ベルサイユのばらを求めて (4)

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これまでのお話

ベルサイユのばらを求めて (1) - 旅立ち

ベルサイユのばらを求めて (2) - モンサンミッシェル

ベルサイユのばらを求めて (3) - ロワール渓谷

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かもめはかもめ

孔雀や鳩や

ましてや女にはなれない...

かもめの飛ぶ空を眺めていると、思わず研ナオコの「かもめはかもめ」を口ずさんでしまう、典型的な昭和のオカマである。

ロワールから北へ戻り、ノルマンディの港町に来ている。

トゥルーヴィルという小さな港町を拠点にして、パリに戻る前に数日間海辺で静かに過ごす計画だ。

トゥルーヴィルの街はあちこちかもめだらけだ。


砂浜沿いの歩道を歩くと、晩年をここで過ごした
サヴィニャックのポスターがあちこちに見つけられる。


サヴィニャックもやっぱりかもめばっかり描いてる。


オカマが水着に着替えたら


翌日は早起きをして、パン屋でコーヒーとフランスパンを買い込んでから、ここから1時間程車で行ったところにあるエトルタという町の「絶景」の崖とやらを観に向かった。

地球の歩き方によると、画家のモネは好んでその崖を絵画にし、作家のルブランはここを舞台にアルセーヌ・ルパンの物語「奇巌城」を描いたという。

かわいらしいエトルタの港町に入り、小さな小道を車で上っていくと、その「絶景」の崖に到着だ。


確かに、絶景だわ・・・!

海の向こうはイギリスよ。

こういう崖を見ると、火曜サスペンスか土曜ワイドかなんかの、犯行を告白する最後のシーンめいた気分になってくる、典型的な昭和のオカマである。

崖を降りたら、静かな砂浜。

ノルマンディの街を歩くと、はやり魚介の店が目立つ。

元々肉より魚好き中年の自分だが、ずっとフランス飯のこってりしたものばっかり食っていて胃も弱っていたから、あっさりしたシンプルな味付けのノルマンディの魚介料理は特にうれしい。

港町オンフルール


名物のムール貝とフレンチフライ


散歩がてら、魚市場も覗いてみた


生牡蠣はその場で食べさせてもらえるらしい
(旅行中に腹壊すの恐れて我慢したわ!)


このあたりは魚介だけじゃなく、リンゴの生産でも有名だそう。
なので帰りは寄り道して、シードルのテイスティングだよ。

トゥルーヴィルに戻り、海辺のベンチに座って、日の暮れてゆく風景をぼんやり眺めている。

近くには、同じようにベンチに座って、老紳士がひとり静かに読書をしている。

"老後は、こんな海辺の静かな街で毎日海を眺めながら、過ごせたらいいわね・・"

と、まだまだリタイアするには先が長いのに、そんな身なりを整えた素敵な老紳士を見て、ひとり思わず老後を計画しはじめる自分である。

それでなくとも、最近は何かある度に、オカマ仲間とも「幸せな老後とは」を話し合っているのである。

"この辺なら、新鮮な魚介と安くておいしいワインがあるし!"

"しかも、パリまで電車に2時間も乗れば遊びに行けるし!"

"あ、でもフランス語しゃべれないから、ダメじゃん"

"あ、でもリタイアするまでに、少しずつ勉強していったらどうだろ”

と、老後の生活に夢を描く、ノルマンディの夕暮れ時であった・・・。


暮れる夕日の中、現地の少年たちはサッカーを楽しんでいた。


続く









コメント

ふわり さんの投稿…
はぁ〜、素晴らしい。ため息が出ます。最近、来る日も来る日もカンカン照りのカリフォルニアが辛くなりつつあります。秋なら秋らしく、もう少ししっとりひんやり感が欲しいけれど、カーっと照りつける太陽と乾燥した空気が40代後半の私には辛いです。オレゴンの森の中とかカナダのバンフとか、最近住んでみたいな〜と夢見ています。
samurai sf さんの投稿…
ふわりさん

今年はなんだか変な気候ですね。自分の住んでるエリアも、生ぬるい空気の日があったと思えば、ここ数日朝晩冷え込んで、なんだか風邪っぴきです。こんな時は、シャスタのレッドウッドのかおるしっとりひんやりの空気の中で、ゆっくりしたいですな。オレゴンも行ったことないので、行ってみたい!

良い週末をお過ごしください!