ありがとうって言ったら永遠にさよならになる

台風が3つも関東地方を直撃しているというのに、その日 は朝から夏の青空だった。 ---------------------- 祖父の三回忌で、二泊三日の弾丸帰国。 職場の大ボスは「遥々日本まで行くのだから、もう少し休みを取ればいいのに」と言ってはくれるが、この繁忙期に仕事が遅れて、あとで痛い目にあうのは自分だ。 仏教の年忌の概念を知る人もいない職場で、皆が夜遅くまで残業してる中、この時期に休みを取るだけでも、ちと後ろめたい。 ----------------------- 霊園の祖父と祖母が眠る墓の前で、親戚一同が集まり、一人一人が祖父に挨拶をし、お坊さんの説教を聞く。 昨日の台風の大雨が信じられない程の日差しの強い気候で、黒いスーツは汗だくだ。 隣にいた甥っ子は「お坊さんの話、いらなくない?」と率直な感想をこぼす。こら〜!そんなこと言わないの!と甥っ子を諭しながらも内心頷くあたい(バチあたり!)。 無事に式を終え霊園近くの寿司屋で食事。 会の終わりに、お供えしてあった祖父の好物だった文明堂のどら焼きを親戚みんなで分けて、解散となった。 ------------------------ 翌日は朝から大雨。 成田に向かう前に念のためネットで運航状況をチェックすると、夕方発のアメリカ便のほとんどが欠航って!!! 速攻で日本航空に電話するも、回線がパンク状態で繋がらない! やっと繋がり、サンフランシスコでもロサンゼルスでも、大阪経由でもなんでもいいから、アメリカに帰らせて頂戴〜!と頼み込むも、今日も明日ももう席はないという。 「昨日の突然の晴れ間といい、あんたの飛行機のキャンセルといい、おじいちゃんの仕業かもね」 母が朝ごはんを準備しながらポツリと言った。 ----------------------- そういえばと、 最期に祖父に会った日、別れ際に言われた言葉を思い出す。 「仕事大変だろうけど、健康が大事なんだから、休み休みやればいいんだよ」 ちょうど慣れない仕事が続いていた時で、心も身体も疲れきっていた時だったから、祖父のその言葉を聞いた帰りのバスで思わず女優泣きした自分(オカマ)。 だからその日の祖父が言...