続・死に至る病、そして (3)

 「ちょっと、これから鹿児島行ってくるわ!」

東京に住む、大学時代からの悪友オカマのK子から、LINEにメッセージが入った。

「あんた、鹿児島まで何しに行くのよ?」

と問うと、緊急事態宣言が解除されたということで、一回り年下の"知り合い"を連れて旅行に出かけるのだという。

「あんた、またそんな若い子連れて、旅行費用だけせびられて、東京帰ってきたら捨てられるんじゃないでしょね!?」

と、思わず嫉妬で嫌味が出てしまう自分である。

日本に住む他の友達のSNSの投稿をみていると、皆、伊豆や沖縄などの旅行写真があちこちで見られる。

「いいなぁ。自分も日本帰って、温泉行って浴衣来て、畳の部屋で郷土料理に舌鼓打ったりしたいわよっ」

と、同じく日本に帰りたくとも、なかなか帰れずにいるサンフランシスコの友人や同僚に愚痴ると、皆やはり10日~14日間の自宅待機がネックだという。

日本に帰るにも、せいぜい2週間程度しかまとめて休みが取れないサラリーマンの身としては、10日間どこも行けずに誰とも会えずに過ごすのはどうにももったいない。

「コロナ前でも、せいぜい1年に1回しか日本の親に会えなかったのに、去年も今年もコロナで会えずだわ」

「親の年齢考えたら、やっぱり無理してでも毎年顔見たいよ~」

などと、近所に住むM子やK枝とも話すが、結局、皆今年の冬もアメリカ居残り組になりそうである。

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先月のはじめくらいから、ワクチンのブースターとして3回目の接種が一部で開始されたようだ。

カリフォルニア州では、65歳以上の人や、仕事内容・健康状況に応じて、3回目の接種が認められていて、自分の周りでも既に3回目を接種した人という人が何人もいる。

だが、カリフォルニア州全体では、必要回数と言われる2回のワクチン接種を完了している人口は60%ちょっとに留まっている。

それでも、街を歩けばだいぶ人が戻ってきており、マスクこそしているものの、普通に買い物したり、レストランや飲み屋で食事をしている人が増えた。

「今日は久々に会社行ってくるわ」

と朝、同業女子のM子からLINEが入った。

自分の会社も今月から正式にオフィスが再開されたが、まだ基本的に皆家から働いている。

一方で、M男やK枝は仕事柄、ほぼ毎日出社しているという。

日本はすでに国内のワクチン接種率が70%を超えているらしいが、東京の出版社で働く先のK子は、週に2、3回の出社に留まっているらしい。

自分が東京でサラリーマンをしていた時の上司とも久々にSNSでやりとりをしていたのだが、彼女も出社は週に1回のみ、外資のアパレルで働く東京女子会仲間の2人に至っては、自分と同じようにまだ完全自宅勤務だ。

「もう、日本もアメリカもコロナ前みたいな働き方には戻らないよね?」

とK子にLINEで問うと、

「もどりたいのに~ もどれないのよ~」

山田邦子めいた返事(昭和・・・)が返ってきた。

働き方はこのまま戻らなくてもいいが、日本にはやっぱり今すぐにでも戻りたいのよ~。

こうやってまた日本航空の001便に乗って、日本に戻れるのはいつになることやら




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