うつむかず生きるために

毎日、コロナ禍の運動不足解消にと、仕事の合間にポッドキャストやラジオを聴きながら、散歩をしている。

そんなポッドキャストやラジオ番組の中でも、特に人生相談系を好んで聞いているのだが、今日はそれを歩きながら聴いていて、突然涙があふれ出て止まらなくなったのであった。

若き美しき青年が涙を流していたのならともかく、四十過ぎのおっさん(あたし...)が歩きながら、ひっくひっくと泣いているのは、映像的にもキツいわな。

すれ違ったジョギング中のおばちゃんには不思議顔をされるし、あるいは、すれ違った若いオカマには、"いい年をしたオカマがなんかドラマをやらかしたか?"くらいに、失笑されたような気もする(自意識過剰!)。

さて、その中年オカマを泣かせた人生相談というのは、日本の15歳の少年からのお便りであった。

「自分がゲイであることを、親から否定されている」

「孫の顔が見たかった、と言われる」

「認められず苦しくて、涙が止まらない」

「もう死にたい」

そんな相談内容のお便りで、まだ中学生のその少年の心の傷と苦しみを思うと、自分自身の悩める思春期を振り返ってか、あるいは今も心のどこかにある自分の親への申し訳なさが重なったからなのか、中年ゲイの自分も涙せずにいられなかったのであった・・・。

さて、その翌週。

そのポッドキャスト番組には、その15歳の少年の悩みのお便りに対し、リスナーからたくさんの応援メッセージが届いたということで、そのいくつかを紹介していた。

東京に住む会社員や大学生、ニュージーランドのレズビアンの娘を持つ母親の方、スペインに住むトランスジェンダー(MtF)の方等など、日本国内外の人々から、

「同じような辛い経験をしました」

「親に理解してもらえなくても、これからあなたを受け入れてくれる人と絶対に出会えるから」

「今は辛くても、あと数年もして社会に出たら、もっと自由になれるからね」

「今はパートナーを見つけて、幸せに暮らしています」

「だから死なないで!」

と、お互い顔も知らぬ間で、15歳の少年への、彼ら自身の経験を踏まえた心強い応援メッセージだったのだ。

そして、それをまた散歩中に聴いていたもんだから、また思わず涙する中年オカマだよ(涙腺弱すぎて)。

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自分がアメリカに住み始めた頃、或いは今でも、ゲイの仲間たちと酒を飲んでいる席で、

「あんた、なんでアメリカに来たの?」

「どうしてサンフランシスコ選んだのよ?」

などという話が出ると、

「そんなの、いいオトコ見つけて、幸せになるために決まってんじゃん」

「あたしも、大金持ちの石油王見つけて、お嫁さんになるために来たんだけど」

「あんた、石油王なら、アメリカじゃなくて、中東行かなきゃだめじゃん」

などと、半分冗談でわぁわぁと騒ぎながら、大笑いしたものである。

今それを振り返ると、それもあながち冗談じゃなかったのかもしれぬ、と思う。

先のポッドキャストで、パーソナリティのジェーンスーさんが、

「やっぱり、同性愛の人が幸せに暮らしてます、普通の暮らしができてますっての、海外からのお便りのほうが多いよね。」

とコメントしていた。

自分も、英語を話せるようになるため、という目的でこの国にやってきたつもりだが、日本でゲイとして生きることへの息苦しさを感じていたから、男同士が普通に手をつないで歩いているこの街に惹かれたのは事実である。

もちろん、自分の日本に住む友人の中にも、長年のパートナーと幸せに暮らしている人は何人もいるし、パートナーはいなくともゲイとしての人生を謳歌している人もいっぱいいる。

だが、その一方でこの15歳の少年のような悩みを持つ若者は、まだまだ多いのね、と今回のこのポッドキャストで気づかされた訳なのだ。

アメリカでは同性婚が2015年に合法化されて以来、LGBTQの若者の自殺率が劇的に減少したという。

自分も微力ながら、若きLGBTQのサポートをしている団体に募金したりしている(2年前の結婚式の時も、ギフトはいらないのでかわりにこの団体に募金して~と呼び掛けたり)。

そして、この15歳の少年(ささしょう君)のような悩みを持つ若者が、少しでも減る日が来ることを信じて・・・。

ささしょう君、サンフランシスコからも、おっさん(おばさん)が応援してますよ!


同ポッドキャストで、全国各地の中年おばさん皆でヒヤシンスを育てよう、
というのをやっていたので、自分も勝手に参加している。
だいぶ芽が出てきた。


屋内のヒヤスンスも、毎日すくすくと育っとる。
毎日仕事の後に、酒を片手にヒヤスンスちゃんを愛でる。
そして今夜の音楽は、TMNの「Seven Days War」だよ。


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