きっと伝説がこの島々を支えているから (1)
拝啓、お元気ですか。 自分は、一年ぶりに飛行機に乗って海を渡り、 南の島に来ています。 20年前に、生まれて初めてここに連れてきてもらった時と変わらず、 この島の海も山も美しく、人々も優しく、 優しい空気に包まれています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ちょっと、来週末から、ニューヨークで美術館巡りしてくる。」 「実はあたし来月、シカゴに住む彼に会いに行ってくるの。」 「うちの旦那の家族の集まりで、ミズーリの実家に帰ってくるわ。」 先々週、この街に住む同年代の仲間たちー同業女子のM子、ゲイ仲間のK枝、M男から、矢継ぎ早に旅行の予定の連絡が届いた。 "ちょ、ちょっと、みんな突然どうしたの!?" と、一瞬驚いたのたが、考えてみれば今まで家族や友人と屋内で集まったり、旅行をしたりすることをずっと控えてきた中で、皆ワクチンを2回とも打って2週間が経ち、すこし気持ちに余裕が出てきことを考えれば、タイミングとしては納得である。 さて、我が家はというと、、、特にどこへ行く予定もなにもない。 なんせ、我が家のN君は、去年コロナ禍で会社を早々にクビになり、ずっと失業保険のお世話になっているものだから、旅行なぞもっての外である。 "みんな、旅行行けていいなぁ。でもうちは生活費切り詰めなきゃいけないし、今年も旅行は我慢せにゃあかんね・・・。まあ、どうせもうすぐまた自分の仕事、繁忙期はじまっちゃうしね・・・。" などと、半分不貞腐れていたら、リビングルームからN君の興奮した声が聞こえてきた。 「仕事、決まった!!!!!」 ーーーーーーーーーーーーーー N君が新しい仕事の正式なオファーレターを受取ると(涙涙涙)、その日のうちに航空券とホテルをおさえ、その3日後にはハワイに向かう飛行機に乗っていた二人である。 "N君が新しい仕事はじまったら、当分休みは取れないだろうし、彼が休めるタイミング待ってる間に、自分の仕事の繁忙期はじまっちゃうしで、いつまでたっても、溜まった有休を使いきれないじゃないの" などと、理由を正当化し、無理やりコロナ渦以降初の旅行を急遽決め込んだのだった。 とは言え、未だコロナ禍である。 ハワイ州は州外からの旅行者へ10日間の自己隔離、あるいは州が指定する医療機関でコロナに感染していないことを証明