デニムの青が褪せてゆくほど 味わい増すように
"ねー 4月のこの週末お暇?" 朝から仕事したくない病が出て、なかなかベッドから出れずにいると、同業のM子からLINEにメッセージが届いた。 携帯のカレンダーを見ると、ちょうどM子の誕生日である。 "あなたの誕生日じゃないのよぉ。なんかみんなで楽しいことしましょ。何しよっか?" 誕生日当日に、平日ならともかく週末ひとりで過ごしたくないという気持ちは、自分も以前経験し重々分かるので、即座にそう返事をしたのだった。 ーーーーーーーーーーー M子の誕生日当日の土曜日。 少し早めに起きて、近所の店で朝メシのコーヒーとハム入りクロワッサンを買ったなら、M子バースデー日帰りツアーの出発だ。 M子の誕生日の希望は、いつものメンバーでワイナリーでワインテイスティングをしたいということだったので、向かうはナパバレーである。 それぞれの車でサンフランシスコから1時間ほど行くと、景色は右も左も見渡す限り美しいワイン畑となる。 そこからもう数十分車を走らせると、今回のワイナリーに到着だ。 主役のM子がまだ到着していなかったので、ひと足先に、グラスの白ワインを片手に、ワイン畑を眺めながら歩いて待つことにする。 今回のメンバーのうち、すでにワクチン接種を2回とも完了した人、1回だけ打った人、まだ一度も打ってない人とがいたが、こんな畑に囲まれながらの屋外のテーブルなら、そこまで心配せずに楽しめそうである。 「お誕生日おめでとうー!」 「ハッピーバースデー!」 M子が到着し席に着いたら、まずは皆で乾杯。 コロナ禍が始まって以来、こうやってみんなで揃うのも初めてのこと。 「あたしなんて、サンフランシスコ市内から外に出るの、コロナ以来今回が初よ」 とK枝が言う。 皆、1年以上自粛生活を続けてきて、やっとそのトンネルの出口がみえはじめている。 「この赤ワインのうち、どれが一番好き〜?」 「向こうのテーブルの男たちの中で、どれが一番美味しそう〜?」 青空の下、久しぶりに皆でそんなたわいもない会話を楽しんでいると、ここのところ下がりっぱなしだった口角が、自然と上がってきた気がするのだった。 ーーーーーーーーーーー そんなM子から薦められて聴き始めたポッドキャストがある。 その名も「 OVER THE SUN 」! 我らのような中年のオバさん(オカマ?)をターゲットにし...