運命はこのように扉を叩く。
よく晴れた青空の日曜日。 「行ってきます〜」 と、朝から、我が家のNくんは、高校時代の友人とゴルフの練習に出掛けて行った。 今まで、ゴルフに興味もなかったN君だが、最近は自分のゴルフバッグも買い、熱心に練習を始めたようだ。 というのも、去年のクリスマス前、N君が彼の両親にクリスマスのプレゼントに何が欲しいか聞いたところ、家はもので溢れているから、欲しいものはない、何もいらないという返事だったというので、 「ものが要らないなら、”経験”をプレゼントしたらどう?」 と自分が提案したところ、ゴルフ好きのお父さんには、 "一人息子とゴルフワンラウンド招待券” を贈ることになったのだった。 (ちなみにN君のお母さんには、’息子と義理の息子(あたし)と行く、ワイナリーツアーの旅"券である。そういや、自分が小学生の頃は、よく母の日などに”肩たたき券”とか作って渡してたわよね・・・) というわけで、毎週のように友人たちとゴルフをしているお父さんと、対等にプレイできるよう、その日が来るまで日々練習に勤しむN君である。 ーーーーーーーーー さて、自分はゴルフもやらんし、N君もいないし、天気は良いが、オミクロンでジムやら何やらに出て行くのも怖いし、さて何しよか。 読みかけのまま積まれていた本に久々に手を伸ばしてみるも、これだけ天気が良いのに、家にこもっているとなんだかもったいない気がしてくる。 ふとスマホに手を伸ばし、SNSを見ていると、サンフランシスコ交響楽団の広告に目が止まった。 どうやら、今日の昼からベートーヴェンの第5番をやるという。 "久しぶりにシンフォニーも良いが、やっぱりコロナだしな" と思いつつも、そのウェブサイトなどをチェックしてみると、ホールの建物・劇場に入るには、ワクチン接種のほか、N95マスクの着用が必須で、布マスクや不織布マスクは不可という徹底ぶりである。 家から散歩がてら、シンフォニーホールまで歩けば良い運動にもなるし、たまには心への栄養が必要だわ、などといろいろと都合の良い理由をつけて、結局チケットを一人分、購入したのだった。 さて、今日の題目は、ベートーヴェンの「運命」とニールセンの「不滅」だ。 席につきホールが暗くなり、舞台袖から出てきた指揮者は、かなりのおじいちゃん・・・。 ”ちょ、ちょっと、じいさん、ベートーヴ...