8月の風を両手で抱きしめたら
「今週末会社の同僚と久しぶりにWaterbar行ってくるよー」
8月の夏の終わりに、この街に住む同業女子のM子からLINEが入った。
Waterbarは、サンフランシスコ湾に面するエンバカデロ通り沿いにあるシーフードレストランで、店の席からはゴールデンゲートブリッジが一面に見渡せる。
しかも、ランチタイムから夕方までの間は、生牡蠣が1つにつき1ドルちょいで食べられるので、コロナ前はよく”女子会”と称して皆で、泡ちゃん片手に生牡蠣をたらふく食べたものである。
「いいな~。あーた、生牡蠣いっちゃうつもり?!」
とM子に問うと、
「もちのろん!」
と即座に返事が来た。
デルタ株やら何やらで、また引きこもり生活に戻ってしまい、平日は殆ど外に出ない生活である。
こうやって、週末だけでも同僚や友人と、屋外ではあるものの、うまいものでも食べて、日々のストレスを発散しないと、メンタルがやられてしまいそうだ。
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土曜日の朝。
久しぶりに真夏のような、暑さである。
そんな暑い夏の日は、ーM子に触発されたからかー、無性に、冷えたワインと生牡蠣にレモンをしぼって食いたい気分である。
"あーん、M子のせいだわ。こうなったら自分も牡蠣食いに行ってやる!"
と中年オカマの食い意地でシーフードの店を探すも、手ごろな値段で生牡蠣を出す店は、どこも既に予約で埋まっている。
近所のスーパーマーケットにも、生牡蠣を売ってる店はあるにはあるが、値段も高く、いつ入荷したものかも怪しくて食中毒も怖くて手が出せない・・・。
ふと、同じくサンフランシスコに住むブログをやってる方が、時々ファーマーズマーケットで新鮮な牡蠣を買ってきて家で生牡蠣を楽しむという、美味しそうな記事を載せていたのを思い出した。
"今夜は我が家も、家で白ワイン&生牡蠣大会、やっちまおうか!"
サンフランシスコから北へ車で1時間少々行ったところに、トマレスベイやボデーガベイといった、牡蠣やその他魚介で知られる海沿いのエリアがある。
今日はそのボデーガベイに、新鮮な牡蠣ちゃんたちを買い求めに行こうじゃないの。
湾から少し離れたところにあるオイスターの専門店 この古いボートが目印よ |
店の中では、クマモトやミヤギなどの色々な種類とサイズの牡蠣を売っていたので、お店のお姉さんにお勧めを聞いて、氷を詰めた袋にレモン数個と一緒に詰めてもらう。
ふと隣をみると、あとから入ってきた他のお客さん(いい男・・)は、どうやらその場で食べる用に、生牡蠣やらグリルされた牡蠣やらを色々と注文している。
「家に帰るまで、待ちきれない・・・」
「うちらもちょっと、いくつか頼んで、ここで食べてみよか・・・」
「今夜の生牡蠣大会の前に、味見しとかないとね・・・」
と、そのガタイの良いいい男を横目に、N君とぼそぼそと相談し、食うことだけが楽しみになりつつある中年おっさん二人、結局家に帰る前にグラスのワインとグリルしてもらった牡蠣で、急遽ピクニックとなったのだった(ダイエットもへったくれもねーわな・・・)。
店の裏で牡蠣やら海老やらをその場でグリルしてくれる |
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さて家に戻ったら、早速、生牡蠣大会の準備である。
殻剥きはN君に任せることにし、自分は冷蔵庫で冷えていたワインを開け、レモンやら前菜の野菜を切ることにする。
Youtubeなどで牡蠣の殻剥きのコツなどは見つけられるようだが、N君は厚手の手袋をはめ、自己流で慣れない手つきで開いていく。
以前、サンフランシスコ市内の牡蠣の店で、 専用のナイフと手袋を買っておいたのが役に立った |
泡ちゃんが欲しかったが、冷蔵庫になかったので 今夜は白ワインで |
早く食いたい! 牡蠣はRの付く月に食べろというが、今、8月(August)よ・・・。 |
なんだか準備で額に汗をかきながらバタバタと忙しなく、店で頂くようにシャンパン片手に優雅に(?)とはなかなか行かないが、こうやって家でやるのも楽しいものである。
コロナの状況が長引いているが、こうやって家で今までやったことのなかった事を、いい年して試していくのは、なかなか良い経験なのかもしれない。
そういえば、去年はコロナ禍でベランダ焼肉大会も何度かやったのを思い出した。
次は家でメシ、なにを試そうか。
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