帰りたい 帰れない
「無事に日本着いたよ〜!」 出発直前まで、3年ぶりの日本行きの準備をバタバタとしていた、同じくサンフランシスコに住むゲイの友人のK枝から、スマホに写真付きのメッセージが届いた。 写真は、成田空港の綺麗な青空で、水際対策で無事に入国できるか、だいぶ前から長い事心配していたK枝が、やっとその心配から解放されたのを、表しているようだった。 日本で何をするのかと問うと、高齢となった両親を、熱川温泉に連れて行ってあげるのだという。親孝行息子! 同じく近所に住むM男も、来月日本へ帰る航空券を購入したというし、会社の同僚はアメリカ人の旦那さんとお子さんを連れて、日本へ久しぶりに帰るのに、ビザを取得したり、パスポートを更新したりと、忙しそうにしている。 6月から海外からの入国受入制限を緩和すると発表されてからは、日本行きの航空券は直行便だとエコノミークラスでも30万円くらいまで値上がりしているようだが、それでも皆、もう長いことコロナで日本に帰れなかったことを考えると、大枚叩くわよね。 さて、そんな周りの人々の日本行きの話を聞いていると、やはり自分もなんとしてでも、久しぶりに日本へ帰りたいと思う。 しかし、母によると、父はワクチンは1回しか受けていないようで、また、近所の人たちの目がマスク警察、自粛警察のようにお互いを見張っているようだという話を聞くと、自分が海外から帰国することで、母が周りに気を遣うことになることも目に見えてわかるので、結局この夏の日本行きは、諦めることにしたのだった。 さて、日本に帰らないとなると、この夏の休暇は何をしようか。 「クロアチアに行きたい!」 我が家のN君が、またいつものごとく、突然なことを言ってきた。 確かに、コロナ禍の間、よく二人で、 ”前に行ったヨーロッパ旅行は良かったね〜” ”またヨーロッパ行きたいね〜” などと話していたものだから、確かに日本へ帰れぬのならば、ヨーロッパがいいかもしれない。 N君の話を聞くと、クロアチアの海辺の街ドブロブニクに行きたいという。 はて、名前は聞いたことがあるが、どんなところだったかな、と調べてみると、アドリア海沿いの、魔女の宅急便や紅の豚にでも出てきそうな、オレンジ色の屋根の家々が美しい街であった。(実際、舞台設定になったところとか?) サンフランシスコからはイタリアのローマを経由して行けるようなので、...