投稿

朝もやにけむってる 運命の分かれ道

繁忙期の真っただ中。 仕事でミスをし、クライアントに迷惑をかけることになった。 ミスに気づき、すぐに大ボスに報告はしたものの、その前後は夜も眠れぬ程落ち込んだのである。 「えーん。せんせ~。やってもーた。ミスっちゃったよぉ。」 と、社内チャットで毎日のように愚痴を交わし合っている同僚に弱音をはくと、 「お兄さん、誰だってミスはあるし、あたしだってあるし。毎日夜中まで働いてたら、そんなこともあるさ。大丈夫だよ~。」 と優しい一言が返ってきて、何とか心を落ち着かせた自分である。 ミスをしようが落ち込もうが、目の前に溜まっていく仕事たちを捌いていかねばならぬ・・・。 しかし、それでなくても、心身ともに疲れ切っていた中での、凡ミスである。 事あるごとに、 "あー、あの時ああしてれば、こんなミスでなかったよなぁ" "ほかの長年のクライアントにも見切りつけられたらどうしよう" などと、どんどんネガティブ思考に陥ってしまう。 最近、身体もそうだが、心も弱くなった気がしてくる。(人は大人になるたび弱くなるよね? (C)浅香唯) と、歳のせいなの!? ----------------------------------- 朝のベッドで、うだうだとなかなか起き上がれずにいる中、 "このままじゃ、ますます心のどつぼにはまってく。やべーわ・・・" と、なんとか心のスイッチを切り替えられる方法を、ネット検索してみると、 どの記事もページも、口をそろえて、 "適度な運動!太陽光に浴びる!" となどと書いてある。 "んなこと言っても、毎日仕事でオフィスに籠る生活だから、無理だわよ" と早くも匙を投げかけた自分であるが、 他の記事をみていくと、 "いつもより30分起きて、朝活!" などと、朝からヨガやら英会話やらを楽しむ、東京のOLのキラキラした生活が描かれたりしている。 "そういや、M子もK枝、朝早く起きて仕事前にジム行ったりしてるよな・・・” "自分もちょろっといつもより早く起きるくらいなら・・・" "わたしに、できるかしら...

木漏れ日がライスシャワーのように (5)

==================================================== これまでのお話 木漏れ日がライスシャワーのように (1) 木漏れ日がライスシャワーのように (2)  - 家族の心模様 I 木漏れ日がライスシャワーのように (3)  - 家族の心模様 II 木漏れ日がライスシャワーのように (4) - 家族の心模様 III ==================================================== 「は!? あんた、まだ会場も決めてないの!?」 「いいところは1年以上前から予約しなきゃダメなのよ!? 間に合うの??」 と、それでなくても結婚式そのものを考えただけでストレスだというのに、それに拍車をかけるかのように元同僚女子がプレッシャーをかけてくる。 そう、結婚式の準備の第一の関門は、会場選び(のよう)なのである。 しかし、国際結婚ということで、式を日本であげるかアメリカであげるかをまずは考えねばならない。 同じくアメリカ人と結婚をした会社の同僚日本人女子に相談してみると、彼女は、アメリカと日本の両方で式をあげたとさらりと言っていたが、自分たちにはそんな予算も時間もないわ! 海外旅行をしたこともない我が親のことを考えると、東京のどこかの雅叙園やら椿山荘やらの和式の静かなホテルであげるのが無難だと自分は思うのだが、それでなくても招待客リストが自分の2倍も3倍もあるN君である。招待客のことを考えたら、東京は遠すぎる、地元のサンフランシスコであげたいという。 そもそも、東京のホテルで同性婚があげられるものなのかしらん、とネットで調べてみると、恵比寿の某ホテルで式を挙げようとした同性カップルが、ホテル側から同性であることを理由に断られた等という記事が載っていた(その後、その二人は交渉してそのホテルで式をあげたようだが)。 そんな記事をあちこちでみていたら、ここ(サンフランシスコ)に住みながら、東京での結婚式を準備していくのは、肉体的にも精神的にもかなりきつそう!!と怖気づく自分である。 それじゃぁ、東京とサンフランシスコの間をとってハワイのワイキキで、などという案も出たのだが、仕事のスケジュール上、日取りと照らし合わせると、...

暮れなずむ町の光と影の中 去りゆくあなたへ贈る言葉

イメージ
休日出勤の土曜日。 いつもならば霧に覆われているはずのサンフランシスコの8月にしては珍しく、雲ひとつない青空の中、自分はひっそりオフィスに篭って仕事である。 そんな仕事の合間に、携帯でインスタやらフェイスブックを覗いてみたならば、三連休ということもあって、皆あちこち旅行先から楽しそうな写真を載せている。 同業者のM子ちゃんは、カナダのバンクーバー。 オカマ友達のM男は、旦那の実家のミズーリ。 東京のK子は、韓国。 N君は、家族の集まりでシリコンバレーの南のサラトガ。 他の友人共は、ロサンゼルスのテーマパークやら、メキシコのプエルトバジャルタのゲイビーチやらで、それぞれ長い週末を楽しんでいるようだ。 自分と言えば、仕事を終え、そのままひとり家に帰るのもつまらぬと、ジムに寄ってみたけれど、やはりこの連休は皆旅行に出ているのか、人も少なくひっそりとしてたわ・・・。 結局、帰り道にスーパーマーケットに立ち寄って、安い白ワインを買って、汗だくになりながら家に帰ってきたのであった。 ------------------------- 先週の金曜日。 サンフランシスコのダウンタウンで働く日本人ゲイサラリーマンの夜飯の会が、年に何回かあるのだが、そのメンバーの一人であるTさんが、30年住んだアメリカを引き払い、日本に帰るというので、最後にと皆で集まった。 場所は、 「最後なので、カストロで!」 と、Tさんご指定で、オカマのメッカであるカストロに集合である。 Tさんは、自分より10歳くらい年上だろうかー(オカマの世界だから年齢が朧なのよ...)、いつもおされな身のこなしで、バリバリと仕事をこなす、中年オカマ(あたし)の憧れの存在だったのだ。 自分の仕事上での繋がりもあり、サラリーマンの会の外でもお世話になっていたので、今回Tさんから突然「帰国します。」と連絡があったときは、聊かショックだったわよね。 オカマの街のど真ん中にあるイタリア料理の店に集まり、 「東京に帰ったら、日本男児たちに挟まれて通勤で楽しみですね~」 「会社帰りの銭湯で、いい出会いがあるかもしれないわよ~」 などと、皆で冗談を言いながら、イタ飯(昭和!)を...

