誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ②

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前回までのおはなし
誰かと争うのではなく 誰かを憎むのではなく ①

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いつもならば、平日仕事から帰ると、夜飯を食ったあとはソファーでまったりと本を読んだり、へたっぴなピアノを練習したり、ネットフリックスでドラマやドキュメンタリーをみたりして過ごすのだが、トランプショックが醒めない今夜は、そんな気分にもなれず仕事用の机に座りネット上で世間の反応や意見を読み漁っていた。

選挙日当日は、多くのメディアが出口調査の結果、ヒラリーが当選確実と報道していた。


なので自分もうっかり先走って、帰り道のスーパーマーケットでスパークリングワイン買ったりしてたわけで(結局開けることもなく、まだ冷蔵庫の奥で眠ってるわよ・・・どうしよ、これ)。


結果は、ヒラリーでなくトランプ。ヒラリーが当確と報道していたメディアは、「口ではヒラリーに投票したと言いながら、実際はトランプに投票した、隠れトランプ派が多くいた」と分析している。


ネットで今回の選挙に関するニュース記事や動画を見ながらも、同じく気持ちを落ち着けられずにいる、同業者OLのM子と電話で意見交換だ。


2人で「とんでもない行動や発言をするトランプも脅威だけど、それ以上にそのトランプを平気な顔して支持するアメリカ人がこれだけいるっていうのがすごく恐いわ。」と話していたが、どうにもこうにもトランプ派のアメリカ人を理解できないでいた。


「民主党オバマ政権下での現状を不満に思っている人たちは、同じ民主党でバリバリ政治畑のクリントン選んでも変化がないと思ったら、ぶっとんだ人種差別主義者のトランプに投票した人が多かったのかもしれないね」


確かに、好景気とされるこの街に住んでいると、現状でそこそこ満足した生活ができているから、オバマ政権を引き継ぐヒラリーで現状維持でいいじゃないの、と思っている人も多いかもしれない。


一方で数年前に財政破綻したデトロイトのある激戦州のミシガン等の中部の人やオハイオの人たち等は、現状維持のままじゃ生活もままならないと、藁をもすがる思いで新しい変化に期待して、政治畑にどっぷりつかってないトランプに投票する人がでてくるのも理解できる。


そう考えると、彼の幼稚ともとれる行動や人種差別的発言は容認できないから「あたしゃ、トランプ派よ!」などとは口を避けても言えないがに、でも自分の生活をかけて、こっそりトランプに投票した「隠れトランプ派」がいたことにもつながってくるか。


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今日も自分のフェイスブックのウォールは、トランプ勝利の名のもとに侮蔑発言を受けたアフリカ系アメリカ人のグーグル社員の話や、イスラム教徒の娘が母親に来年からは髪を隠すスカーフをして街を歩くのが怖いと泣いた話、トランプ勝利が決まった夜に中西部にあるゲイバーの外壁にゲイを排除しろと落書きされた話などなど、悲しい話で一杯だ。

選挙活動中、何を話しても嘘臭く聞こえるなどと陰口をたたかれていたヒラリーだけど、敗戦が決まった後のスピーチで、目を濡らしながら「American Dreamは、誰もが持つことができるもの。すべての人種、すべての宗教、すべての性、移民、LGBT、身体が不自由な人たち、すべての人たちのもの」と話していたときは、やっぱり自分個人としてはヒラリーに決まって欲しかったと思ったわけで。









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