心の中を新しい風で満たしたいよ
「心の中を新しい風で満たしたいよ~」 と30年前に浅香唯がセーラー服姿で歌っていたが、 40を過ぎた中年オカマの自分も、ここ数週間ずっとそんな気分で心が沈んでいたのである。 なぜ元気が出ないのか自分に問うてみても、特に思い当たる節はない。 元同僚の健康オタクの女子に相談してみると、 "あ~、それはね。長く続いた繁忙期のストレスとプレッシャーによる、鬱予備軍だね" と、即答で診断されたわ。 確かに寝ても起きても、平日も週末も仕事のことを考えていたから、 頭を休みモードに切り替えられずに、血圧はあがりっぱなしで、 口角は下がりっぱなしの生活だったのである。 そんなもんなのかしらん?と、インターネットで色々調べてみると、 日本のサラリーマンの多くが同じような状況の鬱予備軍だという。 "なるべく仕事のことを忘れて、他のことを考えるように自分を仕向けましょう" と真っ当なアドバイスが書いてあるが、 他のことに仕向けようと、本を読んでも、ピアノを弾いても、ゲームをしても、映画や芝居を観に行っても、友達と飯やお茶をしていても、一時的には元気になるが、長くは続かない訳で。 --------------------- 冬のような寒く薄暗い曇り空の月曜の朝。 家で仕事に行く準備をしつつ片手で、 「ねぇ、最近元気がでない。元気頂戴!」 と東京に住む同い年の中年オカマ、K子に無茶投げなLINEメッセージを送ったら、 「あたしも元気出ない! だからゴールデンウィークにLA行くわ。あんたも来れば?」 と即座に返事が来た。 "そうねぇ。ゴールデンウィーク中なら、日本のクライアントからの連絡もないだろうし、行っちゃってもいいかもね” そんなこんなで、数週間後、LAに向かうユナイテッド便に乗っていた自分である。 ---------------------- 「ねぇ、あんたいつまであたしをLAXで待たせる訳?」 「あんたがブスになりすぎてて、あんただって気づかずに通りすぎちゃったの!」 とLAの空港に到着したとたん、これである。 空港まで車で...