出逢いはスローモーション (3)
================== これまでのお話 出逢いはスローモーション (1) 出逢いはスローモーション (2) ================== 日曜日の夕方5時半。 待ち合わせ場所だったCafe Floreに到着してみると、 女装をした人たちが楽しそうに騒いでいる。 どうやら今日は特別に、 「日曜恒例!女装だらけのビンゴ大会!」 のような催し物が行われているようなのだ。 とりあえずカフェの端っこの席に座り、あたりを見渡たしてみるも、水球をやっている好青年のような出で立ちの男は見当たらない。 "まさか、あたし、はめられた!?" "中年オカマなあたしの姿を見て、逃げ出した!?" "それとも、この女装の人たちの中に、彼がいるのかも!?" などと、色々な疑惑が過ぎったが、 間もなくして、 ぼんやりした顔の男が カフェの入り口に現れた。 目があうと、自分に向かって手を振っている・・・。 ---------------------------------------- 「日本政府のJETというプログラムで、奈良の十津川村の学校で英語を教えていたんですよ。」 結局、女装だらけのCafe Floreだと色々落ち着かないということで、その近くのイタリア料理屋で夜飯でも、ということになったのだが。 「水泳は3歳から。水球は高校からはじめました。」 「奈良のあとは、もう少し日本語が勉強したくて、大阪で日本語を勉強しました。」 「日本から帰った後は、ワシントンDCでコンサルティングの仕事に就きました」 「生まれはサンフランシスコで、両親は今、ここから3、40分くらいのところにある、ウォルナットクリークというところに住んでます」 自分もこんなデートというデートは久しぶりで何を話していいのやら、なのだが、 相手も緊張しているのだろうか、酒をかっくらいながら、こちらから何も聞かなくとも、自身のことを延々と話し続けている。 そんな話を聞きながら(聞くフリをしながら?)、こっそり相手の容姿をチェックする自分。 "背は高いけど・・・水球をしてる割にはお腹でてるわよね?" (オカマ、自分のこ...