ベルサイユのばらを求めて (2)

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これまでのお話

ベルサイユのばらを求めて (1) - 旅立ち

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「死ぬまでに一度は訪れたい場所って、どこ?」

オカマ仲間と飲んでいると、時々そんな話題になる。

「アイスランドの温泉で、裸のオトコ達に囲まれながら、オーロラ見たいわねぇ」

「あたしは、ドイツのロマンチック街道で、ドイツ製"ソーセージ"、むさぼり食いたいわよ」

などと(下品な)夢を見るオカマもいれば、

「四国で八十八箇所巡礼、してみたいわ」

と真面目に答えるオカマもいる。

自分といえば、数年前までは即座に、

「エジプトのピラミッド!」

と答えていたのだが、それも去年の正月についに叶えられ、最近では両手で足りる程度の"死ぬまでに訪れたい場所”リストとなっていた。

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時差ぼけも抜けないまま早朝のパリを出発し、車はフランスの北西に向かって走っている。

その目的地は、長年自分の"死ぬまでに訪れたい場所”の一つであった、「モンサンミッシェル」である。

画像は拝借しました。

以前は、「天空の城ラピュタのモデルとなったって言われてる島なんだっけ?」くらいのイメージしかなかったモンサンミッシェルなのだが、行くと決めてから調べてみると、

大天使ミカエルのお告げで作られた礼拝堂はカトリックの巡礼地となり、百年戦争期には要塞としての役目を果たし、今ではユネスコの世界遺産にも登録されている (C)ウィキペディア

という何だかすごい場所だと知ることとなったのである。

車は途中、ジャンヌダルクの最期の地として知られる古都ルーアンを経由しつつ、パリから合計4時間程高速道路走ると、ついにそのモンサンミッシェルが見えてきた!

しかし・・・・、

あいにくの・・・、

雨・・・。

自分の(勝手な)予定では、上の画像のような夕焼けの空に美しく輝く島が見えてくるはずだったはずなのだがね。

それでも、遠くにその島が見えてくると、いい歳して逸る心で写真撮りまくりの中年観光ばばあ丸出しのあたしよ。

すごいぞ! ラピュタは本当にあったんだ!
(雨ですがね)

車を島外の専用駐車場に止め、そこから無料のシャトルバスで橋を渡り島に入る。


ラピュタにもモンサンミッシェルにも雨は降るわよねぇ、
と自分に言い聞かせつつ。

潮の満ち具合によっては、島全体が水に囲まれ完全な孤島となる、ということだったので、なるべく潮が高くなる日をネットで調べて選んで来たのだけど、雨でそれどころじゃなかったわ。

島内にある宿をとっておいたので、日が沈むのを待ちつつ、観光客の減った静かな島内でとりあえず「モンサンミッシェルビール」を飲んだり、お土産屋で買っておいたポストカードに親へのメッセージを書いたりして過ごす(島内の郵便局から投函できるらしいわ)。

雨が止むまで
モンサンミッシェルのビールで乾杯だよ。

雨が止まないので、ホテルの部屋のテラスで、
パリのスーパーマーケットで買っておいたワインを開けて乾杯だよ。
あたしゃ、モンサンミッシェルに酒を飲みに来たのか。

「修道院を前に、酒ばっか飲んでてもバチがあたるわよね」

と空が暗くなってきた頃に島の外に出て歩く。

ふと振り返ると、ライトに静かに照らされる島の美しさよ!

観光ツアーで来たほうが楽だったかもしれぬが、
夜景をみたくて、島内泊まりにしたのである。

最高のショーだとは思わんかね? (C)ラピュタ

そして、翌朝。

朝一番で島の頂上にある修道院を訪れて、無事にここに来れたことに感謝する。

静かな修道院で、
「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター気取りの自分。

島内の宿の部屋から外を眺めていると、空がだんだん明るくなってきた!

晴れた!空が!好きです! (C) 南野陽子

昨日の雨とはうってかわって、青空となったモンサンミッシェルを背に、雨が降る日もあれば、いつかはやってくる晴れの日があることを、自分の人生に重ねつつ(乙女!)、生きている間に、あとどれくらい”死ぬまでに訪れたい場所”に訪れることができるのか、考えていた…。



続く!









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