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時々 ふっと思い出す Precious memories

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心が疲れている時や、心配事が頭から離れずグルグルしている時に、 「14秒間、今までの人生で楽しかったことや幸せを感じたことを思い浮かべる」 というのが効果的らしい、とどこかの記事で読んだのを思い出した。 当初それを読んだ時は、 ”そんなんで、気分が晴れてストレスが軽くなるなら、誰も苦労してねーわよね” と内心まったく信じていなかったのだが、 このコロナ禍やら何やらで、ここのところずっと心のMPがかなり下がっているのを感じていたので、騙されたと思って実践してみることにする。 とはいえ、人生で楽しかったことや幸せだったことって何と突然問われても、すぐに思い出せない中年オカマである。 それでも、iPhoneやgoogle photoに保存してある写真を眺めていくと、数年前に行ったヨーロッパ旅行の写真やら、シャスタ山のキャンプやら、去年日本で再会した家族や友人との写真やらが出てきて、随分懐かしい気分になってきた。 すっかり忘れていてここに載せもしなかったが、今年コロナ禍前にメキシコのプエルトバジャルタに小旅行に行った写真も出てきたわ。 例年なら、どんなに仕事が忙しくとも、 "この山乗り越えたら、年末は日本帰ってゆっくり温泉でも入りにいって、うまいもん食って・・・" などと旅行を目標にがんばれたが、このご時世で今年はそんな予定もない。 それでも、こうやって昔の写真たちを眺めていたら、ちょっと元気になってきた気がする(気のせいかすら)。 ーーーーーー 母から、LINEでメッセージが届いた。 「伊藤比呂美って人のエッセイ、面白いから読んでたら、サンフランシスコの市庁舎で娘さんの結婚式やったって話が出てきたわ」 家族がはるばる日本から来て、この街の市庁舎での結婚式に参加してくれたのも、気がつけばもう10ヶ月も前の話である。 「ほんとう良い旅だった。今年の楽しかったことっていったら、あんたの結婚式だけだわ。」 母や家族にとっても相当なストレスだったに違いないサンフランシスコ滞在も、こうやって時々振り返ってくれている。 そしてそれが、こんな時世でも、楽しい記憶のひとつとして思い出してくれるのなら、自分にとっても本当に幸せなことである。 と、またも密かに涙する自分なのだった。 オカマがやたら集まる、メキシコのビーチタウン プエルトバジャルタ。 失った夢だけが、美しくみ

どこかで掛け違えてきて 気が付けば一つ余ったボタン

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いつものようにバタバタと仕事をしていると、家の外で清掃車の音が聞こえ、ふと時計をみると既に朝の4時である。 まだ暗い空には、遠くに金星が見える。 明日もあるから、いい加減そろそろ寝ないと老体は持たない、と思いつつも、 “寝たら、また数時間後には朝になって仕事なのよね” と思うと、すぐに寝床には向かえず、 “とりあえず30分だけ” と、台所に向かい、安物の焼酎の水割りを作る自分である。 --------------------------------------- 日中はアメリカ国内のクライアントとやり取りをし、夕方になると日本が朝になるから東京オフィスと電話会議、そのあとシンガポールのクライアントに何通かメールをしていたら、ロンドンから問い合わせが入り、その対応をしていたら、気がつけば夜中の3時、4時である。 こんな事を友人に言ったならば、 「ふーん。あんたは、なんだか世界を股にかけて、国際派の仕事してんのねぇ。」 「へー。あんたの仕事、一昔前のトレンディドラマの主役のオンナの相手のオトコ(オカマ?)みたいな設定か」 などといった返事が返ってくるかもしれぬ(こねえか)。 実際は本当に地味な仕事内容で、仕事量ばかりが多くて、対クライアントの仕事であるから、無茶振りな依頼が来る事もあり、ストレスでどんどん人が辞めていく、側からみてもブラックな職場である。 この数ヶ月は、本当にしんどい日々で、朝の9時前にコンピュータの前に座り、気がつけば夜中(朝か)の5時になることもしばしば。 クライアントとの時差のせいもあるが、それよりもこの仕事量が半端ないので、日本人の同僚ともいつも、 「もう無理ー」 「まじ辞めたいー」 「もうHPもMPもゼロー」 などと言った愚痴が長年口癖になっている。 元々の大学での専攻も、前職の仕事内容も、今の仕事と一切関係なく、自分が興味のある分野でも業界でもないのだが、この国で働くためにビザ・グリーンカードのサポートをしてくれるところを、と探していたら今の会社が拾ってくれたのであった。 同業女子のM子が言うように、嫌なら次を探せばよいのだろうが、そもそも次に自分が何をしたいのかもわからず、40過ぎの中年オカマの自分が運良くどこかに拾ってもらえても新しい環境でやっていけるかしらん、などとウダウダ言ってるうちに時だけが過ぎていくのであった。 —————————