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6月, 2017の投稿を表示しています

堕ちた饗宴

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街中が虹色に染まっていた、6月のPride Monthもそろそろ終わりを迎えようとしている。 その最後の週末の土曜日は、「ピンク・サタデー (Pink Saturday)」と呼ばれていて、毎年この日は朝からツインピークスの丘には大きなピンク色の三角形が張られ、カストロの街はピンク色の服を着た人たちで一杯になる。 このピンク色の三角形は、ナチス・ドイツのホロコーストで強制収容された人々のうち、ゲイであることを識別するために胸に装着が義務付けられていたものだ。 大昔に大学の授業か何かで観た映画「 ベント 」も、まさにこのピンクトライアングルの話だったよなぁ、とふと思い出した(冒頭の、ミックジャガーの女装シーンで度肝抜かれたわよ!) ------------------------ そんなよく晴れた土曜日。 「せっかくのピンク・サタデーだし、たまには我が家に人を招いて、虹色の街を眺めながら、皆でお酒での飲みましょうかしらん」 と突然思い立ち、滅多に人を呼ばない我が家で小さなパーティとなった。 いつものオカマ仲間や、今年の秋に結婚するアメリカ人のゲイカップル、同業のM子ちゃんと彼女のボーイフレンド、N君とその水球チームのチームメイト等など、小さな集まりだが色々な友達が集まって、スパークリングワインやピンクのカクテルで乾杯だ! ドレスコードはもちろんピンクよ! 空が暗くなると、我が家のベランダから遠くに見えるサンフランシスコの市庁舎も、虹色にライトアップされる。 そんな虹色の夜景を見ながら、 こうやって我々がゲイとして平穏に生活できていることも、権利のために戦った人々と、迫害され大変な目にあってきた人々の歴史の上に成り立っていることを、忘れちゃいけないのよね、 と、再認識したのだった。 虹色に輝くサンフランシスコ市庁舎よ

五つの文字

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朝、仕事場でパソコンを開くと、健康診断の結果がメールで届いていた。 「つ、ついに来たわ・・・。どうしよ、結果開くの怖い・・・。」 「つ、ついに来たのね・・・。って、とっとと開きなさいよっ!」 診断結果のレポートを開く前に、思わず健康オタクの元同僚女子に携帯でメッセージを送る弱い自分よ。 ここ数年、血液検査の数値も悪化傾向だったし、再検査とか出たらどうしよ、などと心配しつつ、恐る恐るレポート結果をクリックした・・・。 "お!?" "中性脂肪は未だ基準値外だが、数値は去年から大幅に下がっている?" "総コレステロール値も悪玉コレステロール値も、去年から下がって基準値内に収まってるじゃないの?" その他の項目にも目を通すと、どの数値も正常値内で、血圧も昨年から下がっている。心臓も肺も異常なしだ。 結果に少し安心し、 「きゃ! フィッシュオイルのお陰? ニンニクパワーかしら?」 と例の同僚に結果報告すると、 「ねぇ、あんた。今回の結果が前回より良かったからって、喜んでんじゃないわよ。中性脂肪はまだ基準値外だし、血圧だってあんたの数値じゃまだ高血圧に分類されんだから。日々の健康管理しっかりして!」 と、手厳しい返事が返ってきたわ。 -------------------------- アナウンサーの小林麻央さんが亡くなったと、昨日のニュースで知った。 彼女のブログを時々拝見して、彼女が元気な日もそうでない日も、彼女の言葉から元気をもらっていた自分である。 自分の足で外を歩いて太陽の光を浴びることができる、ということ。 食べたい時に食べたいものを食べられる、ということ。 家族や友達、愛している人たちと一緒にいられる、ということ。 我々が普段の生活で、当たり前と思っていることが、当たり前に出来ることのありがたさを、彼女から教えてもらった。 「「あたりまえ」じゃなくて「ありがとう」って、昔槇原敬之も歌ってたね」 「ほんと、今こうやって、元気に生活できているってことに感謝しなきゃいけないわよね」 と、いつもなら、「オトコが欲しい!」とか「幸せになりたい!」とか、朝から煩いメ

