深夜特急

この夏は、仕事の一プロジェクトが数ヶ月遅れたこともあって、休暇という休暇を取れずに終わろうとしている。

「趣味は旅行です!」とか胸を張って言っている割りに、結局大した旅行もできていない自分。

せいぜい、会社への行き帰りに、もう何度も繰り返し読んだ沢木耕太郎氏の「深夜特急」を久しぶりに読み返し、世界旅行を夢見ているくらいだ。

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クライアント先からの会社へ戻る帰り道、助手席に座りながら、車を運転する大ボスの話を聞いていた。

40代半ばの彼女は台湾出身で、当時は男社会の業界で、若くして会社代表のひとりとなったやり手である。

「30代の頃は『30代のうちにやりたいことリスト』っていうのがあったんだけどね。結局仕事やら何やらが忙しくて全然達成できなかったら、そのリストをそのまま『40代のうちにやりたいことリスト』に繰り上げちゃったわ!」

と笑って言う。

オーストラリアのグレートバリアリーフでダイビングをするのが、目下の目標という彼女は、毎日夜中まで働いているというのに、疲れを感じさせない。

さて自分の『30代にやりたいことリスト』は何だったっけ?と振り返って見ると、結局その殆どを達成できずにいることに気づく。

- 古代ギリシャの遺跡を巡り、サントリーニ島の海辺で過ごす (乙女!)

- ショパンの「革命」を最後まで弾けるようになる ( 小泉今日子の"少女に何が起こったか"よ!)

- スカイダイビングで空から地上へ飛び降りる (いい男のインストラクターのお兄さんと!)

- 松田聖子と中森明菜のディナーショーに行く (今年の年末も明菜のディナーショーあるらしい。行きたい!)

- 死ぬまで一緒に居れるような人と結婚 (わー!?)

などなど・・・。

彼女の言うとおり、30代にできなかったことは、そのまま『40代のうちにやりたいことリスト』に繰り上げてしまおう。

40代を過ごして、「やりたいこと」や「できること」が変わったならば、リストを更新すればいいのだ。

そう思ったら、40代も50代も何だか楽しみになってきたわ。

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10代、20代はじめの、学生の頃に読んだ沢木耕太郎氏の「深夜特急」は、若くして世界中を旅する沢木青年の行く先々の経験を、自分で経験するかのように読んでいた。

今、40歳を目前にして改めて読んでいると、沢木青年の行く先々の経験よりも、沢木青年が旅先で感じたことや、"人生とは"と悩み考えていくことに、より興味を持って読んでいる自分に気づく。

10年後にまた読み返したら、また違った視点が見えてくるのかしらね。






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