不意に悲しみはやってくるけど 仲良くやってみせるわ
「ちょっと、どうしちゃったの!?」
片足を引きずりながら、カストロの飲み屋の入り口に現れた自分を見つけて、オカマ飲み仲間のK枝が声を上げた。
「今、家から歩いてくる途中に、突然すっころんで足とんでもない方向にひねっちゃったのよぉ。もうなんなの・・・」
日曜の夕方、たくさんの男達が集まるバーの中を、爺さん(婆さん?)のように足を引きずり歩く、情けない中年オカマの自分よ。
最近、仕事や例の結婚式のあれこれやら、家の中でも外でもストレスが続いているからか、血圧もうなぎ上りで、漬物石でも置いたかのように胸のあたりが重く、せめて血圧下げるために運動しましょと家から飲み屋に向かって歩いてきたら、この始末である・・・。
とりあえず頼んだジントニックの氷を、ひねった足の靴下に忍ばせて、応急処置をするも、向かいに座っていたいいオトコ達が、このオカマは何やってんだか、と冷たい視線だった気がするわよね(被害妄想)。
「そういえば、この間久しぶりに鍼うってもらってきたけど、身体の痛みなくなって調子よくなったよ。あなたもその足引きずって、行って来たらどう?」
とK枝から提案を受けるも、この40年の人生で一度も鍼や灸を経験したことがなく、ましてや注射針など見るのも苦手な自分である。
「いやよ、あたし針とか、こわいもん・・・」
「40過ぎたババアが、何言ってんの。身体の痛みだけじゃなくて、血圧やストレス、鬱々とした気分にも効くらしいよ~」
---------------------------------------------
翌週の土曜日。
怒涛の1週間の仕事のストレスで、睡眠もままならないげっそりした顔で、今だに痛む足をひきずって、K枝のすすめる鍼治療院を訪れた。
とにかく身体中、心身が弱っている気がして、藁をもすがる気持ちでの決断である。
扉を開くと優しそうな日本人の女の先生の迎えられた。
「まずは、脈を診させてくださいね。
・・・
・・・・
・・・・・相当元気がなくなってますね。身体が生きる勢いをなくして、どうでもいい~と思っちゃってるみたい。睡眠もちゃんととれていないです。」
"ひゃだ。脈だけで、そこまで見破られるの?”
確かに、ここ数週間のあまりのストレスに、睡眠不足もそうだが、とにかく心に元気がなく、死んだ目をしていると友人に指摘されたばかりであった。
「今日は体全身に施行して、元気になってもらいましょう」
渡された患者服に着替え、ベッドの上にうつ伏せになる。
"これが、マッチョないいオトコの先生だったらなぁ、むふふ"
などと、若い頃や、元気がある時は思ったかもしれぬが、今はそんなんより、この先生の優しい声のほうが、心に沁みる。
「高血圧はね、フラックスシードがいいですよ。あとはね、痩せましょう!(ぎゃ!) あとはストレスね~」
「とにかく、仕事のプレッシャーとストレスがすごくて、辛いんです~」
「あら、昔はわたしもあなたと同じ仕事をしてたんですよ~。ほんとにストレスな仕事ですよね~。続けてたらわたしも今頃患者側ですよ。今、仕事変えたいって思ってるんじゃないですか?」
「え! やっぱりわかります~?」
などと話をしているうちに、ちくちくと背中や足に鍼がうたれていく。
恐れていたほど、痛くもなくむしろ心地よい。
「ちょっと電気流しますね~」
という先生の声とともに、部屋は暗くなり、背中や肩の鍼からかすかに電気の振動を感じていると、いつのまにかうとうとしていた自分である。
その後、仰向けになり腹や足にも鍼をうってもらい、あっという間に1時間が過ぎていった。
鍼の効果に半信半疑だった自分だったが、着替えようと立ち上がってみると、なんとなく身体も心も軽くなった気がする。そして何より、引きずってた足も痛みが引いているようよ?!(ほんとかいな)
「先生、ありがとうございました。」
「明日以降、ちょっとずつ元気になっていきますからね。あ、治療後は、別にお酒飲んでも大丈夫よ~」
"え! なんで、酒飲みたいってわかるの。 先生、あたしの心、読みすぎ!"
と心の中で慌てつつも、鬱々とした雨の中、家に帰ったら焼酎でも飲もうかな~と、ちょっと軽くなった心身で家路についたのだった。
K枝ちゃん、ありがと!