I still remember

よく晴れた6月の日曜日。 3年前に亡くなった、わんこの命日。 朝起きて、わんこの写真の入った写真たて達をタオルで拭いて、 水と、わんこが好きだった枝豆と、ベランダの小さな花を切って、 写真の前に供えた。 --------------------- わんこを失った時は、 元気だった時によく一緒に歩いた散歩道を歩くのが辛くて、 その道を避けて通ったり、 わんこのいないここでの生活なんて、と アメリカでの生活を引き上げて日本へ帰ることも考えたりした。 だけど、「時間薬」とは言ったもので、 1ヶ月、半年、1年、と時間が経つにつれて、 絶対に癒えることは無いだろうと思っていた、 あんなに悲しみのどん底にいたはずの自分の心は、 少しずつ落ち着いて来て、 彼女が亡くなって3年経った今は、 穏やかに、楽しかった思い出だけが残っている。 ----------------------- わんこが亡くなった時に、 今まで撮っていたわんこの写真を纏めて、 小さなアルバムを作った。 今日は朝からそれを1頁ずつながめながら、 元気だった頃に一緒にいったシャスタ山でのキャンプのことや、 仕事のストレス一杯で帰ってきた夜に一緒に静かなピアノの曲を聞いて眠ったことや、 後年の辛かった病気と介護の日々のことなどを思い出したり、 サンフランシスコの 動物シェルター に募金をしたりしている。 ----------------------- 「もう犬は飼わないの?」 と問われる度に、 あの時の彼女との辛い日々を思うと、 「もう犬はいいかな~」 といつも答えている。 でもその一方で、あのわんことの楽しかった日々を いつかまた過ごせる日が来れば・・・ と心のどこかで思っている。

この大空の虹になりたい 希望に届く虹になりたい

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街のあちこちが虹色に染まっている。 6月にはいると、金融街からゲイの街カストロまでまっすぐに伸びる大通りのマーケットストリートには、レインボーフラッグが並び、街のお店やレストランにも、あちこちで虹色のディスプレイが見られるようになる。 -------------------------- 20年近く前、大学の先輩でもある彼と話すようになったきっかけは、当時通っていた東京渋谷のジムだった。 おしゃれで短髪の爽やかな外見で、外資系の航空会社に勤めているというその彼は、話すようになったその日に、彼がゲイでしかもHIVであることを打ち明けてくれた。 人生ではじめてで逢ったHIVポジティブの彼に、当時はどう接すればよいか分からなかったが、平日は仕事をバリバリとこなし、週末はドイツ製の車に乗ってジムや英会話と、活発に健康的に過ごす彼の話を聞いているうちに、当時若かった自分が持っていた偏見や構えはすぐに消え、それよりも社会人としての、憧れの人生の"先輩"として彼をみるようになっていた。 自分が東京での仕事を辞め、アメリカに行くと決めたときも、手放しで喜んでくれたのが彼だった。 それから数年後。 彼が亡くなったと、彼のお母さんからの手紙で知った。 --------------------------- この街に来てからは、HIVポジティブの人と会う機会は多くあるが、皆ちゃんと薬を飲んでいる限り、HIVネガティブの人と同様に健康に生活している。 この頃はPrEp(プレップ)などの予防薬もあるし、最近の調査だとポジティブの人もネガティブの人も平均寿命は殆ど変わらない程になっているらしい。 毎年6月になると、このゲイプライドの時期に合わせて、「 エイズ・ライフサイクル 」というイベントが行われる。 参加者が自転車でサンフランシスコからロサンゼルスまで1週間かけて向かうというもので、参加者は募金をつのり、集まったお金はHIV/AIDSの治療や研究・予防の活動等に使われる。 今年は2500人近くの人が参加し、約15億円もの募金があったという。 自分は1週間自転車でLAまで旅する体力も勇気もないけれど、友人や会社の参加者達に、毎年そんなに多くはないけれど募金をして、少しでもこのイベントの目的の役に立ちたいと思

