空に憧れて 空をかけてゆく

明日までに終わらせなければいけない書類を必死にチェックしていると、突然オフィスのビルが振動するくらいの音が轟いた。

若手のスタッフと一緒に窓に近づいて外を見ると、綺麗に並んだ4機の青い飛行隊が、隣のビルの真横を、きれいに列をなして通り過ぎていった。

今年もフリート・ウィークの季節がやってきたのだ。

毎年10月のこの時期になると、週末の航空ショーの練習のため、飛行隊がゴーゴー音を立てて空は騒がしくなし、海軍の制服を着た兵士達が歩いているのを街のあちこちで見かけられる。

軍服を纏い、訓練で鍛えられた身体と国を守るという誇りと自信にあふれた顔をした男たちでいっぱいになるこの一週間は、サンクスギビングやクリスマスよりも、密かに楽しみにしている自分である(ムフ)。

朝起きて外を見たら、飛行練習やってる。
この影響で、通常の旅客機も運行に遅れが出てるらしい。

オカマ友達や女友達とは、
「スーツとか制服着てるオトコって、いいよね~」
「それだけで、見た目、2倍はアップするわよ!」
「でも、彼らの私服姿みると、割とがっかりする事多いけどね」
などと、いつも好き勝手な事をよく言っているけども。

仕事で帰りが遅くなった夜、ひとりタクシーの窓からダウンタンの通りを眺めていると、夜遊び帰りの制服の若い兵士達が、騒ぎながら群れをなして歩いている。

紺色の制服と白い制服の違いは何なんだろ、などとぼんやり考えながら、彼らの姿に釘付けの自分。運転手さん!お願い車止めてっ!などと、女優めいて心の中で呟いても、彼らの広い背中はだんだんと小さくなっていくだけ。

そういえば、亡くなった祖父も海軍だった。

今、自分がこうやって、ここで平和に暮らしていられるのも、彼らのお陰だ。

家に着いたら、セックスアンドザシティの海軍兵士達が出てくるエピソードを観ながら
さっきの兵士たちを思い出して、一人酒だよ。


オカマのK枝からは「フリートウィークといえばこの曲よね」と、
ぶっとんだ格好のシェールの名曲の動画が携帯に送られて来たわよ。


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