片足を引きずりながら、カストロの飲み屋の入り口に現れた自分を見つけて、オカマ飲み仲間のK枝が声を上げた。
「今、家から歩いてくる途中に、突然すっころんで足とんでもない方向にひねっちゃったのよぉ。もうなんなの・・・」
日曜の夕方、たくさんの男達が集まるバーの中を、爺さん(婆さん?)のように足を引きずり歩く、情けない中年オカマの自分よ。
最近、仕事や例の結婚式のあれこれやら、家の中でも外でもストレスが続いているからか、血圧もうなぎ上りで、漬物石でも置いたかのように胸のあたりが重く、せめて血圧下げるために運動しましょと家から飲み屋に向かって歩いてきたら、この始末である・・・。
とりあえず頼んだジントニックの氷を、ひねった足の靴下に忍ばせて、応急処置をするも、向かいに座っていたいいオトコ達が、このオカマは何やってんだか、と冷たい視線だった気がするわよね(被害妄想)。
「そういえば、この間久しぶりに鍼うってもらってきたけど、身体の痛みなくなって調子よくなったよ。あなたもその足引きずって、行って来たらどう?」
とK枝から提案を受けるも、この40年の人生で一度も鍼や灸を経験したことがなく、ましてや注射針など見るのも苦手な自分である。
「いやよ、あたし針とか、こわいもん・・・」
「40過ぎたババアが、何言ってんの。身体の痛みだけじゃなくて、血圧やストレス、鬱々とした気分にも効くらしいよ~」
---------------------------------------------
翌週の土曜日。
怒涛の1週間の仕事のストレスで、睡眠もままならないげっそりした顔で、今だに痛む足をひきずって、K枝のすすめる鍼治療院を訪れた。
とにかく身体中、心身が弱っている気がして、藁をもすがる気持ちでの決断である。
扉を開くと優しそうな日本人の女の先生の迎えられた。
「まずは、脈を診させてくださいね。
・・・
・・・・
・・・・・相当元気がなくなってますね。身体が生きる勢いをなくして、どうでもいい~と思っちゃってるみたい。睡眠もちゃんととれていないです。」
"ひゃだ。脈だけで、そこまで見破られるの?”
確かに、ここ数週間のあまりのストレスに、睡眠不足もそうだが、とにかく心に元気がなく、死んだ目をしていると友人に指摘されたばかりであった。
「今日は体全身に施行して、元気になってもらいましょう」
渡された患者服に着替え、ベッドの上にうつ伏せになる。
"これが、マッチョないいオトコの先生だったらなぁ、むふふ"
などと、若い頃や、元気がある時は思ったかもしれぬが、今はそんなんより、この先生の優しい声のほうが、心に沁みる。
「高血圧はね、フラックスシードがいいですよ。あとはね、痩せましょう!(ぎゃ!) あとはストレスね~」
「とにかく、仕事のプレッシャーとストレスがすごくて、辛いんです~」
「あら、昔はわたしもあなたと同じ仕事をしてたんですよ~。ほんとにストレスな仕事ですよね~。続けてたらわたしも今頃患者側ですよ。今、仕事変えたいって思ってるんじゃないですか?」
「え! やっぱりわかります~?」
などと話をしているうちに、ちくちくと背中や足に鍼がうたれていく。
恐れていたほど、痛くもなくむしろ心地よい。
「ちょっと電気流しますね~」
という先生の声とともに、部屋は暗くなり、背中や肩の鍼からかすかに電気の振動を感じていると、いつのまにかうとうとしていた自分である。
その後、仰向けになり腹や足にも鍼をうってもらい、あっという間に1時間が過ぎていった。
鍼の効果に半信半疑だった自分だったが、着替えようと立ち上がってみると、なんとなく身体も心も軽くなった気がする。そして何より、引きずってた足も痛みが引いているようよ?!(ほんとかいな)
「先生、ありがとうございました。」
「明日以降、ちょっとずつ元気になっていきますからね。あ、治療後は、別にお酒飲んでも大丈夫よ~」
"え! なんで、酒飲みたいってわかるの。 先生、あたしの心、読みすぎ!"
と心の中で慌てつつも、鬱々とした雨の中、家に帰ったら焼酎でも飲もうかな~と、ちょっと軽くなった心身で家路についたのだった。
K枝ちゃん、ありがと!
雨の週末のサンフランシスコ。
止まない雨はない。
あした天気にな~れ。
コメント
whatと申します。
最近サンフランシスコについて調べているところ回り回ってこちらにたどり着きました。
飾らずに日々の生活をつづっていて、その中に昭和の香りを漂わせつつ我々オカマのあるあるがてんこ盛りでファンになりました。(笑)
今回は心も体も疲れはててるようで。。。
でも針をきっかけに上向きになるといいですね!
またのアップを楽しみにしてます。
令和になっても、いまだに昭和から抜けきれないオカマの自分で
す・・・。
サンフランシスコを調べていたということは、近々、旅行でいらっしゃるのでしょうか? ここ数日雨が続いていますが、過ごしやすいよい季節です。(あと数週間で、街は虹色になりますよ!)
自分は、気分転換に、来月当たり、久々に日本に帰ろうかと企んでます。でも、もうすぐ梅雨入りかな。。。
(笑)
まだ全然決まってないんですが、今年後半あたりでサンフランシスコ行けたらイーな~って考えてるところです。
今年の梅雨入りは例年並みかちょっと早いかみたいですよ。6月半ば後半からが関東のようです。samuraiSFさんは関東でしたっけ?きっとブログで書かれてるのかもしれませんが、ブログが楽しすぎてもっと!もっと!!と餓鬼のように飛び付いて数日で全部読んでしまったので詳細頭にはいってない。。。(笑)
都内とかに来てすごーくお暇な時間あったらでいいので会ってリアルSFのことを聞けたらうれしいです。自分は神奈川です。
本当、昭和が一番落ち着きますね・・・!
サンフランシスコには、秋にもゲイのイベントがいくつかあります。少々趣向が異なるイベントのようですが。。。いずれにしても、年中秋のような気候なので、ご旅行中も過ごしやすいと思います。
自分も来月当たり、久しぶりに日本に帰って親の顔でも見てこようかと思っているのですが、まだ何も航空券も予定もたっておりませぬ。。。
自分も神奈川なので、いつかお会いできたらいいですね~!