僕たちは戦わない 明日を信じてる

「どうしよう。あと1週間で会社の健康診断だわ!」 「やばいじゃん・・・この調子じゃあんた、去年より悪化してんじゃない?」 と、朝からいつもの健康オタクの元同僚と、来週の健康診断に向けて作戦会議だ。 去年の今頃受けた健康診断では、高血圧、中性脂肪、コレステロールの項目で基準値以上の数字が出て、医者からはあっさり「中年体」の烙印を押され、「この調子じゃ長生き出来ないわよ」とまで言われた自分である。 それからの1年は、自宅用の血圧計を買って日々計ったり、醤油を使わないようにしたり、フィッシュオイルのサプリを飲んだり、ご飯の量を減らしたりしていたのだが、 一方で、酒の量は増え、ジムに行く回数は減り、仕事中に「あーん、ストレス!」と理由をつけてオフィスの自動販売機でスナックを買って食ったりと、「健康な生活を送ってます」とは決して言えない状況だった。 健康診断数日前には、「Health History」の質問紙に答えるように、と医者からメールが送られてきた。 - 1週間の平均的な運動量 (週に3回ジム行けばいいほうだわ・・) - 現在摂っている薬・サプリメント (ハゲ薬とフィッシュオイルとビタミンB群?) - タバコ・酒の摂取量 (タバコはすわないけど、酒は毎日グラス3杯くらいは飲むわよ) - 家族の健康状態  (父も高血圧で薬飲んでるわね・・) などの質問に加えて、 - 過去1年間の性的交渉をした人の人数 - 相手の性別 - アナルセックスの有無 - ドラッグを使用したか否か 等など、どこまで本当に書いていいのやら、中年オカマが躊躇ってしまう質問達である。 小学校の頃の健康診断と言えば、どれだけ自分が成長したか、むしろ楽しみにしていたものだったが、この歳になっての健康診断とその結果レポートは、見るのも恐ろしいものである。 「とにかく、ニンニクを毎日食べて! それから、来週の健康診断までは魚料理中心の食生活よ!」 と元同僚には言われ、"健康診断の直前だけ健康な生活送っても本末転倒だわ"、と分かっていながらそれに従う自分・・・。 さて、30代最後の健康診断、結果はどう出るのか・・・。 続く!

晴れたらいいね

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サンフランシスコからゴールデンゲートブリッジを超えて、亡くなった俳優ロビンウィリアムズ氏の名をとった虹色のトンネルを抜けて、さらに北に1時間ちょっと車で行ったところに、ガーンビル (Guerneville)という小さな街がある。 ロシアンリバーという緩やかに流れる川のそばにあり、キャンプやカヤックなどのアウトドアーを楽しめる静かなところだ。 今日はいつものオカマ仲間と日帰りでちょっくらそのガーンビルの街に行ってきたわ。 前回は皆でキャンプをしたり、川辺でカレーを作って食べたりしたが、今回はみんなで料理やワイン、スナックを持ち寄って、プールのあるロッジで水着パーティよ! ガーンビルの街は、テレビドラマ「Looking」でもゲイ達の"避暑地"として登場していたが、昔からゲイ達が集まる場所としても有名で、このロッジもいつもゲイだらけだ。 「プールサイドの奥に座ってる3人組の中で、どれが一番イケる?」 「それより、反対側に一人で全裸で寝そべってるあの若い子のケツがいい」 「やだ。あそこに座ってるおじさま、あんたのこと、さっきからずっと見てるわよ!」 10年以上前から、会話の内容に全く成長のない中年オカマ達である。 M男やアメリカ人のE子は、他のお客さんたちとバレーボールを始めたようだ。 自分とY子は、プールサイドに寝そべって、そんな彼らの様子を眺めたり、周りの男達を眺めたり。 サンフランシスコは、霧の日が多く太陽に直接あたる機会も少ないが、ちょっと車を走らせれば、自然の中静かに日光浴を楽しめるところがあるのが有難い。 日焼けのし過ぎで肌のシミやしわの悪化は怖いが、こうやって美味しい空気を吸って、太陽にあたっていると、疲れた心と身体に元気が出てくる気がする。 今夜はぐっすり眠れそうだわ! Highlands Resort http://www.highlandsresort.com/ 1日利用料は$20くらい。「3R - Russian River Resort」もゲイに人気のロッジだが、このハイランズのほうが、静かに過ごせて個人的にはこっちが好きだ。古いピアノもあるので、日焼けに疲れたら、中に入ってへたっぴピアノだよ。