人生は小説よりも奇なり

仕事の合間にネットで高島屋のオンラインショップをチェックしていたら後ろから同僚に声をかけられた。

「あら、素敵なストール。いいじゃん」
「いや、母の日のプレゼント、そろそろ頼まないと配達間に合わなそうで。」
「いい息子じゃないの。」
「いやー、若い頃はくそババアとか言ったりして、悪い息子だったよー」

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中学や高校の頃は本当に親不孝息子で、母の作った夜ご飯に毎回文句を付けるのはもちろんの事、弁当を全部残したり、喧嘩して重い参考書を投げつけたり、母が心配して言う事も聞かずに夜遊びしたり。

それが自分も歳をとり、いつの間にか母が自分を産んでくれた歳も越すと、当時の悪態を本当に申し訳なく思うようになる。そして遠くに住んでいる以上、誕生日や母の日、また日本に休暇で戻ったときは出来る限り親孝行をしたいと思うようになった。

時々、わざわざ日本からドライフードの味噌汁だの、酒のツマミだの緑茶だのを荷物に詰めて送ってくれる。届いた時にその荷物を開ける度に、なんだか涙がでてくるわ!

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「今日は久々に映画みてくるよー 横浜でカレー食べてからねー」
仕事中、母から携帯にメッセージが入った。妹とカレー屋でカレーを食べている写真つきだ。
「カレー美味しそう! 気をつけて行ってきてねー!」

こんなたわいもないやりとりも大事に思う。

そして休暇で実家に帰って母に会い、母の背が縮んだ気がする度に、こういう時間が永遠に続く訳ではない事に気づく。

夜、妹からも携帯にメッセージが入った。
「今日、母ちゃんとカレー食べた後、映画みてきたよー 。 『人生は小説よりも奇なり』ってやつ。まあまあよかったー」

どんな映画かネットで調べてみると、自分も数年前に出張の機内でみた「Love is strange」という映画で、NYの同性婚をした老ゲイカップルの話だった。

すると妹から再びメッセージ。
「観終わった後に、母ちゃんが『あの子もアメリカで一人で寂しい思いしてなければ、相手が男でも全然いいんだけどね』って言ってたよん~」

!!!!!!

妹には前から何となく自分がゲイだとバレていたけれど、やっぱり母ちゃんにもバレてた!? 母は偉大!と思うと同時に、母の優しさと心遣いに、また涙が出てくるじゃないのよぉ!

えーん!

 「ゲイだけど、一人じゃないし幸せに暮らしてるから、母ちゃん心配しないでね」といつか話せる日が来るのかすら!?

この映画は、切ない終わり方でしたな。



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