出逢いはスローモーション (4)

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これまでのお話

出逢いはスローモーション (1)

出逢いはスローモーション (2)

出逢いはスローモーション (3)

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大阪弁をしゃべるアメリカ人N君とは、1回目の出会いの後もやりとりは続き、

映画を観に行ったり、食事をしたり、仕事帰りにワインバーに寄ったり、お互いの家に泊まったり(わはっ!)と、

一般的なカップルがたどるであろう一般的な”デート”を何度か続けていた。

しかし、

「最近あんた、どうなの? 最近静かじゃない。 オトコでもできた?」

などとオカマ仲間と飲み屋で飲んでいるときに、探りを入れられたならば、

「何もないわよ。仕事が忙しいだけ!」

と咄嗟にN君のことはまだ言わないでおこうという思考が働く自分。

何度かのデートをしたからと言って、

まだ今後うまく行くかどうかも分からないし、

相手に今はいいことを言われていても、

いつのまにか連絡が途切れ途切れになったり、

いつのまにか終わったりする恋愛も経験してきた中年オカマである。

ちょっとやそっとのことで浮かれたりして、

今までに痛い目にもあってきたもんから、やったら慎重になる訳なのよ。

「とかいって、あんたほんとはオトコいるんじゃないの? 誰なのよ、相手は?」

と長年の付き合いのオカ仲間達は、鋭い勘が働くのか、それともあたしの女優っぷり演技が下手なのか、しつこく聞いてくる。

このオカマ仲間達とは、もう関係が長いからか、お互いの恋愛相手にやたら厳しいもので、前にK枝がハンサムな写真家と付き合っていたときも、

「あんたあの男はダメ男。はやく別れな!」

「あんたあの男といて、本当に将来幸せになれると思ってるの?」

と余計なお世話もいいとこで、皆から手厳しいジャッジメントが下されていた。

そんなことも思い出したもんだから、

"N君のことは、もう少しちゃんとした関係になってから、仲間には紹介したほうが無難だわ”

とその場は、酒に話を濁しておいたわよね。

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数日後、

「イースターの週末は何しているの」

とN君から連絡が入った。

イースターってなんかする日だったっけ?と思いつつも、

「特に予定ないよ」

と返事を送ると、

「両親が家でイースターのディナーパーティをやるから、一緒に行こう!」

と返信が・・・!

”ちょ、ちょっと。まだ友達にも紹介してないのに、いきなりご両親って!?”

”だいたい、まだ出会って数か月で、いきなり親に会わせるか!?”

"ちょ、ちょっと・・・ えーーーー!?”

と、中年オカマ、

ひとり携帯片手にパニックに陥ったわよね。




続く

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