木漏れ日がライスシャワーのように (4)
==================================================== これまでのお話 木漏れ日がライスシャワーのように (1) 木漏れ日がライスシャワーのように (2) - 家族の心模様 I 木漏れ日がライスシャワーのように (3) - 家族の心模様 II ==================================================== 6歳年の離れた兄とは、幼い頃は本当に仲が悪く、当時は口を聞いた記憶も殆どないほどだった。 当時の兄は、短ランにボンタンという典型的な恰好で学校に通うという、いわゆる”ヤンキー" (死語?)であった(何度か学校から連絡が入り、母が校長室に呼ばれて行ったこともあったわよ!)。 一方、自分はゲーム・アニメ大好きで吹奏楽部所属という、毎週水曜は湘南で暴走族(もどき)の活動をしていた兄とは正反対の性格だったから、もちろん気が合うはずもなく、兄が家にいるときは、兎に角、兄の気に障らぬよう、殴られぬよう、気を消して生活していたものである。 その後、自分が高校に入る頃には、兄は家を出て、それ以来長いこと顔を合わせることも連絡を取ることもなかった。 「お兄ちゃんのところ、子供できたらしいわ」 大学を卒業し、東京でサラリーマンをしていた時に、母からそんな連絡が入った。 兄がいつのまにやら結婚したことは聞いていたが、兄に子供ができるというニュースは自分のことのようにうれしかったのを覚えている。 そして、それがきっかけとなったのか、あるいは自分も兄もそれなりに年をとり角がとれてきたからなのか、自分が働いていた会社が出していた育児の本を兄のお嫁さんに送ったりしているうちに、兄と自分の関係は、徐々に雪解けとなり、やっと普通に話をすることができるようになったのであった。 その後、兄がその奥さんと離婚したあとも、自分が日本に帰る度に、仕事の都合を合わせて甥っ子や姪っ子をつれて、顔を出してくれている。 -------------------------------- 「兄はどうするの?」 母と妹とランチをしているときに、妹が兄に今回の結婚のことを伝えるのか問うてきた。 「お兄ちゃんには、結婚の事、言わないほうがいいかもしれんね