派手な水着はとてもムリよ 若い子には負けるわ!

イメージ
「E子、お誕生日おめでとう!」 「おめでと~。んで、いくつになったの? 四捨五入したら50だっけ?」 「失礼しちゃう。まだ、24よ!?」 土曜の朝は、そんなLINEのグループチャットではじまった。 「あんた、週末の朝に6時から起きてる時点で、正真正銘の40過ぎのババアだわよ」 「ひゃだ。あたしがオバさんになったら、あんたもオバさんよ!?」 「若い子には負けるわ!」 まだ朝の6時にもなるかならないかという時間に、今日誕生日を迎えたE子へのお祝いを込めた、40前後の中年オカマたちの会話である。 ---------------- 数週間前、仕事帰りに水球チームのメンバーたちが練習帰りに飲み屋で飲んでいるというので、自分もそれじゃぁと立ち寄ると、20代の若手の選手たちがすでに酔っぱらってカウンターに座って飲んでいた。 「ねえ、どうやったら、運命の男に出会えるか教えて!」 「最近、おでこの生え際が後退し始めた気がするんだけど、どうしよう。」 「今の職場、いいオトコいないから、転職したい・・・」 自分もカウンターの空いていた席に座り、そんな彼らの悩みを聞いていたものの、こんなに外面からも内面からもあふれる若さを生きている彼らが、どんな悩みを吐き出そうと、 「あんたたち、まだ若いんだから、なんとでもなるわよ~」 と、中年オカマの皮肉にしか聞こえぬようなアドバイスしか出てこない自分なのだった・・・。 そして、 「あんたたち、飲み足りないんじゃないの? 今日はあたしのおごりだから、好きな酒頼みな!」 と思わず、大盤振る舞いしてしまうのである。 それにしても、彼らのこの元気の良さは何なのかしらん。 彼らには、どんなに疲れていようとも、どんなに人生を悩んでいようとも、幾らでも乗り越えられるような勢いがあるのである。 -------------- 土曜日の午後。 ソノマで行われる毎年恒例の水球チームのプールパーティへ向かった。 日々ジムに行っても大した運動もしていない自分である。上記のE子の誕生日メッセージのやりとりを終えたあとすぐにジムに行って、ちょっとはあがいてみたけれど、人前で堂々と水着になれるような身体の状態ではない。 ましてや、20代、30代の若き選手たちが派手な水着を着ている中で、ス...

風が僕らの前で 急に舵を切ったのを感じた午後

イメージ
拝啓 お元気ですか。 自分は久々に南の島に来ています。 --------------------------- ここ数年、サンフランシスコー東京便の値段が、やたらと高くなっている。 今までも、台湾・韓国やカナダ、あるいはLAを経由したほうが安い便はいくらでもあったのだが、歳をとるにつれて長旅がしんどくなってきたので、多少払ってでもできれば直行便で帰りたいと思っている。 そんな中、ハワイ経由で日本に帰る輩が自分の周りに増えていたので、自分も調べてみると、確かに直行便よりハワイ経由のほうが安いじゃないの。 "ん~、経由便はなにかと面倒だけど、ハワイで何日かゆっくりできるなら楽しそうね。安いに越したことはねえしっ!" と、今回の日本行きは、ハワイアン航空のハワイ経由と相成ったのであった。 ----------------------------- 梅雨の羽田からオアフ島ホノルル行の便に乗り込むと、アロハシャツのガタイの良いフライトアテンダント(いいオトコ・・・)が迎えてくれて、仕事やら家族との一件でゆっくりできなかった今回の日本滞在のストレスも、一気に吹き飛んだ自分である。 はじめの数日はホノルルで何も考えずにぼーっと過ごす。 (ビーチと海の見えるオカマバーを行ったり来たりしただけ・・・) ホノルルで数日過ごしたあとは、ハワイ島へ。 ハワイ諸島へ向かう便では、入国の際に記入する書類に、「ハワイに過去に何回来たことがあるか」を問われるのだが、今までハワイ島へは行ったことはなかったのである。 自分の周りの"ハワイ通”は、 「どの島と比べても、ハワイ島が一番よ」 「ハワイ島は、ハワイのパワーを一番感じられて元気になれるの」 「ハワイ島の男達は、朴訥としてていいのよぉ」 等と、皆が口をそろえていうもんだから、 "兎に角、心身共に疲れてる自分をどうにかしたい!" と、サンフランシスコへ戻る前に初のハワイ島訪問となった訳なのだ。 広々とした道路を走る視界に入るのは、溶岩の大地と青空のみ ワイキキに比べたら、どこのビーチも静かで こっそり聖子(渚のバルコニー)を鼻歌しても、誰も気にしない ...