誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ③
“そろそろ、東部では開票が始まるわね...”
大統領選当日。
朝からテレビでは各地の投票所の報道がなされていて、仕事も手に使かず、CNNとFOXのウェブサイトを行ったり来たりしていた。
午後3時(東部時間6時)をすぎると、東部の州から開票速報が始まり、もう仕事は明日頑張ることにして、選挙速報に集中することにしたわよね。
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自分は、カリフォルニアに住む多くの有権者同様、バイデンを支持している。
トランプのビジネス的手腕は認めねばならないが、それでも非白人で外国人のオカマとしてこの国に住む身としては、マイノリティ軽視の発言をし続けそれを助長するトランプをサポートすることはできぬ。
この4年間で、この国が急激に排他的な雰囲気になっていったのを肌で感じていた。
道を歩いていたら見知らぬ白人に、
「くそアジアンはとっとと国に帰れ!」
と突然怒鳴られ身の危険を感じたことも一度ではない。
また、メキシコ出身の同僚や日本や中国出身の友人が一度この国をでたらビザの発行を受けられなくなるかもと、親の顔さえみに帰れない日々を送っている。
しかもこのコロナの時世に、マスク不要を意図するような発言を繰り返したり、実際ホワイトハウスをコロナ感染源にしたりと、感染者増加に助長しているトランプである。
数ヶ月前に行ったシャスタ山近辺は、カリフォルニア州内でも共和党支持者の多いエリアなのだが、店でもどこでもマスクしてない(アホな)人だらけで、びびったわよね。
自分は永住権でこの国に住んでいるが、選挙権はないので、僅かな募金で青の民主党を応援することくらいしかできないのだが。
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4年前と同様に、地理的に共和党支持者の多い州(赤の州)の開票からはじまるから、トランプ優勢ではじめの数時間は進んでいく。
中部は赤の州だらけなので、結果がトランプでも驚かないが、いわゆる激戦州と言われる赤にも青にもなりうる州を戦々恐々と見守っていた。
特にそのうちのフロリダ州を制すれば、大統領選を制すと言われているから、前回も激戦で赤の勝利となったこの州の結果を注目していたのだが、今回も早々トランプ当確と出て、周りのバイデン支持者の仲間たちからは、
「やばいかも」
「4年前の悪夢思い出してきた」
と不安の声が聞こえてきた。
テレビに映し出される地図を見ると、他の激戦州であるジョージア、ペンシルバニアはすでに真っ赤っかで、ウィスコンシンもミシガンも薄い赤色となっている。
唯一、前回赤だったアリゾナが薄い青色になってるのは希望だが、この調子だと勝ち目がなさそうじゃないの。
結局、結果は出ぬままその日は寝床についたが、結果が気になってよく眠れなかったわよね。
翌朝、携帯でCNNのサイトをみてみると、昨日薄い赤だったウィスコンシンとミシガンが薄い青色に変わってるじゃないの!
「やばい! 勝てるかも!」
と同僚やら友人からのメッセージが入り、改めてCNNやらFOXのサイトをみていると、
真っ赤っかだったジョージアとペンシルバニアも青色になっている。
「こ、これは一体何が起こってるの?!」
と仕事を投げ出してN君に聞き寄ると、
「郵便投票の結果 が出始めたのと、集計に時間のかかってた都市部のカウンティが反映され始めたからね」
と言う。
保守的でコロナを恐れないトランプ支持者は郵便投票を使わず、当日投票所に並んで投票し、その反対であるバイデン支持者は郵便投票を積極的に使ったというのがN君の意見だ。
また一州を見ても、比較的民主党支持者の多い都市部は人口も多くなるので、共和党支持者の多い非都市部と比べて開票結果の発表が後ろ倒しになるのも理解できる。
とは言え、どの激戦州も4年前同様僅差での戦いである。
トランプは早々に謎の勝利宣言をしていたが、現時点でまだ結果は出ていない。
来月8日の決定期限日までに結果が出るのか、法廷に持ち込まれるのかしらん。
引続き眠れぬ夜が続きそうで、選挙も心配だが、肌もぼろぼろでそっちも心配になってきた中年オカマよ。
4年前は開けられることのなかった勝利のスパークリングワインだが、今回もまだ開かれぬまま冷蔵庫に入ったままだ・・・。
開票当時はフロリダも青が優勢だったのだがね。
(日本語での速報はNHKのサイトがありがたい)
続く
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