きっと伝説がこの島々を支えているから (3)
さて、出発3日前に突然思い立ってやってきた、弾丸ハワイ旅行。
"なにもせずに、ビーチとプールサイドでぼーっとする"
というのを今回の旅のテーマにしたものの、毎日砂浜でハワイアンな甘いカクテルをだらだらと飲みながら、海ではしゃぐ日に焼けた男たちを眺めてばかりいると、
"せっかくハワイに来たのに、何もしないでいていいのかしらん"
と、なんだか罪悪感のようなもったいないような気分になってしまう。
貧乏性の中年オカマである。
結局、N君との話し合いの結果、ビーチやプールで過ごす日々の間に、1日だけレンタカーを借りて島をドライブすることにしたのだが・・・。
とは言え、何せ何の予定も立てていなかった、この旅行。
ネットで調べてみると、オアフ島でのレンタカー代がどこも1日1500ドルだとか2000ドルなどと、とんでもない金額になっているじゃないのよぉ!
庶民には手も足もでない金額である。
どうやらコロナ禍でレンタカー会社も車両を手放したり本土に送ってしまったりしていたようで、ここ数か月で急にハワイに旅行客がもどりはじめ、価格が高騰しているようなのだ。
するとそこに、
「日本のレンタカー会社経由なら、50ドルくらいで借りられるところありますよ! 日本からの観光客はまだ戻って来てないので、値上がりしてないようです!」
と、仕事のできる会社の後輩君からの有難い情報が入り、なんとか1日レンタカーを確保できたのであった。やれやれ。
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今までオアフ島には何度か訪れる機会があったが、ワイキキとノースショアと呼ばれる島の北側に滞在したくらいで、それ以外の地域はまだ未踏の地である。
特に東側の海岸は、ワイキキほど人も多くなく美しい海岸が続いているというので、今回はその東側の海岸に向けてドライブすることとなった。
しかし、朝から良く晴れたワイキキを出発し、東に向かって車を走らせて数十分もしないうちに、突然の大雨である。
車の窓にたたきつけるように降る雨は、ワイパーを最速にしてもおいつかないほどで、
「こんな天気でビーチに向かってもね・・・」
「やっぱりワイキキに戻ろうか・・・」
と、思わず二人とも意気消沈し、思わず無言になってしまう。
『ハワイの人は、天気予報も気にしないんですよ。島ですから、突然雨になることも毎日のようにあるけれど、またいつかすぐに止むって、分かってますから』
数日前ホテルにチェックインしたときに、ピンクのハワイアンな制服を着たホテルのお姉さんが、そう言っていたのをふと思い出した。
そんなことを思いながら雨の中を走っていると、また十数分もしないうちに東側の空がうっすらと明るくなりはじめ、気が付くと雨は止み、あっという間に太陽が顔を出したのである。
「あのホテルのお姉さんが正しかったね!」
「ハワイの人たちが天気の変化に動じないのが、分かった気がする。」
と、納得したのであった。
思えば、ハワイは空気も人々も落ち着いていて、ゆるやかに時が流れている(気がする)。
雨が降っても、動じない。
雨のあとは、必ず晴れ間がやってくる。
そんなハワイの空気のような、どっしりとゆったりした心持ちで生きられたなら、人生もっと楽に楽しくいけるのになぁ、と物思う中年のおっさん(オカマ)なのでした。
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雨の止んだオアフ島東部の植物園やら、平等院(レプリカ)やら、サンドバーのきれいな"天国の海"やらを回ったと、カイルアと呼ばれるビーチに到着した。
話には聞いていたが、ワイキキとは違う静かな海岸が続いていて、そのあまりの美しさに思わずぼんやりしてしまう。
ふと横を見ると、駐車場から自分と同じ年くらいの眼鏡をかけた女性、ー凡そ現地の人ではないであろう色白で、我らと同じようにバケーションで来ているのであろうかー、が一人片手に栓の開いたワインの入ったバスケットを持って、海岸にやってきた。
彼女はおもむろに砂浜にジーパンのまま腰を下ろし、ワインを注いで、それに口をつけもせず海をずっと眺めている。
遠目だからわからないが、横顔はまるで泣いているようにもみえる。
彼女の物語を自分は知らないし知る由もないが、我々ハワイにやってくる多くの旅行者と同じように、彼女も人生の癒しを求めてここにやってきたのだろうか。
『突然雨になることも毎日のようにあるけれど、またいつかすぐに止むって、分かってますから』
美しいカイルアビーチを背景にそんな景色を眺めながら、また、ホテルのお姉さんの言葉を思い出していた・・・。
何故かハワイまできて、平等院… 何しにハワイに来たんだか。 |
小さなボートに乗ってやってきたのは、 「天国の海」と呼ばれるサンドバー。 そして突然、浜崎あゆみを歌いだすN君・・・。 |
ABCマートで買った安物のシュノーケリングのギアを装備して 海に潜ったら、ウミガメ君に遭遇。 寝てたわ・・・。 |
止まない雨はない。 |
続く
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