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孤独の肖像

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ここのところ、朝から寒くて布団から出るのが辛い。 気がつけば、ハロウィーンも過ぎて、街を歩くと店には既にクリスマスツリーが並んでいる。 あっという間に、今年ももう11月も半ばなのだった。 「高校時代の友達がサンクスギビング休暇で実家に戻ってきてるらしいから、ちょっとみんなで地元の公園に集まって同窓会ピクニックしてくる」 と、N君は土曜の朝から、彼の地元であるここから北に向かった1時間弱程にある街に出かけて行った。 思えば、コロナ自粛生活が始まり、早8ヶ月である。 お互い出勤もせず(N君は無職ですしね…)、家族や友達ともなかなか会えず、ほとんど外も出ず一日中家で顔を合わせている。 今日は久々のひとり時間だ。 何しようかしらん!と密かにワクワクしている自分である。 まずは、と冷蔵庫にあった昨夜の残りの白ワインを、カップに注ぐ(朝からアル中の中年オカマよ)。 それから、もう何ヶ月も弾いていなかった埃のかぶったピアノの前に座り、昭和な曲(聖子やらユーミンなぞ)を弾いてみたり。 それにも飽きたら、また昭和な曲(今度は中島みゆきで!)をステレオでかけながら、だいぶ前に買って読まずにいた本たちを読むことにする。 元フジテレビ社員で早期退職した、同じくゲイで東京に住む矢吹透さんの エッセイ を読んでいたら、去年日本に滞在した食べてばかりの美味しい日々を思い出して腹減ってきたわよね。 次に日本に帰れるのはいつになるのだろう。 ふと窓の外をみると、テラスの鉢たちが寒空の下で所在無げにしている。 手入れをしなきゃなぁ、と思いつつも腰が上がらず、かわりに会社の上司から借りた半沢直樹を観たりしている。 半沢直樹を観ていると、―もちろんフィクションとはわかっているのだがー、日本のサラリーマンたちのストレスを思いやらずにはいられない。(ってか、いきなり南野陽子出てきて関西弁喋ってて、そっちのほうばっかり気になってたわよねw) 嗚呼!  予定も立てずに、こうやってひとりでダラダラと過ごす週末の至福さよ! 数年前、いつも孤独を感じながら、いつか一緒に住む相手を夢見ていた頃の自分に言ったならば本気で怒られそうだが、人間とは自分勝手なものよ。 そんなひとり時間は、あっという間に過ぎていったのだった。 ーーーーーーー コロナ禍で、別れを選ぶ夫婦やカップルが増えているという。 そんな気持ちも、オカマで結婚生

誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ④

 先週の土曜日の朝。 やり残しの仕事を終えようと朝からコンピュータに向かっていると、ベッドルームからN君がバタバタと出てきて、 「決まった!!!」 と半分涙目で突然叫んで驚いたのだった。 「え、ほんとに?!」 と自分も急いでCNNとFOXのサイトを確認すると、確かにCNNではバイデンの勝利を伝えている。 と同時に外が騒がしいので窓を開けてみると、サンフランシスコの街中から歓喜の声や、鍋を叩く音が響き渡っている。 日本のヤフーニュースなどを見ていると、日本国内ではトランプを支持する声も多いようだが、この国に住む異国人のオカマとしては、4年続いたこの国の混沌としたネガティブな空気から解放されると思うと、思わず胸が熱くなったのである。 「あたし、今夜は何日かぶりによく寝れそうな気がするわ」 「あたしゃ、4年ぶりにぐっすり寝れそうだわよ!」 と半分冗談、半分本気で友人たちと言いあったわよ。 実際には、まだ一部の州で開票が完了しておらず、またトランプも一部の州へ再集計を求めたり、裁判に訴えようとしているようだが、CNNもFOXもバイデンの勝利は確実視しているよう。 各国からもバイデン陣営に祝いの言葉が届いているようで、国内外でその週末はバイデンのニュース一色だったのだった。 その一方で、 “パーティの席や、友達や同僚と政治と宗教の話はするな” などととアメリカではよく言われるが、今回それを身をもって実感した自分である。 たとえバイデン派が多くを占めるカリフォルニアであっても、隠れトランプ派はいるもので、そんな彼らとは、どう話をしてもわかち合えないのである。 どんなに仲の良い友達とであっても、そんな瞬間を感じることが多々あり、この国の二分化をますます感じたのだった。 バイデンは勝利宣言のスピーチで、 「これからは、赤と青に分断させようとするのではなく、結束させる大統領になる。」 と誓いそして、 旧約聖書の一節を引用してこう言った。 「すべてのものごとには時機がある。 建てる時。収穫の時。新たに種をまく時。そして傷を癒やす時。 これからは米国の傷を癒やす時だ。」 土曜の朝8時。我が家の外は、人々の歓喜の声。 途中で入る鳥の鳴き声めいた変な声は、N君・・・。 昼間っから、スパークリングワイン開けて、飲むわよ!

誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ③

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“そろそろ、東部では開票が始まるわね...” 大統領選当日。 朝からテレビでは各地の投票所の報道がなされていて、仕事も手に使かず、CNNとFOXのウェブサイトを行ったり来たりしていた。 午後3時(東部時間6時)をすぎると、東部の州から開票速報が始まり、もう仕事は明日頑張ることにして、選挙速報に集中することにしたわよね。 ———————— 自分は、カリフォルニアに住む多くの有権者同様、バイデンを支持している。 トランプのビジネス的手腕は認めねばならないが、それでも非白人で外国人のオカマとしてこの国に住む身としては、マイノリティ軽視の発言をし続けそれを助長するトランプをサポートすることはできぬ。 この4年間で、この国が急激に排他的な雰囲気になっていったのを肌で感じていた。 道を歩いていたら見知らぬ白人に、 「くそアジアンはとっとと国に帰れ!」 と突然怒鳴られ身の危険を感じたことも一度ではない。 また、メキシコ出身の同僚や日本や中国出身の友人が一度この国をでたらビザの発行を受けられなくなるかもと、親の顔さえみに帰れない日々を送っている。 しかもこのコロナの時世に、マスク不要を意図するような発言を繰り返したり、実際ホワイトハウスをコロナ感染源にしたりと、感染者増加に助長しているトランプである。 数ヶ月前に行ったシャスタ山近辺は、カリフォルニア州内でも共和党支持者の多いエリアなのだが、店でもどこでもマスクしてない(アホな)人だらけで、びびったわよね。 自分は永住権でこの国に住んでいるが、選挙権はないので、僅かな募金で青の民主党を応援することくらいしかできないのだが。 ーーーーーーーーーー 4年前と同様 に、地理的に共和党支持者の多い州(赤の州)の開票からはじまるから、トランプ優勢ではじめの数時間は進んでいく。 中部は赤の州だらけなので、結果がトランプでも驚かないが、いわゆる激戦州と言われる赤にも青にもなりうる州を戦々恐々と見守っていた。 特にそのうちのフロリダ州を制すれば、大統領選を制すと言われているから、前回も激戦で赤の勝利となったこの州の結果を注目していたのだが、今回も早々トランプ当確と出て、周りのバイデン支持者の仲間たちからは、 「やばいかも」 「4年前の悪夢思い出してきた」 と不安の声が聞こえてきた。 テレビに映し出される地図を見ると、他の激戦州であるジョージア、ペン