死に至る病、そして (終)

オカマ仲間のいつものK枝と、同じくゲイで近所に住んでいるH君と、オカマの集まるカストロの街の飲み屋で、酒をひっかけている。

「最近、テレビ何観てる?」

「そういや、Sex and the Cityのリバイバル、先週からニューヨークで撮影はじまったらしいわよ!」

「ひゃだ、早く観たい! でも、サマンサはでないのよね~」

などと、こうやってオカマが集まると、今も昔もSex and the Cityの話になりがちである。

「あんたは、100%ミランダだよね~。K枝はシャーロットで、M男は絶対サマンサ!」

「いや、あんたは、オカマのスタンフォードかアンソニーでしょ!」

などと、ぎゃーぎゃー騒ぎながら、番組のどのキャラクターに近いかなどと、好き勝手に当てはめたりもしたのも懐かしい。

東京に住んでいた頃には、三軒茶屋のツタヤでいつも貸出中のビデオをなんとか借りてきて観ていたのも懐かしいが、アメリカに渡ってからは、英語の勉強に(?)とDVDを全シーズン揃え、毎日のように繰り返し観ていたのを思い出す。

「あんた、日本語でもたまにオネエ出てるけど、英語だと完全オネエだよね・・・モテないわよ」

とよく友人にからかわれたものだが、Sex and the Cityの女子4人のセリフで英語を学んでいたのだから、そう言われるのも無理ねーわな…。

もう何年も前に仕事でマンハッタンへ行ったときには、キャリーの家の前の通りを歩いてみたり、くそ甘いマグノリアベーカリーのカップケーキ食ったりと、一人SATCツアーをしたのも遠い昔の良い思い出である。

SATCが中年オカマの青春だったのである(なんのこっちゃ)。

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SATCの話はさておき、飲み屋で酒を片手に周りを見渡してみると、もう誰もマスクをしていない。

数日前にカリフォルニアでは、マスク着用やらレストラン等のお店の入店制限が解除され、街はまるでコロナなどなかったかのような活気である。

ワクチン接種も完了したので、ジム通いも15か月ぶりに再開したわ!

ジム内は窓も全開で、マスクをしている人もいれば、していない人もいる。

マシンに座りまわりを見渡すと、コロナ前と変わらず美しい身体をしっかり維持している男たちが多い。

一方、元々ジム通いも半分目の保養で行っていたような自分は、コロナ中はせいぜい散歩とリングフィット程度で、さぼってばかりで運動という運動はほとんどせず、筋肉は衰える一方で脂肪はしっかりと着実に蓄えられている。あわわ。

コロナ前ならば持ち上げられていたウェイトも、今ではまったく持ち上げられなくなってたわ・・・(筋肉痛3日後くらいにくるわね)。

「もう、ちょっと何百年ぶり~?!」

ジム帰りに、1年半ぶりにいつもの床屋に行ってきたら、いつも担当してくれるオーナーのお兄さん(おネエさん)と、涙の再会であった。

「やっとお客さんが戻ってきてくれて、毎日クソ忙しいわ!!!」

と嬉しい悲鳴だそうだ。

話を聞くと、コロナ禍で何度と店を閉じなきゃいけないかと思ったとか、従業員の健康保険をどうするかとか、日々頭を抱える日々で、酒の量も大層増え、同業者と相談したり募金を募ったりと、辛い日々だったという。

「これで完全に収束するのか、まだわからないけど、今は今やれることをこうやってするしかないわよねぇ。」

とバリカンを片手にしみじみ目を少し濡らしながら話してくれたのだった。

自分の職場も来月からオフィスを再開するという(でも自分はこのまま家から働こうかしらん…)。

このままコロナ禍が落ち着いて、"リバイバル"のシーズンがはじまらないことを祈る日々である。



こうやってマスクなしで友人と話せる有難さ。
でも、やっぱりサマンサが一番好き。
(C) HBO













コメント

Junko さんの投稿…
オークランドに住んでる主婦です。
世代が同じで共感してます。
スチュアートが亡くなられたので、サマンサとスチュアートが抜けたSACT、、正直どうなの?って感じです。
samurai sf さんの投稿…
Junkoさん、はじめまして。

キャリーのゲイのベストフレンド役で、今回の続編も撮影に参加していたようですが、亡くなられたニュースは突然でショックでした・・・(涙) 確かに、本編もサマンサが居たから楽しんで観ていたようなものえすが、今回彼女が出ないとなると、正直楽しみ半減です。それでも放映開始されたら、観ると思いますが(笑)