の市役所で撮影されたらしいです。
(設計はフランク・ロイド・ライト!)

それにしても、

イーサンホークもジュードロウもいい男・・・。