ひとりきりの長い夜 いつかきっと終わるでしょう
11月も半ばを過ぎると、急に空気が冷たくなってきた。 街のあちこちでは、早々クリスマスソングが流れ、クリスマスツリーが売られている。 「毎年、10月のハロウィンが終わると、サンクスギビング、クリスマスで、あっという間に年越しよね~」 「ほんと年々、1年終わるのが早くなるわ・・・」 残業帰りにいつもの飲み屋で酒片手にY子としみじみする。 「あんた今年のサンクスギビングはどうするの」 「どうしよう、あたし今年もひとりだわ」 ------------------ サンクスギビングもクリスマスも、店もレストランもジムも休業になり、人々は、皆家族の元へ帰ったり旅行へ出かけたりするので、街はひっそりと静かになる。 何年前だったか、「家族はいないし、周りは家族・恋人と旅行だし、そもそも日本人だから別にサンクスギビングなんて祝わなくてもいいわ!」などと強気で予定を立てずにいたら、一人で寂しい1日を過ごすはめになった自分である。 そのサンクスギビングの朝に途方に暮れて、グーグルで『サンクスギビング 一人 過ごし方』などと思わず検索したのも、今じゃ仲間内で笑い話にしてるけど、その時ばかりは本当に「ゲイ・孤独死」が頭をよぎったわ! ここ数年はサンフランシスコ郊外に住むN君の家族が、サンクスギビングディナーに誘ってくれるので、グーグルで切ない検索をする必要もない。有難いことだ。 暖炉に火をつけ、家族で七面鳥料理を囲み、それぞれの近況報告をしながら家族でわいわいやる。パサパサしていていつもならあまり好んで食べない七面鳥だけど、この日だけは美味しく感じるのは何故かしらん。 食事の後は、家族みんなでワイン片手にジグソーパズル。普段ならパズルなんてやらないのにね。 いずれ日本の家族が居なくなる日がくるし、友達も結婚したり子供ができたりすると、自分はゲイとして一人で一生やってかなきゃいけないかもしれない、という覚悟は自分がゲイだと認識した頃からしてきたけれど、こういう暖かさに触れると、やっぱり家族はいいわぁ、としみじみ思う訳で。 サンクスギビングが終わったとたんに、クリスマスツリーの準備。 アメリカ人、こういうのほんと好きね。