木漏れ日がライスシャワーのように (3)
=================================================
これまでのお話
木漏れ日がライスシャワーのように (1)
木漏れ日がライスシャワーのように (2)
=================================================
朝から雨の降り続く土曜日。
傘をさしながら六本木の街を足早に歩き、待ち合わせ場所のイタリア料理の店へ向かった。
「やだ~~~~!!! 久しぶりすぎる!!!」
「あんた、全然変わってない! 年取らない! 化粧水なに使ってんの!?」
と、店についたとたんに、この調子である。
15年以上前、自分が東京からサンフランシスコに引っ越したばかりで、語学学校生をやっていた頃に出会った、同じように当時サンフランシスコで語学学校生をしていた女子たちと、今日は同窓会、兼、女子会だ。
「とりあえず、乾杯しようよ!」
と、広告代理店でバリバリ働き、恋多き女でもあるY子がスパークリングワインのグラスを掲げると、
「あたし、今日はちょっと、お酒辞めとく・・・」
と、アパレルのIT部門を牛耳り、今では一児の母でもある酒豪のK子が言う。
「あんた、まさか・・・!?」
「もしかして?」
「えへ。実は、2人目、妊娠してるかも・・・。 まだ確認はしてないんだけど・・・。」
「ひゃだ! おめでた!?」
「あたし今から薬局言って、検査薬買ってくるから、K子、この店のトイレ借りて、ちょっとチェックしてきなよ!」
と、まるで一昔前のドラマのように大騒ぎである(個室予約しておいて、正解だったわよね・・・)。
「んで、実は自分、N君と結婚することになったんだけどね・・・」
と、そんな騒ぎに乗って、自分も皆に告白すると、
「ひゃだ! おめでとう!!!」
「それで、ご両親は大丈夫だった!?」
という話になるのは自然な流れな訳で。
「父にはそれとなく、何度か話してるんだけど、やっぱりダメだわ・・・。」
K子は、今の旦那と結婚してからもう5年以上になるが、親から大反対されて未だに母親はその旦那と一度も会ってくれていないという。
Y子も、10年程前に日本へ戻ってから出会った男と結婚したものの、家庭の色々な事情があり、離婚し今は一人で頑張っている。
そんな女子たちに話を聞いてもらったり、彼女たちの話を聞いていたら、ゲイじゃなくたって、みんな色々な事情を抱えても、なんとかやっていることに気づく自分だったのだった。
--------------------------------------
「あんたの式は、着物で参加しようかね」
母と妹と、妹の住む街の駅の近くの小さな和食屋でランチをしていたら、母がふとそんなことを言う。
「ええ!? でも母ちゃん、父ちゃん来ないなら、母ちゃんも行けないかもって言ってたじゃん」
「あんた、そういう訳には、いかないもんよ。パパが行かなくても、あたしは行くから心配しなさんな。」
母だって、息子がゲイであることやら同性婚の国際結婚やらでとっ散らかってる状態の中、きっと色々ストレスになっているはずだ。
そんな中で、遥々サンフランシスコまで、父が来なくとも、母一人で来てくれると言ってくれることに、思わず涙腺が緩むあたし・・・。
そして、
「母ちゃん、やっぱり着物は紋付の黒かね。でも、アメリカの結婚式なら、色付きのほうが綺麗かしらねえ」
と、空気を読んで取り繕ってくれる、よくできた妹がいる。
"父には理解してもらえなくとも、こうやって自分をサポートしてくれる母と妹がいてくれるだけでも、自分は幸せものだわ"
と、アジフライにかぶりつきながら、しみじみ思う自分だったのだ。
「でもさ、兄はどうするの!?」
と、突然妹が言い出した。
そう、
自分には、まだ何の事情も知らぬ、元ヤンキーで父よりもよっぽど保守的な兄がいるのであった・・・。
続く・・
これまでのお話
木漏れ日がライスシャワーのように (1)
木漏れ日がライスシャワーのように (2)
=================================================
朝から雨の降り続く土曜日。
傘をさしながら六本木の街を足早に歩き、待ち合わせ場所のイタリア料理の店へ向かった。
「やだ~~~~!!! 久しぶりすぎる!!!」
「あんた、全然変わってない! 年取らない! 化粧水なに使ってんの!?」
と、店についたとたんに、この調子である。
15年以上前、自分が東京からサンフランシスコに引っ越したばかりで、語学学校生をやっていた頃に出会った、同じように当時サンフランシスコで語学学校生をしていた女子たちと、今日は同窓会、兼、女子会だ。
「とりあえず、乾杯しようよ!」
と、広告代理店でバリバリ働き、恋多き女でもあるY子がスパークリングワインのグラスを掲げると、
「あたし、今日はちょっと、お酒辞めとく・・・」
と、アパレルのIT部門を牛耳り、今では一児の母でもある酒豪のK子が言う。
「あんた、まさか・・・!?」
「もしかして?」
「えへ。実は、2人目、妊娠してるかも・・・。 まだ確認はしてないんだけど・・・。」
「ひゃだ! おめでた!?」
「あたし今から薬局言って、検査薬買ってくるから、K子、この店のトイレ借りて、ちょっとチェックしてきなよ!」
と、まるで一昔前のドラマのように大騒ぎである(個室予約しておいて、正解だったわよね・・・)。
「んで、実は自分、N君と結婚することになったんだけどね・・・」
と、そんな騒ぎに乗って、自分も皆に告白すると、
「ひゃだ! おめでとう!!!」
「それで、ご両親は大丈夫だった!?」
という話になるのは自然な流れな訳で。
「父にはそれとなく、何度か話してるんだけど、やっぱりダメだわ・・・。」
K子は、今の旦那と結婚してからもう5年以上になるが、親から大反対されて未だに母親はその旦那と一度も会ってくれていないという。
Y子も、10年程前に日本へ戻ってから出会った男と結婚したものの、家庭の色々な事情があり、離婚し今は一人で頑張っている。
そんな女子たちに話を聞いてもらったり、彼女たちの話を聞いていたら、ゲイじゃなくたって、みんな色々な事情を抱えても、なんとかやっていることに気づく自分だったのだった。
--------------------------------------
「あんたの式は、着物で参加しようかね」
母と妹と、妹の住む街の駅の近くの小さな和食屋でランチをしていたら、母がふとそんなことを言う。
「ええ!? でも母ちゃん、父ちゃん来ないなら、母ちゃんも行けないかもって言ってたじゃん」
「あんた、そういう訳には、いかないもんよ。パパが行かなくても、あたしは行くから心配しなさんな。」
母だって、息子がゲイであることやら同性婚の国際結婚やらでとっ散らかってる状態の中、きっと色々ストレスになっているはずだ。
そんな中で、遥々サンフランシスコまで、父が来なくとも、母一人で来てくれると言ってくれることに、思わず涙腺が緩むあたし・・・。
そして、
「母ちゃん、やっぱり着物は紋付の黒かね。でも、アメリカの結婚式なら、色付きのほうが綺麗かしらねえ」
と、空気を読んで取り繕ってくれる、よくできた妹がいる。
"父には理解してもらえなくとも、こうやって自分をサポートしてくれる母と妹がいてくれるだけでも、自分は幸せものだわ"
と、アジフライにかぶりつきながら、しみじみ思う自分だったのだ。
「でもさ、兄はどうするの!?」
と、突然妹が言い出した。
そう、
自分には、まだ何の事情も知らぬ、元ヤンキーで父よりもよっぽど保守的な兄がいるのであった・・・。
続く・・
コメント