色褪せた いつかのメリークリスマス

サンフランシスコは、珍しく雨の日が続いている。

晴れているならば、運動を兼ねてと、近所の家々のクリスマスツリーやら家の電飾を観ながら散歩にでも行くのだが。

結局、家にこもりながらも、せめてホリデー気分に浸ろうとクリスマスめいた曲をかけてみる。

「なんで、日本のクリスマスの曲は、悲しい歌が多いの?」

と、我が家のN君が問う。

アメリカ人のN君は、彼が日本に住んでいた頃よく聴いた、B'zの「いつかのメリークリスマス」が好きだというが、改めてその歌詞を読むと確かにもの哀しい。

山下達郎の「クリスマス・イブ」も、"ひとりきりのクリスマスイブ”を歌っているし、辛島美登里の「サイレント・イヴ」に至っては、悲しいどころかちょっと怖いくらいだわよね・・・。

とは言え、おマラ姐さん(マライアキャリー)の例の曲よりかは、やはり日本のしっとりしたクリスマスソングが好きな昭和のオカマなので、そんな"哀しい曲”たちをリピートして家の中で流している。

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結局この年末も、コロナ禍で日本にも帰れず、引きこもりの年末年始になりそうなので、せめて家の中だけでも盛り上げましょと、生のツリーを買ってきて、飾り付けた。


街の外れのボランティア団体がやっているクリスマスツリー屋で購入。
(マッチョなお兄さん達がいっぱいで、ムフフ。)
年が明けると、市がちゃんとリサイクルしてくれるらしい。


そんなツリーが反射する窓の外を眺めながら、安物のワインを開け、物思いにふける。

子供の頃は、冬休みが始まると同時に、クリスマスがやってきて、前々から親に”サンタクロースに伝えておいてもらった”プレゼントが、朝目を覚ますと、枕元に置いてあった。

プレゼントに添えられてあったカードも、今思えば明らかに母の筆跡だったのだが、その時はそれでもサンタクロースを信じていたのだ。

窓に映るツリーに目を戻すと、あの日本の包装紙の独特の匂いを思い出し、突然長いこと会っていない日本の家族が恋しくなったわ。

一方で、今やクリスマスは楽しみどころか、正直ストレスである。

アメリカの家族は、どこの家もそうなのかしらぬが、プレゼントを遠くに住む人には前もって郵送したり、当日集まる人々には幾つも小さなギフトを買って包装紙に包んだり。クリスマスカードも、年末の混む郵便事情を考慮して、早めに書いて投函せねばならぬ。(まだ、なーんにもやってねーわ…)

クリスマス当日も、N君の実家で料理の手伝いやら何やら、元々こういった家族の集まりが苦手な内向的な自分であるから、今から考えただけでも気が重い。

異国からやってきた自分を、こうやってアメリカの家族の輪に入れてもらえるだけでも、ありがたいはずなのだが、正直、家で一人で過ごした方がよっぽど楽だわなどと思ってしまう。

若い頃なら、「クリスマスに一人で過ごすなんて悲しい」などと思ったかもしれんが、今じゃ一人でラーメンでも作って食ってた方が楽!だなんて、贅沢な悩みだわよ、しかし・・・。


そんなアメリカでのクリスマスだが、くるみ割り人形のバレエは毎年楽しみ。
去年はコロナで中止となったが、今年はがっつりマスクをして行ってきたわ。


サンフランシスコバレエ団の若手たち。
(画像は拝借しました)



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