とめて夏を水晶(プリズム)色に (1)
わが職場にキャンプ狂の上司がいて、毎年夏になると、繁忙期だろうか何だろうが、週末になるとキャンプをしに山に籠ってしまう人(日本人)がいる。
その際の写真をその上司から何度か見せてもらって、そのあまりにも美しい自然に囲まれた風景に、
「自分もいつか行ってみたいです~!」
「こんな景色の中で酒飲んだら、おいしいでしょうね~。」
などと、口では言いながらも、
"あんた、テントだと身体中痛たくなって寝れないらしいわよ~?"
"場所によっては、トイレもシャワーもないんだから、あんたには無理!"
"時々、クマがでるらしいわよ。あ、でもあんたは、マッチョなクマ(男)になら、襲われたいタイプか!?"
などと、以前からオカマ仲間に脅されたからか、
この40+年間生きてきて、いわゆる、自分でテントを張り、飯を作って、自然の中で過ごす、というものを経験したことがなかったのである。
(やったとしても、せいぜい小奇麗なホテルやロッジの敷地内にテントを張って寝泊まりした程度だ。)
しかし、このご時世でどこへも旅に出られず、せいぜい週末に日帰りで近場のワイナリーかピクニック、はたまた市内を散歩する程度だと、やはり心身を100%切り替えてリフレッシュできないものである。
とはいえ、このご時世、飛行機に乗ったり、ホテルに泊まるのは抵抗がある。
"パンドラの小箱を開けるように~”
と30年以上前の夏に、南野陽子が歌っていたが(最近はナンノ、『半沢直樹』に出演してるとかで・・・。観たい‼)、
それならば、人との接触もほとんどない自然の中で、
「キャンプ、やっちゃおうか!?」
と、オカマ仲間の脅しは聞かなかったことにして、ついに自分もパンドラの小箱を開けることとなったのであった(大げさ)。
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とはいえ、キャンプ初心者の自分である。
まず、何を準備したらいいのかも、手探り状態である。
ネットで、
"キャンプ 初心者"
"キャンプ 持ち物"
などと検索すると、親切に事細かに説明されたサイトがたくさん出てくる。
それらによると、とにかく「寝床」と「メシ」をなんとかすれば、あとはなんとでもなるようである。
早速オンラインでテント、寝袋、キャンプ用のフライパンと皿・コップのセット、小ぶりのクーラーを購入したら、あとはキャンプ場選びだ。
カリフォルニアには、それこそサンフランシスコから1時間もかからぬところから、5、6時間かけて入る山奥まで、あちこちに公共のキャンプ場がある。
今回は、
「でも、どうせ行くなら、空気も水もきれいなところがいいなぁ。」
ということで、クリスタルガイザーの産地の1つでもある、シャスタ山近辺の湖(キャッスルレイク)のそばのキャンプ場を目指すこととなった。
但し、多くのキャンプ場が予約を取っておらず、しかもこのご時世で皆考えることは一緒で、今はどこのキャンプ場もほぼ毎日満室だという。
「もしキャンプ場がいっぱいだったら、ホテルなりモーテルなりに泊まればいいじゃん」
と、N君はいつものようにお気楽であるが、
「目的はキャンプなのに、ホテルに泊まる意味ないじゃないの。そもそもホテルだってほぼ満室らしいし!」
と出発前から、すでに半喧嘩状態である。
さて、どうなることやら・・・。
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霧の木曜日。
朝の5時に起きて、6時過ぎには車に荷物を詰め込んだら出発である。
久々の平日休暇で、仕事のメールが少々心配だが、既に有休もマックス近くまで溜まっているのだから、誰も文句は言うまい・・・。
今回の目的地のシャスタ山は、3年程前に友人の40歳の誕生日祝いにボートを借りて何日か過ごしたが、それ以来訪れていなかった。
以前、オカマ仲間のK枝には
「シャスタはね、神聖な山だから。
山の神様が呼んでくれないと、辿り着けないんだよ・・・。」
と、少々ぶっとんだことを聞かされていたものである。
さて、車を何時間か北へ走らせると、やっと霧と雲の空から解放され、
晴れ間が見えてきた。
そして、車の両面の景色が青々と茂った針葉樹に変わった頃、
目の前に突然シャスタ山が現れる。
富士山にも似ている気がするシャスタ山よ。
さて、今回のお目当てのキャッスルレイクにあるキャンプ場に到着すると、6か所あるキャンプスペースの木にそれぞれ番号札がかかっている。
予約はできないので、当日その場に行き、場所が空いていればそこを使えることになる。(但し、最長3日間までだ。)
キャンプ場に入ってすぐのところにある6番の番号札のかかったスペースには、すでにカップルが木のテーブルにテーブルクロスを敷いて、楽しそうにブランチの準備をしている。
その隣の5番スペースは、上半身裸の若い男が、美しい身体を惜しげもなくさらして日光浴をしている(ムフ)。
その隣の4番スペースは、ひと気は無いが4、5人は入れそうな立派なテントが張ってある。
そして、その裏側の1番スペースも、2番スペースもすでに車が止まっていて、
「やっぱり、今回はモーテル泊まりなのね・・・」
と、肩を落としつつ、キャンプ場の出口に戻ろうと右折すると、
その先にあった3番スペースは、テントも車もないでないの!
他と比べると、小さなスペースだが、すぐ脇には小川が静かな音をたてて流れているし、素敵でないの!
どうやら、今回はシャスタの山の神が味方をしてくれたようだ(なんのこっちゃ)。
というわけで、何とか無事に初心者キャンプの初日を迎えられたのであった!
(初日の続きは動画にて。)
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