フレンチランドリー (1)

「40歳の誕生日、どうすんの」

とここ何ヶ月か友達に聞かれる度に、

「別に何もしないわよ。39も40も一緒だし。何かすごいことを成し遂げたわけでもないし。」

などと答えていたのだが、

7月に入り、あと3ヶ月ちょっとで40になるとふと気づき、急に背筋を伸ばして今一度考えてみる自分である。

先に大台に突入した友人達の誕生日の迎え方を思い出してみると、

ハーフムーンベイの海辺の家を借り切ってワンコと静かに過ごしたり、

ボデガベイの太陽の下アウトドアで大勢の友人と牡蠣を食べながら大騒ぎして過ごしたり、

サンフランシスコ市内の人気の美味しいイタリアンの店でワインを傾けながら親しい人たちと語りあって過ごしたりと、

40歳の誕生日の過ごし方も様々だ。

さて、自分はどう過ごそうかしらん?

自分のために大勢の人を呼んでお祝いしてもらいたいなどという気は更々ないし、ハワイやメキシコのビーチで静かに過ごすのもいいが仕事のスケジュールもあるから厳しそうだ。

でも、何もしないというのも、ちと寂しい。

同じくこの10月に40を迎える元同僚女子に相談すると、

「ねえあんた、誕生日なんてどうでもいいとかいってなかった? もうあんた、ほんとぶれっぶれ!」

と手厳しい(が正しい)指摘を受けつつも、

「あんた酒好きだし、ナパやソノマでワイン飲みながらゆっくり過ごせばいいんじゃないの?」

と提案あり。

確かに紅葉色付くナパのワインカントリーで静かに過ごすのも素敵かも、と突然夢見はじめる乙女(中年オカマ)の自分よ。

そして、

"そしたらあの店でディナーとかできたら素敵よねぇ..."

と中年オカマの誕生日妄想は、全米一予約が取れないと言われている(らしい)ナパにあるレストラン「フレンチランドリー」まで膨らむわけで…。

20代の若かった頃こそ、東京やサンフランシスコの流行りの洒落たレストランを週末毎に食べ歩いていたが、今じゃそういった興味もなくなり、家で質素に食べるか、せいぜい近所の店で済ませることが多い。

とは言え、せっかくカリフォルニアに住んでいるのだし、死ぬ前に一度はこの「フレンチランドリー」で食事してみたいわぁと長年夢見ていた。

"それが秋の深まる40歳の誕生日だったら素敵よねぇ"

と中年オカマの夢見る誕生日計画は先走る一方。

だが、全米一予約が取れないと言われるだけあり、予約サイトをいつチェックしても「Sold Out」。

行けないとなると、ますます行きたくなるオカマの悪い癖。

あーん、悔しい!!と仕事もそっちのけで、なんとか予約をとる方法はないかと、ネットの情報を漁る自分であった。

(誕生日なんてどうでもいい、とか言ってたあたしはどこいった?)

続く!


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