虹の向こうへ
朝、会社のエレベーターに乗り込む度に、疲れた顔に伸びきったボサボサの髪の毛の自分が鏡に映り、思わず目をそらす。 弛んで浮腫んだ顔はどうにもならんが、せめて髪でもさっぱりしなきゃと、いつもの床屋に土曜日朝一番で予約を入れた。 そして、土曜日。 床屋のガラス張りのドアを開けたとたん、 「Happy Pride Month!」 と、いつも自分を担当してくれているいつもの陽気なお兄さん(オネエさん?)が、笑顔で迎えてくれた。 「久々に来て見たら、随分いいカラダになったね!」 「あたりまえよぉ、月末のプライドに向けて、バキバキのマッチョにならなきゃ!」 などと担当のお兄さん(オネエさん!)と、たわいもない会話をしながら、久々に訪れたその床屋の店内を見渡すと、花も壁の飾りもすべて虹色である。 今年もこの季節がやってきたのだ。 ——————- 街中が、虹色に染まる6月。 この時だけは、街中が自分たちをサポートしてくれているような心強い気持ちになれる。 いつものスーパーマーケットも 会社の近くの銀行でも ジム帰りの道にある服屋も 東京レインボープライドをはじめ、日本でもそんな動きがどんどん拡大してるという。 自分が十数年前東京で学生やサラリーマンをしながら、こっそり(?)オカマライフを送っていた頃には、思いもしなかった変化が、実際に確実に起こっているようだ。 髪を切った帰り道、そんな事を思いながら虹色の街を歩いていたら、髪だけじゃなく心も軽くなってきたわ! 会社のビルには ニューヨークプライドの広告。 Pride50周年だ。