死に至る病、そして (5)

 "ちょっと....電話してもいい?"

夜8時。仕事の繁忙期で朝からずっとバタバタ働いていると、同じ街に住む日本人のゲイ仲間であるK枝からテキストメッセージが届いた。

「K枝、どしたの? なんかあった?」

心配になりこちらから電話をしてみると、どうやら周りの友人やテニス仲間が皆、なんだかんだと理由をつけて、こっそりコロナのワクチン接種をしているのだという。

「周りの皆がもうワクチン打って、みんなで集まって飲んだり、普通の生活をはじめようとしてるのに。あたしだけまだ家に籠って一人で過ごしてる。もうあたしもレストラン関係者とかのふりして、打っちゃおうかな。」

とK枝はぼやく。

もちろんその中には、医療関係者やレストラン関係、あるいは健康状態によって、優先的にワクチンを受けた人もいるだろう。

だが、ワクチン接種の予約をするときや、実際に接種を受けるときも、"証明”などを提出する必要もなく、自己申告で皆受けているから、まだ自分の"番"が来ていないのにこっそり受けている人もいるのかもしれない。

それでも、なんだかんだと、生真面目なK枝も、未だにワクチンが何だか怖いと思っている自分も、結局一般人への接種の認可がおりるまで、我慢して待つことにしたのだった。

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さて、我らがサンフランシスコ市は、4月15日から一般へのワクチン接種開始と発表していたが、実際にはその数日前からその接種を開始した。

その当日は、どこの予約サイトもパンク状態で、今もログインすらできない状態が続いている。

"もう、当分先まで、あきらめましょ"

と先のK枝とあきらめて待つことにしたのだが。

「ウォルグリーン(薬局チェーン)のサイトで今なら予約できそうですよ!」

と、仕事中に会社の後輩君からチャットのメッセージが入ってきた。

「なぬ!!!」

と、急いで、昭和時代の緊急連絡網宜しく、K枝や、いつものアメリカ人ゲイ仲間のE子やら、我が家のN君にも、それを伝え、みなで予約を試みるものの・・・。

なんとかうまく最後まで予約にたどり着けたのはE子だけで、その後輩君も、K枝も、N君も、自分も途中でサイトがダウンしたり、あるいは予約完了のボタンをクリックすると、

"その時間はすでに埋まっています"

とはね返されてしまったのだった・・・。

唯一空きがあるのが、カリフォルニア州"コロナ"市だけという謎の事態。


「あーん、悔しい! ここで諦めたら、オカマがすたるもの !(C)南野陽子」

と、仕事中もクソ忙しい中、30分おきに各サイトをチェックしたり、早朝なら予約が取りやすかったという同僚の話を信じて朝の4時に起きたりと、もはやオカマの意地である。

そして!

なんとか地元のスタンフォード大学病院が提供するワクチン接種サイトでの予約にこぎつけ、来週月曜日、早起きして我が家から車でK枝も一緒に1時間ほどの田舎町に行くこととなったのだった。

「血栓が怖いから水もっていきましょ」

「バナナも持ってくわ?」

ちょっとした遠足気分である。

寝坊せずに起きれるかしらね・・・。


コメント

ふわり さんの投稿…
こんにちは。
予約、取れてよかったですね!
周りに接種した人が増えると、なぜかそわそわ落ち着かず焦ってくるのよく分かります。私は職業枠と高リスク者枠で優先させてもらえるポジションでしたが、なんとなく気がすすまず今日までズルズルです。はい、今日の午後、オークランドのダウンタウンで一回目打ってきます!

samurai sf さんもK枝さんも、月曜日、頑張って下さい。
samurai sf さんの投稿…
ふわりさん こんにちは。

自分もこの月曜に無事1回目を接種してきました。自分もなんとなく気がすすまずでしたが、大きな副反応もなく安心しております。2回目がちと怖いですが・・・!

ふわりさんも、特に副反応もなかったようで、よかったです。

散歩をしていると、ワクチンを打ったからとマスクもせずに大騒ぎしている若者をみたりして心配ですが、このままうまくコロナ禍落ち着いてくれるといいですね。

今週末は天気がいまいちですが、良い週末をお過ごしください。