木漏れ日がライスシャワーのように (5)

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これまでのお話

木漏れ日がライスシャワーのように (1)

木漏れ日がライスシャワーのように (2) - 家族の心模様 I

木漏れ日がライスシャワーのように (3) - 家族の心模様 II

木漏れ日がライスシャワーのように (4) - 家族の心模様 III

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「は!? あんた、まだ会場も決めてないの!?」

「いいところは1年以上前から予約しなきゃダメなのよ!? 間に合うの??」

と、それでなくても結婚式そのものを考えただけでストレスだというのに、それに拍車をかけるかのように元同僚女子がプレッシャーをかけてくる。

そう、結婚式の準備の第一の関門は、会場選び(のよう)なのである。

しかし、国際結婚ということで、式を日本であげるかアメリカであげるかをまずは考えねばならない。

同じくアメリカ人と結婚をした会社の同僚日本人女子に相談してみると、彼女は、アメリカと日本の両方で式をあげたとさらりと言っていたが、自分たちにはそんな予算も時間もないわ!

海外旅行をしたこともない我が親のことを考えると、東京のどこかの雅叙園やら椿山荘やらの和式の静かなホテルであげるのが無難だと自分は思うのだが、それでなくても招待客リストが自分の2倍も3倍もあるN君である。招待客のことを考えたら、東京は遠すぎる、地元のサンフランシスコであげたいという。

そもそも、東京のホテルで同性婚があげられるものなのかしらん、とネットで調べてみると、恵比寿の某ホテルで式を挙げようとした同性カップルが、ホテル側から同性であることを理由に断られた等という記事が載っていた(その後、その二人は交渉してそのホテルで式をあげたようだが)。

そんな記事をあちこちでみていたら、ここ(サンフランシスコ)に住みながら、東京での結婚式を準備していくのは、肉体的にも精神的にもかなりきつそう!!と怖気づく自分である。

それじゃぁ、東京とサンフランシスコの間をとってハワイのワイキキで、などという案も出たのだが、仕事のスケジュール上、日取りと照らし合わせると、ハワイは雨季となり、ハワイのビーチ、ガーデンウェディングをするには、天候のリスクが高い・・・。(大雨の中、ビーチでずぶ濡れの中年オカマの結婚式、切なすぎるじゃないのよぉ)

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「サンフランシスコの市庁舎がいいなぁ」

我が家の窓から遠くに見える、夜にライトアップされた市庁舎をみながら、ふとN君が独り言ちた。

今でこそ落ち着いているものの、当時カリフォルニアで同性の結婚が一時的にみとめられた時は、大勢の同性カップルがストレートのカップルと同じように結婚の権利を求めて、押し寄せた市庁舎である。

「調べてみたら、週末は昼から建物を貸し切って、結婚式と披露宴開けるみたいだよ!」

と、N君は、もうやる気満々である。

"確かに自分の第2の故郷になろうとしているこの街で、同性結婚の象徴でもあるサンフランシスコの市庁舎で結婚できるのならオカマ冥利につきるわよね・・・"

"でも、妹夫婦はともかく、海外旅行をしたこともない母や兄を呼ぶのはハードルが高いかしら・・"

"でも、市庁舎なら、そこらのホテルで式をするより安いだろうし・・・"

などと色々な思いが頭をかすめる。

"市庁舎で、結婚式ねぇ・・・・"

と、ほおづえをついて、改めて窓の遠くに見える美しい市庁舎の建物をみる。

かつて、サンフランシスコのゲイの街カストロの"市長"と呼ばれ、アメリカではじめてゲイであることを明らかにしながら市会議員として選挙で選ばれ活躍した、ハーヴェイミルクが命を落とした場所でもある。

やっぱり、自分たちのために人を呼んで、はしゃいで騒いで結婚式を挙げる気には今でも全くなれない自分だが(できれば、ひっそり2人だけでやりたいクチである) 、そんなサンフランシスコの同性愛者たちの歴史を背負いながらも、夜景の中で控え目に照らされた市庁舎の建物をみていたら、人生に一度の(はず!)の結婚という経験をあそこでなら自分もしてみたいと思えてきたのであった。(中年オカマ思い込みあるある)。


続く・・・。



コメント

JapanSFO さんの投稿…
いいですね~
結婚式の様子、写真付きでぜひアップしてくださいね♪
楽しみにしております!
samurai sf さんの投稿…
JapanSFOさん

ありがとうございます~
自分はいつまでたっても乗り気になれないのですが、
相手のほうは、着物を着たいだとか、ひとり盛り上がっております。
無事に当日を迎えられた時は、写真を載せますね~!


Unknown さんの投稿…
結婚をする相手がいる!って素晴らしい事じゃないですか!!
羨ましいです。
春に失恋した身には羨望の眼差しで見ています。
忘れる為には新しい彼を探さないと無理なのかな〜〜でも、気持ちがそちらへ動きません!
画像楽しみにしていますので。
samurai sf さんの投稿…
本当に、まさか自分が結婚することになるとは、と未だに実感がないような状態です。

自分も幾度と出会いと別れを繰り返していて、将来ずっと一人を覚悟していたので、人生わからないものですね。

自分の友達の言葉ですが、古いもの(男?)を捨てたら、必ず新しいものが入ってくる、とのことです!